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17.答え合わせ(※R-18)
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伝統的な建築様式で造られた別邸。屋敷内には人の気配が少ない。寝静まっているのか、元々使用人が少ないのか、それは初めて訪れたため分からない。
スヴェンと呼ばれた男に連れられたのは寝室だった。外観と比べ調度品類は真新しく機能的なものが多い。主人の趣味が分かるようだ。無駄がなく機能的、シンプルなのにデザインは凝っている。
「ここはルカの別邸だよな? 普段から使っているのか?」
「はい。離宮と使い分けていらっしゃいます」
「ふーん」
スヴェンが一礼していなくなると、やることはない。銀髪のウィッグを放り投げ、寝て待とうとベッドの中央で目を閉じる。だが、眠気は来ない。意識が興奮しているからだ。ルカが、ソフィアが、エレノアが、レオナルドが、皇室騎士団が、今何をしているか考えるだけで思考が忙しなく巡ってしまう。
早く、早く、早く、全ての結果が見たくて堪らない。
どれくらい経ったか、ジッとしていれば乱暴に扉が開かれる。本能的にルカだと思い起き上がったが、強い力で押し倒された。反射的に目を瞑ってしまった瞬間、唇が塞がれる。
「ん」
至近距離にあったのはルカの瞳。真っ赤な目が瞬きもなく見つめていた。薄く口を開けば舌が入り込む。体中の全てが密着するように抱き締められる。
秋の匂いと僅かな汗の匂い、そしてルカ本来の体臭。それらが混ざった匂いが鼻腔を抜ける度に、記憶は過去に飛びそうになる。
学園のパーティーで香水に酔った十七歳の俺。気持ち悪さを上書きするかのようにルカ・ランベールと抱き締め合った。擬似セックスにも取れるほど互いが体を擦り付け、下着の中に白濁を吐き出した。それからも、人目がないところで度々ルカと抱き締め合った。理由なんかない。
今と当時で違うとすれば、唇を合わせていることくらいだろう。
「ルカ」
俺はルカの頭に腕を回して抱え込む。鎖が邪魔だが解けと言う時間も惜しい。
美しさも礼儀も思い遣りもない、自分の欲を満たすためだけのキスだった。貪るという表現の方が正しい。
「アリーチェ」
「ぁ」
ルカはいつの間にか準備したのか、オイルで濡れた指を後ろの穴に挿し込んできた。キスに夢中で心の準備をする暇もなかった。ズブっとはいってくる指には違和感しかない。
「アリーチェ」
「ふ、ぁ、あぁ」
快感は拾えない、そう思っていたのに俺の口からは甲高い声ばかり上がった。
「アリーチェ、挿れるぞ」
手足の枷は外されていた。穴の中をいじる指に夢中過ぎたらしい。
俺はルカに抱きついていた腕を解き、だらりとベッドの上に落とす。自ら足を広げて見せればきっと滑稽な姿に見えるだろう。だが、それで良い。ルカが何を選び捨てたのか、その結果に俺がいて、自分の好きに出来ているということを、視覚情報として与えるのだ。
「ルカ」
ルカは俺の意図が分かったのか、背筋を伸ばして腰だけを前へと進めた。俺の体内へ埋め込まれていく様を凝視している。
「あ゙ぁ、あ゙っ!?」
初めての感覚が全身を貫く。指とは比べ物にならない。
「アリーチェ、忘れるなよ。は、ぁ、お前は、俺の所有物だ」
「~~っ!」
体内を無理やり広げられる。オイルをたっぷり使ったおかげで滑りに問題はないが、圧迫感が苦しい。
「息をしろ」
「は、は、はぁ」
「名前を呼べ」
「……る、か、るか、ぁ、あ、ゔぁ」
ルカは俺の腰を掴むと、内側を擦るように律動を始めた。ゆっくりとした動きだが、じわじわと快感を高めるような感覚。背筋に鳥肌が立つ。
「ま、っで、あ゙、さわ、るなぁ、ひっゔ」
途中、陰茎を掴まれる。裂け目を指の腹で刺激されながら、ルカの動きに合わせて上下に擦られる。後ろだけでは快感は少なく圧迫感と違和感が強かったのに、陰茎への直接的な刺激のせいで快感が上回ってしまう。
体が、後ろの刺激も快感だと勘違いしそうになる。
「あぁ、あっ、ん、あ」
「は、アリーチェ、イッていいぞ」
「い、ぐ、ま、ぁ、あっ」
