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29. 君に伝えなくちゃいけないから
しおりを挟む「ルカーーーー!!」
ココの絶叫が森に響きわたる。
「今すぐ救出に向かえ!この崖の下は木が多い!命だけは助けられるかもしれない!」
ステフは兵たちに指示を出し、崖から飛び降りたルカ・ザイラスの救出に向かわせた。
ーーー君を‥死なせるわけにはいかないんだ、ルカ!
「ココ!!」
目の前で起きたことを受け止めきれずに、ココは気を失ってしまった。
「ココ…ココ!!」
ステフはココを抱きしめ、必死に彼女の名前を呼んだ。
―――愛してると‥‥いわせてくれ‥‥ココ!
◇◇◇
その後、崖から飛び降りたルカ・ザイラスは救出され、一命をとりとめた。だがいまだに意識はなく、いつ意識が戻るかわかっていない。
ーーー命だけでも、助けられたのが救いか‥‥‥
もしも目を覚ましたとしても、全身に大ケガを負い、かつてのような生活は送れないだろう。彼は闇取引に関わった罪も負っている。
「お前たちを闇取引に関わった罪で逮捕する!」
「なぜですか?!ステフ様!私達は何もしていません!!」
「すでに証拠は発見されている!大人しく捕まれ!」
「くっそ!!」
ボストール家は人身売買に関わっていた罪だけではなく、闇取引を大規模に行っていたことで更迭された。アリアの父であるボストール家当主だけでなく、かかわっていた人間は全員刑務所送りになった。もちろん、アリアも…。
「なんでよ!!離しなさいよ!!」
そしてアリアは闇取引に関わった罪だけでなく、放火の罪にも問われている。10年以上前の出来事であることから立証は難しいかと思われた。だが、当時彼女が放火を命令した事実とその相手を記した日記が出てきたことから、状況は一変。放火容疑でアリア・ボストールは逮捕されることになりそうだ。
◇◇
そして、ルカが眠る病室には、一人の少女がお見舞いに来ていた。
「お兄ちゃん…。」
彼女はステフによってボストール家から保護されたルカの妹。彼女は目を閉じたままの兄の手にそっと触れた。
「会いたかったよ‥‥。」
幼い彼女は未だに治療薬がない病に苦しみながら、今を懸命に生きていた。
ルカの妹はじっと兄を見つめる。
―――優しい顔してる…
目を覚まさないルカの表情は、ひどく穏やかであった。
「また…一緒に遊ぼう…?」
ルカの妹は、兄が犯罪に関わっていたことを知らない。
(お兄ちゃんの友達のココさんが、私を助けてくれるって言ってたんだよ。お兄ちゃん‥‥‥。私、信じてるからね。)
これから5年後。隣国セブンリ国の医療団が新たな薬を開発し、彼女を含めた大勢の人間が救われることになる。
そして、そのセブンリ医療団の一員にはココ・ウィーゼルの名前もあるのだが‥‥‥まだそれは誰もしらない物語。
◇◇◇
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