残念女子高生、実は伝説の白猫族でした。

具なっしー

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召喚

急かされる空

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こんにちは空です。あれから1ヶ月がたちました。私は今、圧をかけられています。

「空さん。あなただけです。1ヶ月で誰とも結婚していないのは!毎日城内を練り歩いていったい何をしているんですか!!」

今日も圧をかけにあの召喚時に説明していた胡散臭いオヂ…嘘です。そう思っててごめんなさい、ゼバスチャンさんが来ている。お世話になりすぎてて、もう足を向けて寝られない…

「す、すみません…でも、私魔力ないし、美人でもないから、申し訳なくて…」

そうなのだ。私、歴代聖女召喚初の魔法使えない&魔力なしなのだ。
魔法を使えないだけならちらほらいるみたいだけど、魔力までないのははじめてらしい。

「何言ってんですか!だからこそ尚更夫が必要なのですよ!今は特別にその魔力石をお貸ししていますけどね、それめっちゃ貴重で高価なんですよ?あと3日以内に結婚できなかったら強制的に結婚してもらいますからね!(あとなんでそう思ってるのか全然わかんないけど空さん今回の聖女召喚で1番可愛いよなぁ。歴代の聖女の姿絵を見ても、きっとTOP3には入るよなぁ…まぁ美人系ではないけども…)」

「ひぃぃっごめんなさい~、3日は無理ですぅ、せめてあと7日、…7日ください」

「しょうがないですねぇ、7日ですね!それ以上は無理ですから。離婚したいと思ったらすぐできますからさっさと適当に結婚してください!」

「はぃぃ、いつもありがとぅございます(うるうる涙目)」

「うっっっ…と、とにかく!そうなったらはやく城内で良い男見つけてきてください!いたら即教えて!即呼ぶから!」

「いってきます!」

そうなのだ(2回目)この世界、実は魔力を持っていて当然とされているので、お風呂や、自炊(夫が作るのが普通らしい)するための道具が魔力がないと動かないのだ。
だから私は1つ庶民の3ヶ月分の給料分の値段がする魔力石を特別に貸してもらっている。
だから夫をつくらないといけない…
え、ちょっと待って、これ、離婚できなくね???詰んだーーーー…まずい、これはまずいぞ。私みたいなちんちくりんを相手にしてくれるグッドルッキングガイはいる???(楓先輩はもう1人の私が幸せにすると心の決着をつけ、1ヶ月かけて立ち直りました。)

こうして、私はハンターとしてまず騎士団に見学に向かった。

「こんにちは~見学に来ました♪」
「聖女様!ようこそ。いつもの席空けときました!気になるやつがいたら俺に言ってください。どんどん紹介します。セバスチャン様にも言われてるんで。ファイトっす」
「くっっ、セバスチャンめ…まさか、城中に根回しを…?あ!ありがとうございますぅー!じゃ、いつもの席いってきまーす」

聖女から声がかかるまで、独身の男性は話しかけちゃいけないらしい。なのでいつも既婚者の彼が対応してくれる。どうやら私は顔を覚えられているみたいだ。
地味顔だから逆に目立ってんのかな…はぁ、やだやだ。これだから美形ばっかの世界は…

ため息をつきながら私はいつもの席に座った。
騎士達は今日も切磋琢磨して汗を流していた。金属の音が鳴り響く…
そこで私はいつもの男の子を見つめた。
犬?の獣人の男の子だ。何歳だろうな…
日本だと12歳くらいにみえる。
少しウェーブがかった。キラキラの栗色の髪にきゅるきゅるした琥珀色の瞳、そして、なんと言ってもぴるぴる動くふわふわの耳!
そう、実はこの世界。人間だけじゃないのだ。ファンタジー!

この1ヶ月、私はただぼうっとしていたわけではない。そう!彼を応援していたのだ!!でもでも、流石に結婚ってなると年齢的に…?まずいかなとも思っている…

「良かったらあの子呼んできましょうか?」

「ひゃっっ!えっっ?」

急に声をかけられて振り返ると受付してくれた既婚者の人がいた。

「いつも見てますよね。呼んできますよ」

「あ、あの、えっと…じゃ、じゃあお願いします…」

お兄さんはニコッと笑って行ってしまった。
オーノー!NOと言えない日本人!!!
わぁ、どうしようどうしよう…
お兄さんが男の子に声をかけた。わ!!びっくりしてこっちを向いた!パクパクしている。
思わず、あっ可愛いて和んでしまった。
そしてこちらに向かってくる。
ごめんねぇ、こんな地味なおばさんなんかに呼ばれてしまって…(17歳です)えーんどうしよう。
ついに目の前にきた。

「こ、こんにちは…突然呼んじゃってごめんなさい…」

「い、いえ!聖女様なんですから僕なんかに頭を下げないでください!」

「あ、えっと、私は葉山空17歳です…空が名前です。」

「僕はアルト、15歳です。平民なので苗字はありません。騎士団に入ってからは3年目です。」

なんと!13歳くらいだと思っていたのに2個違いだったとは…

「あの…アルトさんは獣人さん…ですか?」

「アルトでいいですよ。そうです。狼獣人です。獣人は嫌い…ですか?」

「ぐっっ(かわっっ!)嫌いなわけないです!むしろ好きです!!でもあのっ、私のいた世界は人間と動物だけで、獣人さんはいなかったので…ちょっと興味シンシンです。」

「よかったー!人によっては獣人が嫌いな人もいるので、空様に嫌われていなくて良かったです。」

様っ!!慣れないなぁ、でもこの国の決まりだもんね、仕方ないか…
ん…?圧を…感じる…!
どこだ………はっ!!!後ろか!

私の後ろには良い笑顔で婚姻届を持った
セバスチャンがいたのだった。

「空さん。とりあえず結婚しましょう。」

「い、いやぁーでもまだあったばかりだし、アルトさんも…ねぇ?私なんかと、結婚なんて嫌だよね?」

「いえ!全然嫌じゃないです!結婚したいです!」

そう言って尻尾をブンブンふるアルトくん…笑顔のセバスチャン…私はNOと言えない日本人。



前略おねえちゃん…
私、夫ができました。しかもこれから増えるかもしれません…ハハハ

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