ルカの言葉に、体は素直に白濁を吐き出した。全身が震える。
「中に出すから」
「――っ!?」
先程までゆっくりだった動きが激しくなる。下半身からの衝撃が強すぎて頭が混乱した。
「っ? ぁ、ぇ? あ゙?」
ぐちゅぐちゅと泡立てるような音、パンパンと肉同士がぶつかる音、微かなルカの興奮した音、それしか分からなかった。
「は、ぁっ」
腹の奥が温かくなった気がした。ようやく衝撃が止まると、ルカが俺から陰茎を抜く。
「アリーチェ」
「ん、ん」
呆然としている暇もなく、ルカにキスをされた。口内を舐め回され、舌を甘噛みされる。分泌される唾液を飲まれた。
「アリーチェ、お前の手のひらの上で踊ったんだ。最後まで好きにしろ」
「……は、は。良いのか?」
「今更だろ。あの闇オークションを摘発するために潜り込んだのに、俺は摘発よりもお前を自分の物にする方を取った」
そうだ。ルカは違法な闇オークションを開催するあの商団を摘発するため動いていた。招待状を手に入れ中に潜り込み、オークションが終わる頃に会場を封鎖して現行犯逮捕する予定だった。そうなるよう、多くの情報を多くの人を介して騎士団に伝えてやったからだ。
だが、俺が最後に出品され、ルカは摘発することよりも俺を買い俺を所有する権利を選んだのだ。摘発すれば、俺は『運悪く捕えられ売られた公爵家の人間』として保護される。
ルカはそれを選ばなかった。
本来なら帝国に三つしかいない公爵家の人間が出品されているなら、何を犠牲にしても助け出さなければならない。摘発以外あり得ないのに。
「俺をそんなに、自分のものにしたかったのか?」
「……みたいだな。お前が俺のものになるのだと思ったら、迷うこともなかったよ」
ルカはどこか諦めたように溜め息を吐く。
俺もルカに倣い起き上がるが、腰に痛みが走って動きが止まる。「ゔ」っと呻き声を出せばすぐに体を引き寄せられた。ルカの膝に座らされると、暖かい手のひらが労るように腰を撫でる。
「俺はお前を選んだ。お前は、どうするんだ?」
随分と広範囲な問い掛けだ。意図を受け取り側に委ねているのだろうか。
俺はルカの後頭部に手を添え引き寄せ、噛み付くようにキスをした。唇を合わせたまま、俺を選んだルカにどうするつもりか答える。
「俺を選んだことがお前の幸せだったと証明しようか」
「……は」
間抜けにも見える唖然とした表情に、俺は気分を良くする。最後にわざとリップ音を立ててから顔を離した。
「はは、そうか。お前を選んだことが正しかったと、俺の幸せだったと、証明するために生きてくれるのか」
「散々一人で隠居生活をしてきたんだ。他人のために生きるのも悪くない」
「なら現在進行形でお前を選んだことを後悔しているんだが、どうしたら良い?」
ルカが立てた膝に頬杖をつく。その顔は上機嫌と不機嫌が混ざったようなそれだ。
「大したことじゃないだろ」
「どこがだ。お前のせいで相当面倒なことになっているんだぞ」
「いつも通り帝国法に則れば良い。何を考える必要があるんだ?」
当たり前のことを言っただけなのに、溜め息を吐かれる。
「お前は全てを把握していると思うが、皇太子殿下が婚約者よりも心を寄せている令嬢が、摘発した闇オークションに関わっていたことが判明したんだぞ。簡単に後処理が着くと思うか?」
逆に何故簡単に終わらないか分からない。
危険物や人間、魔物関連を商品にしたオークション、所謂闇オークションは帝国内で禁止されており、それに関わった客も連行される。罪状が確定するまで牢に捕えられ、裁判にかけられる。そこに身分や立場は関係ない。
「令嬢が関わっていたとしても裁判は免れないだろ」
「一応聞くが、その令嬢が誰かは分かっているんだろうな?」
「もちろん。うちの可愛い姪のソフィアだろう?」
ニコッと目を細めて微笑めば、何故か軽くキスをされた。
「……いきなりなんだ」
「可愛い顔だったから」
少し引く。真顔で何を言っているんだ。
「で? ソフィアが闇オークションに関わっていたからって何が面倒なんだ? たかだか公爵家の養子だろ」
「レオナルドが庇っている。だが、周りからの証言もあるし、エレノア嬢が証拠も持ってきた。その上」
次にどんな言葉が続くか予想出来る。
