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第2章 沢田くんとお友達から
沢田くんと公開裁判
しおりを挟む非公式で道案内をしてくれるらしい小野田くんの後について、私は沢田くんの家を目指した。
小野田くんは時々私を振り返り、怖い顔で威嚇をしてくる。
「なに勝手についてきてんだあ? 鬱陶しいんだよコラア!【その調子でついてきな!(๑• ̀д•́ )b✧ あ、でも近づきすぎないでね、キンチョーしちゃうから~! 女子と何話したらいいのかマジで分からん!】」
小野田くんは私以上にビビっているようで、逆に私の緊張はだんだんとほぐれてきた。
「あの、小野田くんは沢田くんと幼な……いえ、顔見知りだということですが、沢田くんは昔からあんなに無口だったんですか?」
「チッ、話しかけてくんじゃねえよ!【沢田は確かに無口だった……。昔から何を考えているのかよく分からないヤツだったな……】」
小野田くんは遠くを見る目つきになった。
【あれは確か小学三年……いや、四年? 二年だったっけ。ま、どうでもいいけど──】
お。回想シーンきた。
私はワクワクしながら小野田くんの心の声に耳を傾ける。
【俺たちのクラスにいた金持ちの武井くんが持っていた、当時流行りのカードバトルゲームのレアカードが盗まれるという事件が起きた……。真っ先に疑われたのはもちろんこの俺だ。なにせ、俺んちは貧乏だったからな。レアカードなんて欲しくても買ってもらえる代物じゃない……。みんなは俺が羨ましがって盗んだんだろうって、特に証拠もないのに疑った……。とうとう朝の会で名指しされ、俺は黒板の前に立たされた。まさにあれは恐怖の公開裁判ってやつだった……】
うわー、意外と重たい話だな。小野田くんが本当に無実だったのなら気の毒なことだ。
【俺は孤軍奮闘した。レアカードなんて学校に持ってくる方が悪いんだ、そんなもん盗まれても文句は言えねえだろ、なんて粋がって、開き直ってるなんてますます犯人扱いされて……。俺はもう誰も信じられねえと思った。みんながみんな俺を疑ってるように見えて──ここには俺の味方なんて一人もいないんだって思った……】
うんうん、そうなっちゃうよね。わかるわかる。
私は心の中でしっかり同情の相槌を打つ。
【だが、その時だ。普段は無口な一匹狼だった沢田が……】
さ、沢田くんが⁉︎
まさか、この場で沢田くんが救世主に──⁉︎
私はびっくりして小野田くんを見上げた。
【まさかあいつが、みんなの前で手を挙げてあんなことを言うなんて……。あいつは本物の勇者かと思ったぜ……】
あんなことって何⁉︎
ドキドキしていると、小野田くんがフッと片頬を上げた。
【『せんせー。漏れそうなんでトイレ行っていいですか?:(;゙゚'ω゚'):』】
……え??
私はパチパチとまばたきをした。
【……あいつの空気を読まないその一言に、俺は救われたんだ……クラス中が爆笑に包まれて、和んだのなんのって。レアカードが盗まれたっていうのも結局武井の勘違いだったしな。あれ以来沢田は俺のヒーローなんだ……】
感動的な話だ。……ったかな? あれ?
沢田くん、トイレに行きたかっただけだよね、完全に。
まあ、結果オーライ(笑)。
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