【完結】好きな人ができたら婚約破棄しよう。それは王子様と公爵令嬢が結んだ約束でした。一人ぼっちの公爵令嬢は今日も王子様を待っています

五月ふう

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32.大好きな人と一緒に

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 それから何が起こったかというと……。

 ミラント城。王の間。第二王子ステフ・ミラントはミラント国王夫妻に言い放った。

「それでは、父上、母上。僕はココとセブンリにいってまいります。」

 ミラント国王夫妻はぎょっとした顔で、第二王子を見つめる。成績優秀で、国民からの人気も高いステフ。いまだ正式な婚約者がいないことだけが問題だと思われていた彼が、おかしなことを言いだした。

「ちょ、ちょっと待って頂戴!そんな勝手なことが許されるはずはないでしょう!……それにココは……もう王族の婚約者になれるような身分じゃないでしょう!?」

 ステフの母親である王妃は、取り乱した顔で訴える。

「ココの身分がどうであろうと、僕には関係ありません。」

 ステフは笑顔で、両親に言い放つ。

「あ……貴方は第二王子です!」

「もしも第二王子であることが理由で、ココと結婚できないというのならば、僕は今すぐにでも王子を辞めましょう。」

 ステフは微笑みを浮かべている。

 ――――ココが僕のことを愛してくれている。ああ、なんて幸せなんだ……。

 実のところ、あの日からステフの頭の中は幸せでいっぱいだった。両親の反対など全く気にならないほどに。そもそもステフは両思いでなくても、絶対にココとの婚約破棄を認めなかったのだ。

 念願叶って両思いになったステフが、両親に反対された程度でココを手放すはずはない。

 「ふう。わかった……ココとの婚約は認めよう。」

 「貴方っつ。」

 ステフの国王であるミラント国王は頭を押さえた。

 「しょうがなかろう……ステフもすでに二十を超えている。これ以上結婚を遅らせるわけにはいかんし……この頑固者がココ以外の女性を婚約者と認めるはずないだろう?」

 「そうかも……しれませんがっ。」

 ミラント王妃は青ざめている。

 「認めていただいてありがとうございます!それではっ。」
 
 母の動揺に全く構うことなく、ステフは二人に背を向ける。

 ――――ココのところに早く帰ろう!

 「待ちなさい。ステフ。セブンリに行くとはどういうことだ?!」

 「父上がココとの結婚をみとめてくださったので、僕はミラント国の王子として、セブンリの大学に留学したいと思います。」

 やはりミラント国よりもセブンリのほうが、あらゆる面で発達している。ステフはココのために、伝染病の研究機関を紹介していた。ココの夢はステフの夢でもある。彼女の夢を全力で応援するのがステフの役目だと彼は確信していた。

 ”そうしたら、しばらく遠距離恋愛になるわね”

 ステフから伝染病の研究機関を紹介してもらったココは寂しそうにしていた。

 ”いいや!僕も一緒に行くよ”

 ”え?!”

 ”ココと離れるなんて、僕ができないからね!”

 そうして、ステフはすぐにセブンリの大学に留学することをきめたのだった。

「セブンリ国は我が国より、経済的・科学的に優れた国です。ミラント国はこれからセブンリ国がなぜ発展しているのか学ばなければならない、そうでしょう?」

「そうかもしれないが……お前が行くことはないだろう……。」

「いいえ。僕は第二王子として兄上を支えてくる立場なのですから、外の世界を知る必要があるのですよ!」

「だがっ。」

「止めても無駄ですよ。」

 ステフは、にっこりとほほ笑む。

「僕にとって一番大切なものはココです。10年間、一度も揺らがなかった。それを引き裂こうというのなら、僕は今すぐにココと一緒にミラント王国を出ますから。」

 それはある意味で脅迫であった。ミラント国王夫妻はステフを説得することはできずに、ココとステフがともにセブンリ国に留学することを認めたのだった。


  ◇◇◇

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