沢田くんはおしゃべり

ゆづ

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第5章 沢田くんと愛の告白

沢田くんと席替え

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 その後、教室にだんだんとクラスメイトが入ってきたので、私たちは何事もなかったかのように解散した。

 沢田くんへの告白の返事もできないまま、時間だけが過ぎていく。
 でも沢田くんは全然焦っていなかった。
 
【佐藤さんに気持ちを伝えられただけで充分だよね( ´ ▽ ` )】
【その通りだ、沢田空。お前はよくやったぞ!】

 沢田くんは脳内劇場で土下座おじさんと満足気にそう語る。

【俺、さっき危うくおじさんと同じ体勢になるところだったよ】
【土下座は男の最後の手段だから、あまりおすすめはしないぞ。土下座していい場合はごくごく限られている。会社を半焼させた時と、タクシーの中でゲロを吐いた時と、妻に帰る時間を言わずに出かけて、食事まで済ませて帰ってきた時だ。この場合、土下座は玄関のドアの外側で行うことになる】
【奥さんはカンカンだね。俺もそうならないように気をつけなきゃ】
【その前に空はちゃんと結婚できるかどうかが問題だけどな!】
【そうだね……】

 沢田くんは学生らしい青いため息をついた。

【俺もいつか……結婚できたらいいな】

 心の声が小さくてよく聞き取れなかったけど、最後に「佐藤さんと」と言われたような気がしてならなかった。

 
 そしてとうとう運命の時間がやってきた。

 席替えだ。

 森島くんが作ったくじには赤と青のペンでペアになるように番号が振られていて、その番号は黒板に描かれた席の図と連動している。
 男子は青が入った箱、女子は赤が入った箱からそれぞれ紙を取り出して、番号を確認する。
 ペアの数字を引いた男女が、今度の席で隣り合うことになる。

 みんなが黒板の前に設置された箱へ我先にと群がる中、私と沢田くんだけは名残惜しくて動けずにいた。

「沢田くん」
「佐藤さん」

 同時に声をかけてしまって、思わず見つめ合う。

「な、何?」
「さ、佐藤さんから…【どうぞ】」

 話しかけてみたものの、言葉に詰まる。

「もう、行かないとね」
「うん……【切ない。゚(゚´ω`゚)゚。】」

 泣かないで。私まで泣けてきちゃう。
 でも、これが本当に最後の瞬間だから伝えたい。
 私の気持ちを、沢田くんに。


「沢田くんの隣の席、すっごく楽しかった。毎日が本当に楽しみで……離れ離れになるなんて想像もできなくて……」
「うん【俺もだよ……。゚(゚´ω`゚)゚。】」


 喉の奥が熱くなる。
 声が消えてしまう──その前に。
 私は沢田くんをまっすぐに見つめて言った。


「だから、席が離れても、これからもずっと私の隣に──」




 
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