沢田くんはおしゃべり

ゆづ

文字の大きさ
112 / 160
第5章 沢田くんと愛の告白

沢田くんとドジっ子

しおりを挟む


 焦って何も考えずにロッカーに隠れちゃったけど、これってヤバいよね。
 沢田くんと暗闇で二人きり。しかも密着状態。
 ああ、なんて大胆なことをしてしまったんだろう、私ってば!

「せ、狭くてごめんね、沢田くん」
 ドキドキしながら小さな声でこの状況について謝る。
「あ、うん……【雑巾やほこりの匂いで最悪なはずの掃除用ロッカーが……なんということでしょう。佐藤さんと二人で入ると、甘酸っぱくてキュンキュンする天国に。恋のたくみ、すげええええ!! どこでも天国作り出せるのかよ!!((((;゚Д゚)))))))】」

 匠、ありがとう。狭さに乗じて沢田くんの胸に耳を寄せてしまう。

【ドッキンドッキンドッキンドッキン!!(*´Д`*)】

 沢田くんの心臓の音が暴れていて可愛い。

【やっべえ、ドキドキしすぎてロッカーが揺れちゃうよ! 音が出ちゃう、音が出ちゃう~!! もうこうなったら心臓を潰すしかない!!:(;゙゚'ω゚'):】

 いや、死ぬから!
 本当はいつまでもこうしていたいけど、沢田くんの心臓も限界のようだし、なんとかしてここから出ないといけない。
 これからみんながやってきた時、抜け出せなくなる恐怖もあるし。
 
 その時、教室に入ってきたクラスメイトが自分の席につく音がした。

【はー、目立つと思って学級委員なんかに立候補しなけりゃ良かった。席替えのクジ作りまで頼まれるとはなー。担任ふくだのヤロウ、忙しいとかなんとか言って生徒をこき使いやがって】

 この声は……森島くんだ!

 大変だ、もし見つかったらクラス中に「沢田と佐藤さんがロッカーでいちゃついてたよm9(^Д^)プギャー」とか言いふらされる!

 でも、森島くんは自分の席に座って席替え用のくじを準備している。ということは、ロッカーには背を向けているに違いない。うまくすれば、気づかれないように脱出できるかも。っていうか、脱出するなら今しかない!


「沢田くん、音を出さないようにここから出よう」
「えっ……【もう終わり?。゚(゚´ω`゚)゚。 短い天国だった】うん」
「まず私から出てみるね。大丈夫そうだったら沢田くんも」
「うん……【俺にできるだろうか……こんなに難易度の高いミッションは生まれて初めてだ!((((;゚Д゚))))))) 足元のバケツをひっくり返したり、ほうきを倒してしまいそうな予感がプンプンするぜ!】」

 そこをなんとか、冷静な対処をお願いします!

 私はそっとロッカーの扉を押した。観音開きに外向きで開く仕組みなので、閉めるのは大変だったけど開けるのは楽だ。完全に閉じきってない状態だったのも幸いし、押した時もあまり大きな音が出なかった。

 少しずつロッカーに明かりが入って、私が出られるだけの細さに扉が開く。
 そろりそろりとロッカーから降りて、床に四つん這いになった。
 森島くんは気づいていない。

 よっしゃ! このまま廊下へ逃げる。教室のドアは重いけど静かにスライドしてくれた。私のミッションはコンプリートしたよ、沢田くん!!

 
【よ、よ、よ、よ、よし、俺もっ……!! えいやっ!!(>人<;)】


 ドンガラガッシャーン!! と教室の中から派手な音がした。
 あ……。この音は、掃除用具全部倒した音だな。


【や、やってもうた……:(;゙゚'ω゚'):】

 もう、沢田くんのドジっ子ーーーっ!!
 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

処理中です...