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第3章 沢田くんと炎のドッジボール
沢田くんと作戦会議
しおりを挟む今までボールをキャッチした経験がないと気づいてしまった沢田くんは、どうするべきか必死に考えている。
【俺が犠牲になってボールをこっちのコートに落とせば、次のターンで佐藤さんが怖い人をやっつけてくれるかもしれない。でも、もしそれが外れれば、佐藤さんが怖い人の餌食になってしまうかもしれない……! 佐藤さんを守るためには、やっぱり俺が最後まで残らないとダメだ! 次の攻撃は絶対に俺が止めなきゃ……! ああ、どうしよう。プレッシャーで左の脇腹が痛くなってきた……!:(;゙゚'ω゚'):】
沢田くんの緊張感が私にも伝わってくる。
「沢田くん、がんばれー!」
「あと一人だぞ、沢田!」
外野に行ってしまったBチームの声援も彼の耳には届いていないようだ。
こんなに緊張していたら、本当に二人ともやられてしまうかもしれない。
「沢田くん」
私は沢田くんに声をかけた。沢田くんが振り向く。
【ドキッ! さ、佐藤さん⁉︎ こんな時にどうしたのっ??】
「私のことを心配してくれてるのかもしれないけど、私だったら大丈夫だよ。今日の日のために特訓してきたから!」
それは嘘じゃなかった。
こんなこともあろうかと、毎日壁にボールを当てる練習や跳ね返り球を受け止める練習を繰り返してきたのだ。
なにをやっても普通の地味なモブキャラである私が、誰よりも活躍するには並大抵の努力じゃダメだと思った。それこそ血の滲むような努力じゃないと。
「小野田くんのボールは勢いがあるけど、その分真っ直ぐ飛んでくるから、体の中心で受け止めれば私でも取れると思うの。だからここは私に任せて!」
沢田くんは潤んだ瞳で私を見つめた。
「佐藤さん……【か、かっこいい……:;(∩´﹏`∩);: なんて男前なんだ、佐藤さん!! ビビっていた俺が情けないよ!!】」
「沢田くんは今まで十分活躍してきたから、今度は私の番だよ」
私はにっこりと微笑んだ。
正直取れる自信は50%くらいだったけど、当たっちゃったら当たっちゃったでボールを置き土産にできるはず。
そう思って、私は小野田くんにも声をかけた。
「小野田くん! 沢田くんと一騎打ちしたいなら、まず私を倒したら⁉︎」
「なんだと?【やっべえ、あの子すげえ自信がありそうなんだけど!((((;゚Д゚))))))) もし女の子に取られちゃったらどうしよう、恥ずかしくて次の日から学校行けねえよーー!!】」
小野田くんは沢田くんと私、どっちに投げようか迷っている。
どうしよう。迷われると、どっちに飛んでくるのかギリギリまで分からなくて予測できない。私のアドバンテージはないにも等しくなっちゃう──。
緊張で唾を飲んだその時、沢田くんがスッと私の前に出た。
「沢田くん……?」
【やっぱり、佐藤さんにそんな危険なことはさせられないよ】
驚いている私に、凛々しい背中で彼は言う。
【佐藤さんは俺が守る。あの人のボールも俺が必ず取ってみせる……!】
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