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15. 隠しているのか‥‥‥? Side ポール
しおりを挟むポールは一歩、マティアの元に近づいた。
「貴方の妻でいることで……助かる人がいるって信じてるからよ。」
「何を助ける……?」
「リックストン国と貴方を。」
マティアは優しい表情でポールを見つめる。
(僕は君に……自分の為に誰かを愛して欲しいのに……。)
「偽善者が……君がドントールの人間だという事実は変わらないんだ。」
「そうね。」
「……君が嫌いだ……顔も見たくない……。」
マティアはそっと、ポールの頬に手を伸ばした。ポールはただ彼女を罵倒することしかできないのに。思いがこもっていないから、ポールの罵倒は彼女に響かないんだろうか?
(触れないでくれ……。)
ポールは黙ってマティアの手を避ける。マティアに触れてはいけない。一度彼女に触れてしまったら、今のポールでは戻れなくなる。
「それならなぜ……悲しい目で私を見るの……?」
「君の思いあがった考えが……悲しくて仕方ないからさ……。僕とサラの関係を知っているだろう?」
「ええ……。」
「いますぐ……身を引いてくれないのか?僕とサラを古い友人だと思うなら……。」
サラの話題を出すと、マティアの笑顔が陰った。リスクを承知でサラに愛人のふりをしてもらったのは、それがマティアを追い払う最も有能な手段だと考えたから。
「だめよ。」
と彼女は断固として譲らない。
「なぜ?」
「私がドンドール国の王女で、あなたがリックストン国の皇太子だから。」
変わらない押し問答。マティアは決して明確な答えを言わない。幼馴染の恋を邪魔してまで、何が彼女をリックストンにとどまらせるのだろう。
「それが、何だ?君は優しい人だろう?幼馴染の恋を応援してくれないのか?」
「応援したいけどだめなものはだめなの。」
マティアはうつむいて、両手を膝の上にぎゅっと組む。
「君は何におびえているんだ?」
ポールはマティアが何を考えているのかをより深く知りたくなった。
(彼女には、何が、ドントールに帰りたくない具体的な理由があるのだろうか?)
「おびえてなんかいない。」
「かくしてるのか……?」
「かくしてないわ!」
マティアは声を張り上げた。
(むきになっている……?本当に隠し事があるのか……?)
「ごめんなさい……。」
マティアは大声をあげてしまったことを誤魔化すように、口を抑える。
(弱ってきてる……な。)
マティアが本質的に強い人間ではないことを、ポールはよく知っていた。少しずつボロが出ている。いつか爆発して耐えきれなくなるだろう。
「なあ、マティア。君が僕の前から姿を消してくれたなら、どんなに幸せだろうか。」
「……そんな事言わないでよ……。」
「今からでも遅くない。ドントールに帰れ。……いつでも離縁してやる。」
そう言うと、ポールはドアに手をかけた。
「どこに行くの……?」
消え入りそうな声で、マティアがポールに尋ねる。
「サラのところだ。」
彼女を部屋に閉じ込めたままにしておくわけにはいかない。
「そう。おやすみなさい……。」
今日結婚したばかりの花嫁を置いて、ポールは部屋を出た。
◇◇◇
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