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21.出会ってくれてありがとう
しおりを挟む―――ステフの馬鹿!
ルカとの待ち合わせの場所まで行く間、ココはずっと走っていた。
お腹の底から、どす黒い感情がこみあげてくる。この感情が、ステフに対する恐ろしい執着心と独占欲から湧いて出るものだとココは気が付いている。
「ココ?」
長い前髪をかき分けて、ルカがココの名前を呼んだ。
「ルカ…。」
息を切らして涙を流すココをルカが心配そうに見つめている。
「行こうか。」
ルカは何も聞かずに、そっと手を差し出した。
「ダメ…私は…。」
差し出された手を取ることができずに、ココは立ち止まる。
―――私はどうしようもなくステフが好きなままなんだ
「…何も言わなくていいよ。嫌なら…いつでも帰ればいいんだから。」
そう言って、ルカは無理やりココの手を取った。ココは思わず、ルカの手を振り払った。
―――ステフにしか触れられたくない…
「行こう。馬車が待ってる。夢を追うんだろう?」
ルカはココから目をそらして、歩きだした。
―――夢…
自分から両親を奪った伝染病を治す薬を開発したい。小さいころからのココの夢だった。
―――いつまでかなわない恋を追いかけているんだろう…。ルカは私の夢を助けてくれているだけ。それなのに私は…
「ルカ…ごめ」
「謝らないでくれ。」
ココの謝罪をルカが遮った。ルカは無理やり笑みを浮かべて、馬車を指差す。
「さぁ、あとは馬車に乗るだけだよ。」
―――あの先に、私の夢が待ってる。
ココは大きく息を吸い込んだ。セブンリに行って研究に没頭すれば、きっとステフのことを忘れられる。そしていつか…私はルカのことを愛するのだろうか?
「ありがとう。ルカ。」
馬車に乗り込むココの手を引いたルカに感謝の気持ちを伝える。
「俺こそ…出会ってくれてありがとう。君に出会えて…俺の世界は変わった。」
青い瞳がココを見つめてゆらゆらと揺れている。
ルカは出会った時から、何を考えているかまるで分らない、いつもどこか寂しさをまとった男だった。
ルカがどんな人生を歩んできたのか、ココは何一つ知らない。
だけど、ココが持つどうしようもない寂しさを、ルカは知っている気がした。
「私の未来を…これからルカが変えてくれるんでしょう?」
「…ああ。」
ココはルカを信じていた。
そして、ルカがいればいつかステフを忘れられるのではないかと…そんな希望を胸に抱いている。
ココとルカを乗せた馬車は、闇商人が待つ船着き場に向かって走りだした。
◇◇◇
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