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珈琲きの子

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「今日は一人かぁ」

 これは俺の仕事、と晩御飯はいつも省吾が率先して作ってくれるし、一人分だとどうも作る気になれない。 
 残業もなく定時上がりで帰って時間はあるものの、結局夕食は作らずテーブルには買ってきた惣菜の揚げ物とサラダを並べた。お皿に盛り付けて白ご飯とお味噌汁を用意して、なんとなくしっかりした夕食らしくはなる。向かいに座る省吾はいないけど、いただきますをしてお箸を取った。
 切り分けたメンチカツを口に放り込んだ時、知らない電話番号から着信があったけどかかってくる予定もない。不審に思っていたら、口にあるものを飲み込む前に音が止んだ。
 気持ち悪くて履歴に残る電話番号をネットで調べてみたけど特にヒットせず、電話がかかってきたのはその一度きりで、急ぎではないと判断した僕はそのまま放置することにした。

 夕飯を平らげ、金曜だし省吾は終電になりそうだな、と先にお風呂入れば、湯船に浸かっているときにガタガタと玄関が騒がしくなり省吾の帰宅を知らせた。そして浴室のドアが躊躇なく開いた。

「一希ぃ、ただいまー」
「おかえり」
「……一緒に入る」
「大丈夫? 酔い冷ましてからの方がいいんじゃない?」
「だいじょーぶ!」

 ほろ酔いで気持ちいいらしい。ニコニコしながら服を脱いで、その細マッチョな長身を余すことなく僕の視界に晒した。
 恋人になってから二年経ってるんだからやることはやってるし、見慣れていると言えばいるんだけど、やっぱりかっこいいなぁとしみじみ思ってしまう。しかもなんだか最近渋さも加わってきているし。省吾は歳を取るにつれ色気を漂わせるタイプみたいで、その片鱗が既に見え隠れしていた。

 省吾は軽く体を洗ってから僕の背中側に入り込んで、後ろから抱きしめるような形で湯船に収まった。硬いものがお尻に当たってるけど、気にしないことにする。

「なーシよー」
「良いことあったの?」
「そー、あったの。嬉しいから一希とこの思いを共有したいんです」

 その可愛い物言いに、笑いを零しつつ「いいよ」と答えると、首筋にキスが落とされた。
 いつもは心地よい口付けもスイッチが入ると、ゾクリとした快感を呼び起こすものになる。首筋に舌が這い、胸を弄られる。中心にまで省吾の手が伸びれば、もう完敗。

「一希、かわいい」
「んっ、……ぁ、あ、待って……」

 屹立を激しく擦り上げられ、頭を省吾の肩に預けるように体が仰け反る。急激な追い上げに体を震わせていると、省吾が急に手を止めて僕を湯船から引き上げた。

「やばい、のぼせる」

 そう言いつつも浴室から出る気配はなく、バスタブに座ると僕を膝の上に招き、手に取ったボディソープを僕の体に塗りつけた。いつもとは違い、手のひらがぬめりを帯びてなめらかに肌の上を滑る。その感触が思いのほか気持ちよくて僕は悶絶した。喘ぎ声も大きくなってしまっている気がする。

「あ、それっ……ン、っんー」

 省吾の色素の薄い目と目が合ったと思ったら、頭を引き寄せられて唇で口を塞がれる。そのやや強引な行動にゾクゾクと甘い痺れが体中に広がるのを感じた。

「ん……ん、っ……はぁ」

 省吾の首に抱きつき、キスを交わす。その間も省吾の手が僕の体を撫で回し、後ろを解した。

「は、ぁ、ごめん、なんか理性きかねぇ」
「僕も……省吾が、早く欲しい」
「ったく、それ、反則っ」

 省吾がさっとシャワーを掛けて泡を落とすとそのまま立ち上がってしまったため、僕は慌てて省吾の首にしがみついた。それをいいことに僕を抱えあげると体を拭きもせず、寝室まで一直線に向かった。
 二人してベッドにダイブして唇を貪り合う。省吾が酔っているのに引きずられているのか、気持ちの高ぶりが止まらなかった。
 脚に省吾の腕が絡み、腰を引き寄せる。宛てがわれた熱に奥が疼き、首に回した腕に力が入ってキスをねだるような形になってしまった。

「なんなの? かわいすぎ」

 怒ったように呟いた省吾がぐっと体重をかけて中に入ってくる。それは省吾に組み敷かれていることを実感する瞬間。押し開かれる快感に恍惚とし、体が悦びに震える。

「ぁ、あぁ、省吾、好き」

 それに対する省吾の返事はなかった。ただ代わりに獰猛さを宿す瞳で見下され、最奥をこじ開けるように穿たれる。腰に食い込む指。打ち付けられる肌。それらが痛いほどに愛情を伝えてくる。その省吾に求められているという事実が僕にはなによりも嬉しかった。
 決してSubの本能が満たされているわけではないのに、ちゃんと愛する人との行為で悦びを感じられる。
 省吾と出会えたことに感謝しかなかった。そして、これからもずっと一緒にいたいという想いは、僕の心の中で一回り大きく成長を遂げたのだった。



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