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19.大好きよ、これから先もずっと
しおりを挟む―――私は隣国に行くべきなの。
ステフがルカやボストール家について必死で調べているとは知らずに、ココは出発の準備を整えていた。かばんには最小限の荷物だけを詰めている。
”隣国で夢をかなえよう”
ルカの言葉と苦しそうな顔が頭をよぎる。彼はもうすでに、セブンリへの馬車手配してココを待っているといった。彼の様子がいつもと違うことには気が付いていたけれど、ココにはやはりルカと共にセブンリに行くことが一番正しい道に思える。
”夢を追っておいで。ココ”
最愛の婚約者の声は、何度思い出さないようにしても頭の中から離れてくれない。ステフが胸の中に閉じ込めて好きだと言ってくれたなら、ココはきっとこの城を離れないだろう。だがステフは笑顔で、ココが隣国に行くことを応援した。
―――きっとうまくいくわ。
もう出発の時間だ。ルカとの待ち合わせの場所に向かわなくてはいけない。ココは小さなカバンを抱えて、階段下の小さな部屋を出た。右手に、銀色の鍵を持つ。
―――もう、この部屋には戻ってこないかもしれないわ。
学院を卒業する資格はもう持っている。セブンリで研究を続けられるならば、ミラント国に帰ってくることはない。
ステフからもらった鍵を返すために、ココは秘密の部屋に向かった。
◇◇◇
「いない…か。」
今日に限って、ステフは秘密の部屋にいなかった。
―――いつも私の居場所を作ってくれてありがとう、ステフ。
ステフは、ミラント国の第二王子。学ばなくてはいけないことは多く、彼のスケジュールはいつも忙しかったはずだ。だけど、彼はココが学院に行く前の時間はほとんど必ず、この部屋で待ってくれていた。
ココに”いってらっしゃい”を言うために。
ココはテーブルの上に、銀の鍵をそっと置く。
今日出発することをステフに伝えていなかった。伝えたらきっと、離れがたくなってしまうだろう。昨日の言葉とハグの意図を問い詰めたくなってしまうに違いないから。
「大好きよ。ステフ。これから先もずっと…。」
そう呟いて、ココはドアノブに手をかけた。
―――会いたいわ。
ココはドアノブに手を掛けたまま、そのばを動けなかった。いつかはこの時が来てしまうと覚悟していたはずなのに、ステフから離れる現実を受け入れることができない。
その時、部屋の向こうから誰かが走ってくる足音が聞こえて、ココは慌ててドアノブから手を離した。
「ココ!!」
ドアを開けて部屋に入ってきたのは…もちろんステフ。
ステフはなぜか、息を切らしている。何があったか気になるけれど、もう時間はない。
―――間に合ってくれてありがとう。ステフ。
ココは笑みを浮かべていつも通り
「いってきます。」
と、言った。
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