「見習い神官がオークションに掛けられていたことが分かって、神殿側が激怒しているんだ」
やはり想像通り。
「ちなみにその神官は」
「俺の可愛い恋人役のマリーだろう?」
「……そうだ」
帝国は神殿と敵対することが出来ない。
代々神殿の代表は聖神力を持っている者が務めることになっている。その力は魔物に侵された人々の精神を浄化出来る唯一無二であり、この帝国内ではマルク猊下とパトリス猊下、皇后である聖女だけが持っている。神官も修行を積めば多少の聖神力を持つことが出来るが、三人のそれとは比べものにならない。その力は魔物が住む森と隣接しているこの帝国には必要不可欠なのだ。そのため皇帝でさえ強い聖神力を持つ者を疎かには出来ない。
神殿側が激怒しているのなら皇帝は無視出来ないし、曖昧に終わらせることも出来ない。
「そうか。猊下は神官を我が子のように大切にしているからな。オークションにかけられたと知って平静ではいられない」
ちなみに俺が言う猊下はマルク猊下だ。壮年後期とは思えないほど活発な人。完璧な外面を作っているパトリスとは違い本物の聖職者の鏡である。俺が純粋に尊敬する一人だ。
「マルク猊下があれほど激怒しているところは初めて見た」
「裁判にかければ良い。曖昧なことをすれば神殿の怒りを買うことになる」
「そうだ」
帝国法に則るだけの話を難しく考える必要はない。何が引っ掛かるのか。
「ソフィア嬢は未成年だ。帝国法に則るならソフィア嬢の罪は保護者にも降り掛かる。良いのか?」
ルカの言いたいことが分かり、俺は両目を見開いてその顔を凝視した。
「……お前、俺の心配をしているのか?」
「学生時代から、お前が関わることで心配しなかったことはない」
直球な言葉に驚く。
俺がルカのものになったこと以外今までと何も変わらないのに、性格が変わり過ぎではないか? 学生時代なんて俺に突っかかってくることばかりだったくせに?
そのことを言えば、ルカは眉間に皺を寄せた。
「敵を作るようなことをするお前が心配だったんだ」
「いきなりそんな素直になれるか?」
「もうお前の前で自分を保つ必要もないだろ。好きにするさ」
吹っ切れると清々しいほど自分に素直になるらしい。知らなかった一面である。
「あぁ、そう。とりあえず、今回の件に関しては気にしなくて良い」
「お前がそう言うなら良いが」
「俺を心配してわざわざ戻って来たのか?」
「あとお前を早く抱きたくて思考が纏まらなかったからな」
俺を心配し、俺を抱きたくて、調査も中途半端だろうに戻って来たということだ。
何十年も高潔な騎士として在り続けた男の変わりように着いていけない。俺を求めると分かっていたが、その求め方は想像とは少し違う。
「アリーチェが問題ないなら、早々に裁判になる。しかも闇オークションに公爵家の義理ではあるが娘が関わっていたんだ。帝国中が注目するだろうな」
「あぁ。傍聴権の取り合いが目に見えているな」
「お前はどうする?」
「もちろん、ソフィアの叔父として出席するよ」
そのためにはまだやることが残っている。
俺はルカの上から降りる。まずは公爵邸に戻り、裁判に向けた最終調整を行うのだ。……だが、降りた瞬間、足の間からどろっと何かが垂れる感覚がして体が固まる。
「あぁ、俺の精液が溢れているぞ」
「……言われなくても分かっている。どれだけ中に出したんだ?」
穴から垂れ続ける白濁が漏らしているような感覚にさせる。不愉快で眉間に皺が寄る。さっさと全部流れ出てくれないかと思い、自分で尻の片方を持ち広げてみる。多分指を入れて直接掻き出した方が良いのだろうが、自分の排泄器官に指を入れる勇気はまだない。
引き寄せたシーツの上にポタポタと流していれば、勢いよく後ろへ引かれた。驚いて「わ!?」と思わず声が出る。
「ルカ? ぁ? なに」
「誘惑しているのか? 自ら穴を広げて見せて」
「お前のが流れてきて気持ち悪いんだよ」
「そんなこと言うなよ。もう一回ヤろうか」
「は?」
抱き込まれたと思ったのも束の間、ズンっと下半身に衝撃が走る。
「あっ!?」
全身が驚きに固まる。先程よりも深く中に入り込んでいる気がした。
「しばらくお前の躾をしてやる。俺の体温と匂いを感じるだけで勃たせるようになろうな」
