男女比バグった世界で美女チート無双〜それでも私は冒険がしたい！〜

第1章はじめての異世界

驚愕バルド

朝の光が窓から差し込む頃、バルドはまだ夢の中にいた。昨夜の冒険譚の続きを見ているのか、それとも単なる寝ぼけか、どちらともつかない感覚で布団から体を起こす。髪をかき上げ、伸びをしてから、ふらふらと朝食の部屋へ向かった。

しかし、扉を開けた瞬間、彼の目に飛び込んできた光景は、現実とは思えなかった。ユノが、あの愛らしい小柄な体に、白銀の羽根を広げて座っていたのだ。夢か？いや、そうだとしても、羽根がゆらりと光を受けて揺れる。バルドは一度扉を閉め、目をこすった。

「夢だ、夢に違いない…」
そう呟き、再び扉を開ける。しかし、そこにはやはりユノが羽を広げ、笑顔でパンケーキを口に運んでいる。バルドは二度目の衝撃で思わず扉を閉めたが、頭が混乱していく。胸の奥で何かがざわめき、理性と本能が戦う。

三度目の挑戦。バルドは息を整え、覚悟を決めて扉を開けた。「夢じゃない…これは…現実だ…！」頭の中で何度も繰り返す言葉を押し込めるように、ゆっくり部屋に足を踏み入れる。ユノとガロは、まるで朝の光景が日常の一部であるかのように振る舞っていた。

「どうしたんだ？はやく座って食べろ」
父の声がいつも通り響く。バルドはハッと我に返る。そう、父さんは能天気にユノの羽根など気にも留めていない。安心と同時に、余計に混乱が増す。

ユノはにこにことパンケーキを頬張り、幸せそうな表情を見せている。あの無邪気さと可愛さは、バルドの混乱を加速させた。頭の中で、「これは夢だ。夢だ。いや、でも…」と繰り返し、どう整理していいのか分からない。

ついにバルドは意を決して声をかける。「ユノ…天使なのか？」

ユノは口元に微笑みを浮かべ、にこりと答えた。「いいえ、白鳥兎獣人です、バルド兄様」

その瞬間、バルドは思考停止した。兄様……？今、妹のユノに「兄様」と呼ばれた？さらに「白鳥兎獣人」だと？頭の中が一気に混乱する。耳が熱くなる、手のひらに汗が滲む、脳内の神経が一斉にショートしたかのようだった。

「はっ…！？ちょ、ちょっと待て、待てよ…」バルドの声は震え、言葉はうまく出てこない。視線はユノの羽根に、無数の細かい光の反射に吸い込まれそうになる。心の中で、「現実だ、いや夢だ…」と必死に自分を説得する。

そこに父さんが、いつも通りの笑顔で言った。「な？可愛いだろ？」

バルドは一瞬、反論しようと口を開いた。しかし、父の声とユノの無邪気な笑顔に遮られ、言葉は出てこない。「いや、でも…可愛いとか…それ以前に…」頭の中で、論理が次々に破綻する。

父さんはニコニコとユノに目を向け、「それに！可愛いだけじゃなくて強いんだ！バルドにも見せてやれ」と言った。ユノは元気よく「はーい！」と返事をし、ステータス表示のスキルを起動した。

目の前に現れた数字と能力の羅列に、バルドは完全に固まった。

HP10700、MP11000、体力1500、敏捷2000…知力も耐久も999
スキルのリストがずらりと並び、瞬間回避、魔法無限習得、転移、アイテムボックス、クリエイティブ…信じられないほどの能力が目の前に提示される。バルドの呼吸は荒くなり、頭の中はパニック状態だ。

「……俺の妹……規格外すぎる……」バルドは呟く。口が開いたまま、何も言えない。
ユノは無邪気に笑いながらパンケーキを口に運ぶ。その姿に、バルドの混乱はさらに加速した。

