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第13章:凍りついた三時
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月曜日の午後三時。僕は朝からずっと、浮き立つ心を抑えられずにいた。
デスクの隅には、新宿で見つけたあのビスケット。それから、スマートフォンにはまだ送っていない、昨日撮った猫の別カットの写真。
――ガタッ。
地下一階の重い扉が開く音がした。
外出先から戻ったばかりなのだろう、隼人さんが入り口に立っていた。
僕は弾かれたように立ち上がり、最高の笑顔で彼を迎えようとした。
「風巻さん! お疲れ様です。あの、週末に……」
「……」
隼人さんは、僕の言葉を遮るように視線を逸らした。
いつもなら「ああ、疲れたよ」と椅子に深く腰掛けるはずの彼が、扉の取っ手を握ったまま、一歩も中に入ってこようとしない。
「郵便物は、そこに置いておいてくれ。急ぎの件があるから」
「えっ、でも、コーヒー……」
「いらない。馴れ合うのは、もうやめよう。……仕事の邪魔だ」
その声は、僕が初めて二十二階で聞いた、あの冷徹な「エース」の声よりもさらに冷たかった。
隼人さんは一度も僕と目を合わせることなく、そのまま踵を返して去っていった。
「……?」
僕は、差し出した手のやり場を失って立ち尽くした。
あんなに優しかった彼が、急に他人のような顔をする。
(……きっと、大きなプロジェクトで疲れてるんだ。そっとしておこう)
自分にそう言い聞かせたけれど、胸の奥には、正体のわからない刺がチクリと突き刺さっていた。
デスクの隅には、新宿で見つけたあのビスケット。それから、スマートフォンにはまだ送っていない、昨日撮った猫の別カットの写真。
――ガタッ。
地下一階の重い扉が開く音がした。
外出先から戻ったばかりなのだろう、隼人さんが入り口に立っていた。
僕は弾かれたように立ち上がり、最高の笑顔で彼を迎えようとした。
「風巻さん! お疲れ様です。あの、週末に……」
「……」
隼人さんは、僕の言葉を遮るように視線を逸らした。
いつもなら「ああ、疲れたよ」と椅子に深く腰掛けるはずの彼が、扉の取っ手を握ったまま、一歩も中に入ってこようとしない。
「郵便物は、そこに置いておいてくれ。急ぎの件があるから」
「えっ、でも、コーヒー……」
「いらない。馴れ合うのは、もうやめよう。……仕事の邪魔だ」
その声は、僕が初めて二十二階で聞いた、あの冷徹な「エース」の声よりもさらに冷たかった。
隼人さんは一度も僕と目を合わせることなく、そのまま踵を返して去っていった。
「……?」
僕は、差し出した手のやり場を失って立ち尽くした。
あんなに優しかった彼が、急に他人のような顔をする。
(……きっと、大きなプロジェクトで疲れてるんだ。そっとしておこう)
自分にそう言い聞かせたけれど、胸の奥には、正体のわからない刺がチクリと突き刺さっていた。
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