沢田くんはおしゃべり

ゆづ

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第3章 沢田くんと炎のドッジボール

沢田くんと怪しい敵

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 なんやかんやでその後も私たち2ーF・Bチームは勝ち進み、とうとう予選トーナメントの決勝まで駒を進めてしまった。

 沢田くんの【おんみつ】と【かげろう】の効果が絶大で、誰も沢田くんにボールを当てることができなかったのが勝利の要因だったんだろう。
 私も密かに相手の心を読んで、狙われそうなチームメイトに「そこ行くよ!」「次そっち!」なんてアドバイスで貢献。少しはチームを有利に導いたかな、と思っている。
 

「沢田くん、この調子なら優勝も夢じゃないかもよ?」
「勝ったら例の約束、ちゃんと果たしてよね!」

 二試合が終了した後、Bチームの女子が興奮しながら沢田くんに声をかけた。
 女子に囲まれてかつてないほどのモテ期が来ていると思われる沢田くんは、喜んでいるかと思いきや。


【優勝⁉︎ 冗談じゃないよ、そんなに急に目立っちゃったら、どうしたら良いのか分かんない……! 陰日向でひっそりとしていたやつが、急に太陽の光浴びたら死んじゃうって!!((((;゚Д゚)))))))!ああ、土にかえりたい……!!】


 優勝の二文字にびびってモテ期に気がついていないようで、いつにもまして無口になっていた。

 良かった。沢田くんがビビりで。
 モブの私は遠くから少しホッとする。こんな時、みんなの間に割り込んでいって、「沢田くんは私のもの宣言」でもできたらいいんだけど、それはまだ恥ずかしい。

 でも次の試合で森島くんのチームに勝って、沢田くんとの手繋ぎデート権を手に入れることができたら……。

 できたら、どうしよう?
 勇気を出して、こ、告白……する⁉︎

 にわかに胸がドキドキしてきたその時、


「やあ、Bチーム!」


 爽やかな声が飛んできた。
 見ると、森島くんがたった一人で沢田くんに近づいていくところだった。

「お互いよくここまで残ったよな。次の試合では正々堂々、頑張ろう!」
 森島くんは優等生のスマイルを浮かべる。でも心の中は、

【クソっ。本当にここまで勝ち上がるなんて運の良い奴らだな。次で絶対ブッ倒してやる】

 やっぱり真っ黒だった。


【森島くん、そんなこと言いにわざわざ俺のところへ……? なんて良い人なんだ! あっ、眩しい。森島くんの笑顔、眩しすぎてチリチリ焦げちゃうっ(;´д`)】
 
 沢田くんは素直に感動しているみたいだけど、本当にそれだけのためにわざわざ来たのかな?
 怪しんでいると、不意に森島くんが振り向き、私とバッチリ目が合った。

 偶然かな? と思ったけど、そうじゃなかった。

 森島くんは私に向かって歩いてきた。
 そして、沢田くんが見ている前で、私にそっと耳打ちするような距離でささやいた。


「佐藤さん。ちょっと二人きりで話がしたいんだけど、いいかな?」



 な、なんだろう⁉︎ 嫌な予感しかしない!!


 
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