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第一章
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朝、全自動洗濯乾燥魔道機の働きをしっかりと見届けてから魔道具たちにしばしの別れを告げた。
『頑張って来いよ』
と家族全員がエントランスに集まり、僕を見送ってくれた。こんなことが今まであっただろうか。
神殿へ行く道すがら、あまりの嬉しさに思い出し泣きしてしまったのはしょうがない。でも、何となく報酬のために応援してるんだってことは分かってる。
出立式。
とんでもなく場違いだと思いつつも、大神殿の祭壇前で大神官様が祈りを捧げるのを他人事のように眺め、仰々しく見送られる勇者様御一行の陰に隠れるようにして神殿を出た。今回はハーレムは四人なんだな、とか聞こえたけど、僕は気にしない。カウントされていようがいまいが、報酬を貰えることには変わりないのだから。
「勇者様、こちらに寄りましょう」
「ギルドね、はいはい」
まず旅には欠かせないギルドでの冒険者登録を済ませる。雑用係と分かればもう怖いものはない。期待されないというのは身軽でいい。勇者様とも臆せず会話できるようになった。
二度目に顔を合わせた時には「お前誰だっけ?」って言われたし、僕に対する口調もなんだか他の四人と違って舐められてる感が強いけど、僕の帰りを待つ魔道具達と報奨金のためだと思えば満面の笑みだって簡単に作れる。それに勇者様に反抗するのは得策じゃないし。
「ハヤト、クサカベ…職業、勇者…っと。勇者様、ここに手を当ててください。光れば登録が完了します」
「あー、はいはい」
登録が終われば、実戦での修行を開始する。
『ちーと』という加護があるため、修行といってもレベル上げも兼て慣らすのが目的だ。
勇者様の魔属性に関しては、聖は勿論、火と土がすでに10段階中Lv.10で特化してるから、超攻撃的といってもいいと思う。Lv.MAXという表記じゃないのは限界突破可能だからだ。これも『ちーと』らしい。戦闘スキルも幅広く持っていて、そこそこの使い手みたいだ。
大概の勇者様は剣を握った事がないらしいけれど、今回の勇者様は持ち慣れているような気がする。ぎこちなさが無くて様になってる。
この分だとエルフの女騎士も教え甲斐があるんじゃないだろうか。
「流石ですね、勇者様! こんな素晴らしいステータス見たことありません!」
ここは褒めておかないと。まずは勇者様の友好度を上げなければ始まらない。
「あっそ」
半目でどうでもいい感じの答えが返ってくる。
「ハヤトは選ばれた勇者なんですもの、当然ですわ」
「アンタが話しかけられるようなお方じゃないんからね」
「身の程知らずな奴だ」
「なんてたって、『レベル5』しかないんだもんニャぁ?」
立て続けに僕を扱き下ろしたのち、僕のレベルを暴露してニタニタと笑う美女四人にサッと血の気が引いた。
「な、なんでそれを…っ」
勇者様も知ってる?!、と勇者様の顔を見遣るけど、興味なさそうに前髪をいじっていた。
誰かが希少スキルである『鑑定』を持っているのかもしれない。サッと手元にある勇者様のステータスを見ると、案の定スキル欄に『鑑定Lv.MAX+α』の表記。+αが何かわからないけど。
あの部屋に入った瞬間から僕のごみステータスがバレていたということだ。
分かってたなら言って欲しかった。自分が知られてないと思ってたことを知られてたと分かると、とんでもなく恥ずかしい。こっちは隠してるつもりなのに。
でも、勇者様は本気でどうでもいいらしい。
併設された酒場カウンターで昼食を注文して食べ始めてしまった。女性陣も僕を置いて勇者様と出発前の腹ごしらえ。
「…………」
悲しくなんてないんだから。
『頑張って来いよ』
と家族全員がエントランスに集まり、僕を見送ってくれた。こんなことが今まであっただろうか。
神殿へ行く道すがら、あまりの嬉しさに思い出し泣きしてしまったのはしょうがない。でも、何となく報酬のために応援してるんだってことは分かってる。
出立式。
とんでもなく場違いだと思いつつも、大神殿の祭壇前で大神官様が祈りを捧げるのを他人事のように眺め、仰々しく見送られる勇者様御一行の陰に隠れるようにして神殿を出た。今回はハーレムは四人なんだな、とか聞こえたけど、僕は気にしない。カウントされていようがいまいが、報酬を貰えることには変わりないのだから。
「勇者様、こちらに寄りましょう」
「ギルドね、はいはい」
まず旅には欠かせないギルドでの冒険者登録を済ませる。雑用係と分かればもう怖いものはない。期待されないというのは身軽でいい。勇者様とも臆せず会話できるようになった。
二度目に顔を合わせた時には「お前誰だっけ?」って言われたし、僕に対する口調もなんだか他の四人と違って舐められてる感が強いけど、僕の帰りを待つ魔道具達と報奨金のためだと思えば満面の笑みだって簡単に作れる。それに勇者様に反抗するのは得策じゃないし。
「ハヤト、クサカベ…職業、勇者…っと。勇者様、ここに手を当ててください。光れば登録が完了します」
「あー、はいはい」
登録が終われば、実戦での修行を開始する。
『ちーと』という加護があるため、修行といってもレベル上げも兼て慣らすのが目的だ。
勇者様の魔属性に関しては、聖は勿論、火と土がすでに10段階中Lv.10で特化してるから、超攻撃的といってもいいと思う。Lv.MAXという表記じゃないのは限界突破可能だからだ。これも『ちーと』らしい。戦闘スキルも幅広く持っていて、そこそこの使い手みたいだ。
大概の勇者様は剣を握った事がないらしいけれど、今回の勇者様は持ち慣れているような気がする。ぎこちなさが無くて様になってる。
この分だとエルフの女騎士も教え甲斐があるんじゃないだろうか。
「流石ですね、勇者様! こんな素晴らしいステータス見たことありません!」
ここは褒めておかないと。まずは勇者様の友好度を上げなければ始まらない。
「あっそ」
半目でどうでもいい感じの答えが返ってくる。
「ハヤトは選ばれた勇者なんですもの、当然ですわ」
「アンタが話しかけられるようなお方じゃないんからね」
「身の程知らずな奴だ」
「なんてたって、『レベル5』しかないんだもんニャぁ?」
立て続けに僕を扱き下ろしたのち、僕のレベルを暴露してニタニタと笑う美女四人にサッと血の気が引いた。
「な、なんでそれを…っ」
勇者様も知ってる?!、と勇者様の顔を見遣るけど、興味なさそうに前髪をいじっていた。
誰かが希少スキルである『鑑定』を持っているのかもしれない。サッと手元にある勇者様のステータスを見ると、案の定スキル欄に『鑑定Lv.MAX+α』の表記。+αが何かわからないけど。
あの部屋に入った瞬間から僕のごみステータスがバレていたということだ。
分かってたなら言って欲しかった。自分が知られてないと思ってたことを知られてたと分かると、とんでもなく恥ずかしい。こっちは隠してるつもりなのに。
でも、勇者様は本気でどうでもいいらしい。
併設された酒場カウンターで昼食を注文して食べ始めてしまった。女性陣も僕を置いて勇者様と出発前の腹ごしらえ。
「…………」
悲しくなんてないんだから。
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