「……は、っ変態、か、ぁ!」
結局、俺がベッドから降りられたのは朝日が登り始める頃だった。
スヴェンと呼ばれた男に連れられたのは寝室だった。外観と比べ調度品類は真新しく機能的なものが多い。主人の趣味が分かるようだ。無駄がなく機能的、シンプルなのにデザインは凝っている。
「ここはルカの別邸だよな? 普段から使っているのか?」
「はい。離宮と使い分けていらっしゃいます」
「ふーん」
スヴェンが一礼していなくなると、やることはない。銀髪のウィッグを放り投げ、寝て待とうとベッドの中央で目を閉じる。だが、眠気は来ない。意識が興奮しているからだ。ルカが、ソフィアが、エレノアが、レオナルドが、皇室騎士団が、今何をしているか考えるだけで思考が忙しなく巡ってしまう。
早く、早く、早く、全ての結果が見たくて堪らない。
どれくらい経ったか、ジッとしていれば乱暴に扉が開かれる。本能的にルカだと思い起き上がったが、強い力で押し倒された。反射的に目を瞑ってしまった瞬間、唇が塞がれる。
「ん」
至近距離にあったのはルカの瞳。真っ赤な目が瞬きもなく見つめていた。薄く口を開けば舌が入り込む。体中の全てが密着するように抱き締められる。
秋の匂いと僅かな汗の匂い、そしてルカ本来の体臭。それらが混ざった匂いが鼻腔を抜ける度に、記憶は過去に飛びそうになる。
学園のパーティーで香水に酔った十七歳の俺。気持ち悪さを上書きするかのようにルカ・ランベールと抱き締め合った。擬似セックスにも取れるほど互いが体を擦り付け、下着の中に白濁を吐き出した。それからも、人目がないところで度々ルカと抱き締め合った。理由なんかない。
今と当時で違うとすれば、唇を合わせていることくらいだろう。
「ルカ」
俺はルカの頭に腕を回して抱え込む。鎖が邪魔だが解けと言う時間も惜しい。
美しさも礼儀も思い遣りもない、自分の欲を満たすためだけのキスだった。貪るという表現の方が正しい。
「アリーチェ」
「ぁ」
ルカはいつの間にか準備したのか、オイルで濡れた指を後ろの穴に挿し込んできた。キスに夢中で心の準備をする暇もなかった。ズブっとはいってくる指には違和感しかない。
「アリーチェ」
「ふ、ぁ、あぁ」
快感は拾えない、そう思っていたのに俺の口からは甲高い声ばかり上がった。
「アリーチェ、挿れるぞ」
手足の枷は外されていた。穴の中をいじる指に夢中過ぎたらしい。
俺はルカに抱きついていた腕を解き、だらりとベッドの上に落とす。自ら足を広げて見せればきっと滑稽な姿に見えるだろう。だが、それで良い。ルカが何を選び捨てたのか、その結果に俺がいて、自分の好きに出来ているということを、視覚情報として与えるのだ。
「ルカ」
ルカは俺の意図が分かったのか、背筋を伸ばして腰だけを前へと進めた。俺の体内へ埋め込まれていく様を凝視している。
「あ゙ぁ、あ゙っ!?」
初めての感覚が全身を貫く。指とは比べ物にならない。
「アリーチェ、忘れるなよ。は、ぁ、お前は、俺の所有物だ」
「~~っ!」
体内を無理やり広げられる。オイルをたっぷり使ったおかげで滑りに問題はないが、圧迫感が苦しい。
「息をしろ」
「は、は、はぁ」
「名前を呼べ」
「……る、か、るか、ぁ、あ、ゔぁ」
ルカは俺の腰を掴むと、内側を擦るように律動を始めた。ゆっくりとした動きだが、じわじわと快感を高めるような感覚。背筋に鳥肌が立つ。
「ま、っで、あ゙、さわ、るなぁ、ひっゔ」
途中、陰茎を掴まれる。裂け目を指の腹で刺激されながら、ルカの動きに合わせて上下に擦られる。後ろだけでは快感は少なく圧迫感と違和感が強かったのに、陰茎への直接的な刺激のせいで快感が上回ってしまう。
体が、後ろの刺激も快感だと勘違いしそうになる。
「あぁ、あっ、ん、あ」
「は、アリーチェ、イッていいぞ」
「い、ぐ、ま、ぁ、あっ」
ルカの言葉に、体は素直に白濁を吐き出した。全身が震える。
「中に出すから」
「――っ!?」
先程までゆっくりだった動きが激しくなる。下半身からの衝撃が強すぎて頭が混乱した。
「っ? ぁ、ぇ? あ゙?」
ぐちゅぐちゅと泡立てるような音、パンパンと肉同士がぶつかる音、微かなルカの興奮した音、それしか分からなかった。
