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4.笑顔が見たい Side マティア
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マティアは、毛布にくるまりながら過去の楽しかった思い出を辿っていた。そうしていなければ、不安に押しつぶされてしまいそうになる。
(思い出があれば……ポールを愛するふりが上手くできるかしら?)
マティアは物心つく前から、ポールと一緒に遊んでいた。今はもう亡くなっているマティアの祖父と、ポールの祖父は親しい友人で、孫たちにも仲良くしてほしいと願っていたらしい。
『いつか儂らの孫たちが結婚したら、そりゃあ可愛いだろうなぁ!』
『そうじゃな!一緒に遊ばせて今から仲良くさせようぞ!』
お酒を飲むと祖父たちは、いつも肩を組んで言っていた。
両親に連れられて、リックストン国に行くと、いつもポールは笑顔で待ってくれていた。
『マティア、あそぼ!』
『うん!今回は10日間、リックストン国にいるってじいじが言ってた!』
『わーい!』
大人たちが長い会議や交渉に忙しくている間、ポールとマティアは一緒にお花畑で遊ぶ。彩り豊かな花々に囲まれながら、彼らは笑顔で駆け回り、特別な時間を過ごしていた。
(楽しかったな……。)
目を閉じると鮮やかにあの頃の記憶がよみがえる。
一緒に遊んでいたのは、ポールだけではない。
『テオ!サラ!遊ぼ!』
『うん!』
ポールとマティアには同い年の友達、サラとテオもいた。サラはリックストン国の貴族であり、テオは隣国バード国の王子。
生まれが異なる彼らだったが、国の違いに関係なくとても仲良しだった。
『上手くいきそうじゃなあ。』
『うむむ』
仲良く遊ぶ彼らを、祖父たちは満足そうに見守る。
祖父たちが生きている間、リックストン国とドントール国は極めて友好的な関係を築いていた。
平和な日々がずっと続いていくかに思われたのだが――。
『ドントール国王が亡くなられた!』
5年前、マティアの祖父であるドントール国王が急死し、マティアの父が王位を継いだ時から、状況は大きく変化する。
『私は父上のようにはならない!ドントールを世界で一番強い国にするのだ!』
そしてその言葉通り、マティアの父率いるドントール国はリックストン国を侵攻し、平和な時は終わりを告げた。
『なぜですか?お父様!なぜ、リックストン国の人々を傷つけるのですか!』
『うるさい!お前には関係のない話だ!』
ドントール国がリックストン国へ侵攻したあの日からずっと、マティアの心は苦しさに満ちている。ポールへの愛と同時に、父を止められない自分に対するふがいなさがマティアを襲っていた。
(私が毒の小瓶を持っていることに気が付いたら、ポールはどうするだろうか?)
父にとってマティアは権力を拡大するための道具に過ぎない。
”毒でポールを亡き者にする”
それが達成されたとしても、マティアが救われる道はないように思えた。どうなろうとも、父は1か月後にリックストン国を侵略するつもりなのだから。
「貴方の妻になれて……嬉しいわ。」
小さな声で、マティアは呟く。もちろん、ドアの向こうのポールから、反応はない。
ポールと4年ぶりに再会してから、彼の笑顔を一度も見ていなかった。
『マティア!』
目をとじれば、すぐに幼いころのポールの優しい笑顔を思い出せる。しかし、今ではもう、ポールの笑顔はあまりにも遠い。
(じいじが望む通り、ポールのお嫁さんになるから……帰ってきてよ)
天井を見上げ、叶うはずのない願いを込めて両手を組む。
(1か月後には、ポールの笑った顔が見られますように。)
(思い出があれば……ポールを愛するふりが上手くできるかしら?)
マティアは物心つく前から、ポールと一緒に遊んでいた。今はもう亡くなっているマティアの祖父と、ポールの祖父は親しい友人で、孫たちにも仲良くしてほしいと願っていたらしい。
『いつか儂らの孫たちが結婚したら、そりゃあ可愛いだろうなぁ!』
『そうじゃな!一緒に遊ばせて今から仲良くさせようぞ!』
お酒を飲むと祖父たちは、いつも肩を組んで言っていた。
両親に連れられて、リックストン国に行くと、いつもポールは笑顔で待ってくれていた。
『マティア、あそぼ!』
『うん!今回は10日間、リックストン国にいるってじいじが言ってた!』
『わーい!』
大人たちが長い会議や交渉に忙しくている間、ポールとマティアは一緒にお花畑で遊ぶ。彩り豊かな花々に囲まれながら、彼らは笑顔で駆け回り、特別な時間を過ごしていた。
(楽しかったな……。)
目を閉じると鮮やかにあの頃の記憶がよみがえる。
一緒に遊んでいたのは、ポールだけではない。
『テオ!サラ!遊ぼ!』
『うん!』
ポールとマティアには同い年の友達、サラとテオもいた。サラはリックストン国の貴族であり、テオは隣国バード国の王子。
生まれが異なる彼らだったが、国の違いに関係なくとても仲良しだった。
『上手くいきそうじゃなあ。』
『うむむ』
仲良く遊ぶ彼らを、祖父たちは満足そうに見守る。
祖父たちが生きている間、リックストン国とドントール国は極めて友好的な関係を築いていた。
平和な日々がずっと続いていくかに思われたのだが――。
『ドントール国王が亡くなられた!』
5年前、マティアの祖父であるドントール国王が急死し、マティアの父が王位を継いだ時から、状況は大きく変化する。
『私は父上のようにはならない!ドントールを世界で一番強い国にするのだ!』
そしてその言葉通り、マティアの父率いるドントール国はリックストン国を侵攻し、平和な時は終わりを告げた。
『なぜですか?お父様!なぜ、リックストン国の人々を傷つけるのですか!』
『うるさい!お前には関係のない話だ!』
ドントール国がリックストン国へ侵攻したあの日からずっと、マティアの心は苦しさに満ちている。ポールへの愛と同時に、父を止められない自分に対するふがいなさがマティアを襲っていた。
(私が毒の小瓶を持っていることに気が付いたら、ポールはどうするだろうか?)
父にとってマティアは権力を拡大するための道具に過ぎない。
”毒でポールを亡き者にする”
それが達成されたとしても、マティアが救われる道はないように思えた。どうなろうとも、父は1か月後にリックストン国を侵略するつもりなのだから。
「貴方の妻になれて……嬉しいわ。」
小さな声で、マティアは呟く。もちろん、ドアの向こうのポールから、反応はない。
ポールと4年ぶりに再会してから、彼の笑顔を一度も見ていなかった。
『マティア!』
目をとじれば、すぐに幼いころのポールの優しい笑顔を思い出せる。しかし、今ではもう、ポールの笑顔はあまりにも遠い。
(じいじが望む通り、ポールのお嫁さんになるから……帰ってきてよ)
天井を見上げ、叶うはずのない願いを込めて両手を組む。
(1か月後には、ポールの笑った顔が見られますように。)
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