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第5章 沢田くんと愛の告白
沢田くんと突然の別れ2
しおりを挟む「もうすぐ席替えだね。【森島くんの隣になれるチャンスがやっと来るわー】」
昼休み。
女子のみんなでご飯を食べてガールズトークしている時も、その会話は私の頭の中に何も入ってこなかった。響いたのは、麻由香ちゃんが「席替え」と言った時だけ。
席替え。
沢田くんと離れ離れになる。
あの声がもう聞こえなくなる。
私に必死で話しかけようとして葛藤する声も、些細なことでピヨっている声も、時々びっくりするくらい男らしいことを呟く声も。
もう、そばで聞けなくなるんだ。
「ねえ、景子ちゃん。景子ちゃん? おーい、聞いてる?」
「あっ……ごめん。なんの話だった?」
みんなが不思議そうにこっちを見ていることに、私は時間差で気づいた。
「珍しいね。景子ちゃんがボーッとするなんて【いつも誰よりもみんなの空気読んでるのに】」
杏里ちゃんが私の心の中にそっと踏み込む。
「……あ、うん。そういえばもうすぐ席替えなんだなーって……杏里ちゃんや麻由香ちゃんと離れるの、寂しいなーって……」
ああ、ダメだ。目が潤む。うつむいてごまかす。
「やだあ、大げさ! 別のクラスになるわけでもないのに、たかが席替えぐらいで寂しがらないでよ~【どうしたのこの子】」
麻由香ちゃんたちの笑い声に合わせて、私も無理やり笑ってみせた。
そうだよね。別に、クラスが別になるわけじゃない。
同じ教室の中にいれば、偶然沢田くんの声が聞こえてくることだってあるかもしれない。
でも……。
「景子ちゃん、ちょっといい?」
食事が終わってみんなが手を洗いに行ったりトイレに行ったりし始めた時のことだった。ボーッとしていた私に、杏里ちゃんが声をかけてきた。
「何? 杏里ちゃん」
「こっちきて」
杏里ちゃんに呼び出されて、私たちはベランダに出た。
風に長い髪をなびかせ、杏里ちゃんは観察するような眼差しで私を見つめる。
なんだろ。心の声があまり聞こえなくてドキドキする。
「どうしたの? 杏里ちゃん」
「単刀直入に言うね。景子ちゃんが離れたくない人って、沢田くんのことでしょ」
私の口から「えっ⁉︎」と思わず声が出た。
「沢田くんと付き合ってるの?」
「ま、まさか! 沢田くんとはまだそういう関係じゃないって言うか……」
一度めちゃくちゃ健全なデートをしただけの仲だ。
中途半端な関係なのは分かっているけど、そばにいられるだけで今までは満足だった。
でも、席替えしたらもうそばにいられなくなっちゃう。
そうしたら私たちの関係って……?
「告白しなよ」
杏里ちゃんのまさかの一言に、私の心臓がドキュン! と鳴った。
「沢田くんははっきり言って景子ちゃんのことが好きだと思う。この際、誰かに取られる前にスパッと告白したら?【席替えごときで寂しがってるくらいならさっさと付き合っちゃえよバカップル。イライラするわー】」
うわーっ! ほんとにはっきり言うねえ!!
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