「は、ぁっ」
腹の奥が温かくなった気がした。ようやく衝撃が止まると、ルカが俺から陰茎を抜く。
「アリーチェ」
「ん、ん」
呆然としている暇もなく、ルカにキスをされた。口内を舐め回され、舌を甘噛みされる。分泌される唾液を飲まれた。
「アリーチェ、お前の手のひらの上で踊ったんだ。最後まで好きにしろ」
「……は、は。良いのか?」
「今更だろ。あの闇オークションを摘発するために潜り込んだのに、俺は摘発よりもお前を自分の物にする方を取った」
そうだ。ルカは違法な闇オークションを開催するあの商団を摘発するため動いていた。招待状を手に入れ中に潜り込み、オークションが終わる頃に会場を封鎖して現行犯逮捕する予定だった。そうなるよう、多くの情報を多くの人を介して騎士団に伝えてやったからだ。
だが、俺が最後に出品され、ルカは摘発することよりも俺を買い俺を所有する権利を選んだのだ。摘発すれば、俺は『運悪く捕えられ売られた公爵家の人間』として保護される。
ルカはそれを選ばなかった。
本来なら帝国に三つしかいない公爵家の人間が出品されているなら、何を犠牲にしても助け出さなければならない。摘発以外あり得ないのに。
「俺をそんなに、自分のものにしたかったのか?」
「……みたいだな。お前が俺のものになるのだと思ったら、迷うこともなかったよ」
ルカはどこか諦めたように溜め息を吐く。
俺もルカに倣い起き上がるが、腰に痛みが走って動きが止まる。「ゔ」っと呻き声を出せばすぐに体を引き寄せられた。ルカの膝に座らされると、暖かい手のひらが労るように腰を撫でる。
「俺はお前を選んだ。お前は、どうするんだ?」
随分と広範囲な問い掛けだ。意図を受け取り側に委ねているのだろうか。
俺はルカの後頭部に手を添え引き寄せ、噛み付くようにキスをした。唇を合わせたまま、俺を選んだルカにどうするつもりか答える。
「俺を選んだことがお前の幸せだったと証明しようか」
「……は」
間抜けにも見える唖然とした表情に、俺は気分を良くする。最後にわざとリップ音を立ててから顔を離した。
「はは、そうか。お前を選んだことが正しかったと、俺の幸せだったと、証明するために生きてくれるのか」
「散々一人で隠居生活をしてきたんだ。他人のために生きるのも悪くない」
「なら現在進行形でお前を選んだことを後悔しているんだが、どうしたら良い?」
ルカが立てた膝に頬杖をつく。その顔は上機嫌と不機嫌が混ざったようなそれだ。
「大したことじゃないだろ」
「どこがだ。お前のせいで相当面倒なことになっているんだぞ」
「いつも通り帝国法に則れば良い。何を考える必要があるんだ?」
当たり前のことを言っただけなのに、溜め息を吐かれる。
「お前は全てを把握していると思うが、皇太子殿下が婚約者よりも心を寄せている令嬢が、摘発した闇オークションに関わっていたことが判明したんだぞ。簡単に後処理が着くと思うか?」
逆に何故簡単に終わらないか分からない。
危険物や人間、魔物関連を商品にしたオークション、所謂闇オークションは帝国内で禁止されており、それに関わった客も連行される。罪状が確定するまで牢に捕えられ、裁判にかけられる。そこに身分や立場は関係ない。
「令嬢が関わっていたとしても裁判は免れないだろ」
「一応聞くが、その令嬢が誰かは分かっているんだろうな?」
「もちろん。うちの可愛い姪のソフィアだろう?」
ニコッと目を細めて微笑めば、何故か軽くキスをされた。
「……いきなりなんだ」
「可愛い顔だったから」
少し引く。真顔で何を言っているんだ。
「で? ソフィアが闇オークションに関わっていたからって何が面倒なんだ? たかだか公爵家の養子だろ」
「レオナルドが庇っている。だが、周りからの証言もあるし、エレノア嬢が証拠も持ってきた。その上」
次にどんな言葉が続くか予想出来る。
「見習い神官がオークションに掛けられていたことが分かって、神殿側が激怒しているんだ」
やはり想像通り。
「ちなみにその神官は」
「俺の可愛い恋人役のマリーだろう?」
「……そうだ」
帝国は神殿と敵対することが出来ない。
