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2.開花の理由
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何故なら、メリルは貴重な魔法使いの血筋であり、ミラヴェルと愛し合うことでその血筋を開花させたからだった。
この世界は、魔力が込められた魔具が日常生活の至るところで使われている。人々が生きる上で必要不可欠な道具だ。魔力がない人間が世界人口の九割を占めているが、魔具であれば誰でも使用することが出来る。
だが、魔法使いは自身の体内に魔力を備えており、魔具がなくても魔法を行使出来る。故に、魔法使いは世界で最も貴重な存在とされている。自身の力のみで魔法を行使出来るその存在はどの国にとっても驚異になり得るからだ。
メリルはその貴重な魔法使いを母に持つ。母は現皇帝の側妃であり、魔法使いであるが故にその身分は正妃と変わらない。
魔法使いとして開花する条件は、魔法使いの血筋と愛が絶対条件。
魔法使いの原点は、地上に降り立った女神様が一人の人間に恋をして力を与えたことによって得られたものだ。故に、自身の根幹になり得る愛を持たなければ開花することは出来ない。魔法使いの血筋でも魔法使いとして開花出来る者は半分にも満たない。開花したとしてもその愛を失えば同時に力も失う。逆に愛が大きければ大きいほど、魔力量は上限なく溢れる。だが、全世界探しても死ぬまで魔法使いだった者は殆どいないとされている。それだけ、愛を継続させることは難しいのだ。自身の根幹になるほどの大きな愛となると、余計に。
メリルはそんな稀有な力を、ミラヴェルと恋人になって開花させた。
帝国の皇子が魔法使いになったことは初めてであり、皇家はものすごく沸いた。相手が男だとしても関係なかった。
だが、学園を卒業しすぐに結婚する、ミラヴェルを正妃とすると言い出した時、ようやく皇家と周囲はどうしようと頭を悩ませたのである。人格者として名高く、次期皇帝としても期待しか持っていない皇太子が、後継ぎを望めない男とだけ婚姻することに、欲が出てきてしまったのだ。次期皇帝としても魔法使いとしても、メリルの血を引く子どもが欲しいと欲張ってしまった。
そのため、結婚自体に反対する者、側妃を条件とする者と二分された。
――結婚は認めよう。だが、側妃を持ち、後継ぎを作ることを条件とする。
そんな皇命が出されそうになったが、本人が「側妃は要らない。ミラ以外と触れ合ったらこの愛はズタボロの雑巾に落ちる」と答えた。
結局、紆余曲折の末にメリルの意思が尊重され、二年前に無条件でミラヴェルとの結婚を果たしたのだった。
話は逸れたが、基本はメリルの手のひらの上にいるミラヴェルは好奇心に殺されることはなく、結婚後もまあまあ平穏な暮らしをしていた。
……なのに、何があったか知らないが、ミラヴェルは好奇心を刺激された良い笑顔を見せてきていた。
「なあハイノ、俺働こうと思う」
「今すぐ諦めてください」
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だが、魔法使いは自身の体内に魔力を備えており、魔具がなくても魔法を行使出来る。故に、魔法使いは世界で最も貴重な存在とされている。自身の力のみで魔法を行使出来るその存在はどの国にとっても驚異になり得るからだ。
メリルはその貴重な魔法使いを母に持つ。母は現皇帝の側妃であり、魔法使いであるが故にその身分は正妃と変わらない。
魔法使いとして開花する条件は、魔法使いの血筋と愛が絶対条件。
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メリルはそんな稀有な力を、ミラヴェルと恋人になって開花させた。
帝国の皇子が魔法使いになったことは初めてであり、皇家はものすごく沸いた。相手が男だとしても関係なかった。
だが、学園を卒業しすぐに結婚する、ミラヴェルを正妃とすると言い出した時、ようやく皇家と周囲はどうしようと頭を悩ませたのである。人格者として名高く、次期皇帝としても期待しか持っていない皇太子が、後継ぎを望めない男とだけ婚姻することに、欲が出てきてしまったのだ。次期皇帝としても魔法使いとしても、メリルの血を引く子どもが欲しいと欲張ってしまった。
そのため、結婚自体に反対する者、側妃を条件とする者と二分された。
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結局、紆余曲折の末にメリルの意思が尊重され、二年前に無条件でミラヴェルとの結婚を果たしたのだった。
話は逸れたが、基本はメリルの手のひらの上にいるミラヴェルは好奇心に殺されることはなく、結婚後もまあまあ平穏な暮らしをしていた。
……なのに、何があったか知らないが、ミラヴェルは好奇心を刺激された良い笑顔を見せてきていた。
「なあハイノ、俺働こうと思う」
「今すぐ諦めてください」
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