父さんは能天気に笑い、「すごいだろ？俺の娘だ。S級冒険者も相手にならないんじゃないか？世界最強に可愛くて強い！ガロの娘ユノ！」と言った。バルドはまだ半信半疑で、ステータスを見つめながらも、少しずつ理解が追いつき始めた。「いや…これは…現実だ…俺の妹が…」

ユノの笑顔、羽根の輝き、父の微笑み、すべてが現実だと受け入れるしかない。バルドは深く息をつき、頭を抱えたまま椅子に腰を下ろす。「…俺の妹……本当に白鳥兎獣人で、こんなに強いのか…しかもこんなに可愛い…これは…バレたらまずい！！まじで戦争になるぞ…」

ユノはにっこりと微笑み、「バルド兄様、驚いた？」と問いかける。バルドは言葉にならず、ただ頭を抱えたままうなずくしかなかった。

その日、朝食の時間はユノの羽根とステータスを中心に、混乱と鼻の下を伸ばし切った父の気持ち悪いほどの溺愛っぷりに満ちていた。パンケーキの甘い匂いと、ユノの笑顔、そして規格外の能力。すべてが彼にとって非現実のようで、しかし確かに「妹」として存在していることを、脳と心で受け止めるしかなかった。

「兄様…私のこと気味悪いって…思ってしまいましたか？…嫌いですか？」
（美少女無自覚あざとうるうる）
「グハッッッッッッ！そんなこと思うわけない…ただ、これからどう、君を守っていけばいいのか、悩んでいたんだ…」
「よかったぁ…私、兄様ができて嬉しいです！」
「ヴッッッッッッッッ！！あ、あぁ、おれも嬉しいよ。」
俺が悶えている様子をニヤニヤしながら観察してくるくそ親父を人睨みして、この天使をどう守ればいいのかについて考えていた。この子は俺のことを兄様と呼んでくれる、だが、俺はそれ以上に兄弟を超えた関係を望んでいる。一目惚れだ。
絶対に夫になりたいと思う…とりあえずそこだな、ユノはきっとめちゃくちゃモテるだろうから、強くて賢い夫を娶らないといけない。まぁ、ユノがたいてい1人でなんとかしてしまえそうではあるのだが…その力を知られてしまうのはかなりまずい。
さて、どうしたものかな…

とりあえず、俺は断っていたS級に昇格させてもらおう。ユノを守るためには力が必要だ。そう考えて俺は冒険者ギルドへと向かっ
「あ！お兄様！私、魔の森で狩ってきた植物や魔物を売りたいんですが…どうしたらいいですかね？」
この子は…自分がどれだけ貴重な存在かを全くわかっていないみたいだ…困ったなぁ。
でもこのウルウル上目遣いにNOと言えるわけがない…俺は親父に視線を送った。
「ユノ、どんなのを持っているのか俺とバルドに教えてくれるか？」
「はい！えーっと、ヴォルグリオン、ゼラフィナム、クラドニア、マグルスピア、ネクロリーフ、ドラコリウム、サーペンタリス、ブルームスプライト、フォルネウスキノコ、オブリディウム……………」
とんでもない災害級の魔物の名前や伝説の植物の名前を淡々と読み上げていくユノ…俺と親父は呆然としていた。

先に我に返った父が、
「うん、ユノ、ありがとうわかった。もういいよ…その魔物と植物は、ユノが自分で使いなさい。」

「自分で、ですか？」
「あぁ、ユノのとった魔物と植物はちと、貴重すぎてなぁ…値段がつけられないのが多いんだ。」
「え、ええ！！、そんな怖いの持っておくのやだぁ、こわい！」
「ユノ、落ち着くんだ。いいか…？絶対にこのことを他の人に知られてはいけないよ。」
「うん！わかった。」
「いい子だ。」
「でも、私、自分のためだけじゃなくて…父さんと兄様の為に使うね！」
「「うぅ…うちの天使尊い！！！！！」」

狼親子はユノに完全陥落したのであった。











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