代々神殿の代表は聖神力を持っている者が務めることになっている。その力は魔物に侵された人々の精神を浄化出来る唯一無二であり、この帝国内ではマルク猊下とパトリス猊下、皇后である聖女だけが持っている。神官も修行を積めば多少の聖神力を持つことが出来るが、三人のそれとは比べものにならない。その力は魔物が住む森と隣接しているこの帝国には必要不可欠なのだ。そのため皇帝でさえ強い聖神力を持つ者を疎かには出来ない。
神殿側が激怒しているのなら皇帝は無視出来ないし、曖昧に終わらせることも出来ない。
「そうか。猊下は神官を我が子のように大切にしているからな。オークションにかけられたと知って平静ではいられない」
ちなみに俺が言う猊下はマルク猊下だ。壮年後期とは思えないほど活発な人。完璧な外面を作っているパトリスとは違い本物の聖職者の鏡である。俺が純粋に尊敬する一人だ。
「マルク猊下があれほど激怒しているところは初めて見た」
「裁判にかければ良い。曖昧なことをすれば神殿の怒りを買うことになる」
「そうだ」
帝国法に則るだけの話を難しく考える必要はない。何が引っ掛かるのか。
「ソフィア嬢は未成年だ。帝国法に則るならソフィア嬢の罪は保護者にも降り掛かる。良いのか?」
ルカの言いたいことが分かり、俺は両目を見開いてその顔を凝視した。
「……お前、俺の心配をしているのか?」
「学生時代から、お前が関わることで心配しなかったことはない」
直球な言葉に驚く。
俺がルカのものになったこと以外今までと何も変わらないのに、性格が変わり過ぎではないか? 学生時代なんて俺に突っかかってくることばかりだったくせに?
そのことを言えば、ルカは眉間に皺を寄せた。
「敵を作るようなことをするお前が心配だったんだ」
「いきなりそんな素直になれるか?」
「もうお前の前で自分を保つ必要もないだろ。好きにするさ」
吹っ切れると清々しいほど自分に素直になるらしい。知らなかった一面である。
「あぁ、そう。とりあえず、今回の件に関しては気にしなくて良い」
「お前がそう言うなら良いが」
「俺を心配してわざわざ戻って来たのか?」
「あとお前を早く抱きたくて思考が纏まらなかったからな」
俺を心配し、俺を抱きたくて、調査も中途半端だろうに戻って来たということだ。
何十年も高潔な騎士として在り続けた男の変わりように着いていけない。俺を求めると分かっていたが、その求め方は想像とは少し違う。
「アリーチェが問題ないなら、早々に裁判になる。しかも闇オークションに公爵家の義理ではあるが娘が関わっていたんだ。帝国中が注目するだろうな」
「あぁ。傍聴権の取り合いが目に見えているな」
「お前はどうする?」
「もちろん、ソフィアの叔父として出席するよ」
そのためにはまだやることが残っている。
俺はルカの上から降りる。まずは公爵邸に戻り、裁判に向けた最終調整を行うのだ。……だが、降りた瞬間、足の間からどろっと何かが垂れる感覚がして体が固まる。
「あぁ、俺の精液が溢れているぞ」
「……言われなくても分かっている。どれだけ中に出したんだ?」
穴から垂れ続ける白濁が漏らしているような感覚にさせる。不愉快で眉間に皺が寄る。さっさと全部流れ出てくれないかと思い、自分で尻の片方を持ち広げてみる。多分指を入れて直接掻き出した方が良いのだろうが、自分の排泄器官に指を入れる勇気はまだない。
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「ルカ? ぁ? なに」
「誘惑しているのか? 自ら穴を広げて見せて」
「お前のが流れてきて気持ち悪いんだよ」
「そんなこと言うなよ。もう一回ヤろうか」
「は?」
抱き込まれたと思ったのも束の間、ズンっと下半身に衝撃が走る。
「あっ!?」
全身が驚きに固まる。先程よりも深く中に入り込んでいる気がした。
「しばらくお前の躾をしてやる。俺の体温と匂いを感じるだけで勃たせるようになろうな」
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結局、俺がベッドから降りられたのは朝日が登り始める頃だった。
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