21歳のわたし ー真夏の蜃気楼ー

深町珠

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V7 sport

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店主は「あの子、どこの子かしら。名前も聞いてなかった。」

割と、長閑なこの店主さん。
見た目は、とても聡明な感じなんだけど(^^)。


青年は、オートバイのエンジンを掛けた。

Motoguzzi V7 sportのイグニッションを入れ、アクセルを1回あおり
ガソリンをエンジンに吸入。そして、右手のセル・モータスイッチを押した。

自動車のようなセルモータの音がし、エンジンは簡単に始動した。
縦置きV2シリンダーなので、アクセルを開くと車体が右に傾く。

バイクに跨って、センター・スタンドを外すと
スタンドが車体に当たり、かちゃり、と
音がする。


エンジンの爆発音が、断続的に伝わる。


「ちょっと、聞いてきまーす。」と、青年は軽快に。


「ありがと」と、店主。


クラッチ・レバーを握り、ギアを入れる。
乾式クラッチなので、ショックがない。

そのままアイドリングでクラッチ・ミート。

Motoguzzi V7 sportは、弾かれるように走り出す。


「すぐに追いつくさ」青年は、長い髪を風に泳がせて
ゆっくり走る。

2速、3速。ハミングするようなエンジンの音。振動。

図書館の前で、ミシェルに追いつく。「おーい」青年は、左ウィンカーを出して
バイクを歩道に寄せて。跨ったままミシェルに


「キミ、なんて名前?聞いてなかったよ」と、青年。


「ミシェルと言います。市立中学の3年。ここの図書館で・・・。」と言うと
青年は察し

「わかった。後で連絡するよ」と、言って。

ゆるゆる、と
アイドリングで回転しているV型2シリンダ・エンジン。

そのオートバイ、MotoGuzzi V7 sportを発進させた。


ガソリンと、オイルの燃える匂いが、風に舞う。


ミシェルは「かっこいいなぁ」と、思った。


「免許取るかな」
そんなふうに、気まぐれに思う少年、ミシェルでもあった。



この国は、モペッドなら14歳から免許が取れる。
練習中なら「L」マークを付ければ、乗る事もでき
その後、免許を取ればいいので・・・。



「図書館のおじさんが、乗ってたなぁ、モペッド。」

いつか、めぐお姉さんが岬まで乗っていったとか
リサお姉ちゃん、言ってたっけ。

そんなことを思い出して、図書館の脇にある駐輪場の方へ歩いていった。


セシルの事は忘れている(^^)かわいい少年、ミシェルである。






図書館は、最近建てかえられたので新しい。

ステンレスのモニュメントとか、吹き抜けがあったり。
小さな池がビルの外にあったり。
遊び心のあるデザインで、ミシェルも気に入っている。

その中で、普通にモダーンな守衛所の一角と
その隣にある駐輪場。職員用のそれだけれども
そこに、緑いろのモペッドが止めてあった。


「あ、これこれ」と、ミシェルはにこにこ。


見た目、自転車。だけど、少し幅が広くて、タイアも太い。
ペダルの付いているあたりに、小さなエンジンが前倒しでついていて
シリンダー・ヘッドからはフィンが見える。

自転車と違うのは、ウィンカーがあったりする辺り。


「これなら乗れそうだな」と、思う。





守衛のおじさんは、気のいい人で
大柄、にこにこ。
甘いものが好き。


「やあミシェル。バイク好きかい。」と、守衛所から出てきて。



守衛所は硝子張りで、外から見ると金魚鉢のようだけど
このおじさんが居ると、なんとなくユーモラスだ。
ふんわり金魚さんが、寝ているみたい(^^)。

だと、ミシェルは思う。




「こんちは、おじさん。このバイク、おじさんの?」


おじさんはにこにこ「そうだよ。調子いいよ。」と、もぐもぐ、何か食べている。
ワッフルが好き。



ミシェルは「乗ってみたいなぁ」


おじさんは「え、うーん。そうだなぁ・・・・練習してからね。いきなり道走ると、危ないよ。」



ミシェルは、ちょっとがっかり「そっか、そうだよね。」



おじさんは「河原かどこか、ひろい所で少し走ってみた方がいいよ。」



図書館の南側は大きな川があって、ひろい河原がある。
野球のグラウンドがあるくらいに広い。




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