この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー

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イケメン登場

7イケメンがノコノコやってきた!もちろん捕まえます!

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ピーンポーンパーンポーン↑
やっほーあけおめ~!神様だよー!
正月休みを取っててね、実家に帰省してたんだ。さてさて~、今回はミーミが新しい人物と出会ったみたいだ。本格的にイケメンモテモテライフに足を踏み入れていくことになりそうだ!
久々だけど神様も解説頑張っちゃうぞー!!
ピーンポーンパーンポーン↓





ジャスパーは浮かれていた。
本人は断固として否定するだろうが、夕方になると必ず同じ路地に立ち、ソワソワと耳を動かしている。その様子はまるで飼い主の帰りを待つ犬のようだった。

その様子を、遠くからじっと観察している者がいた。

「おや、ジャスパーじゃないか!やけに機嫌がいいな。何か良いことでもあったのか?」

この死を待つだけのスラムでジャスパーに話しかけてくる者といえばあいつしかいない。あのへらへらした鬱陶しいエルフだ。

ジャスパーは顔を背けて「別に」と答えるが、耳がピクピク動いて感情が駄々洩れだった。
彼は認めたくないが、心の奥ではミーミが転移で現れることを楽しみにしているのだ。あの能天気な笑顔、突拍子もない言動、そして何より――自分を「格好いい」と言ってくれるあの言葉を。

エルフは「ふぅん」と言って、面白そうに目を細めた。
「夕方にあの裏路地で会っている女はいったい誰だ?」
突然低い声で尋ねられたことにジャスパーは驚いた。
「な、な、な!なんでお前が知ってるんだ!!最近見ねえと思ったらストーカーかよ」
「ふふっ、そんなに必死になっちゃって!やっぱり女の子だったんだ」
「お前!騙したな!」
「私は騙してなんかないさ、偶然見かけてしまったんだよね~ローブを被ったお貴族様とジャスパーが抱きあっているところ」
「あ!あれは!!あ、アイツが…勝手に……」
「………私にも会わせてくれないか?」
「お前が?一体何企んでやがる?」
「何も企んでなんかないさ。ジャスパーの恋人だろう?会ってみたいに決まってるじゃないか!」
「恋人なんかじゃねえ!」
「はいはい」

エルフはヘラヘラした顔を一瞬鋭くし、路地の方を見つめた。





彼の名はエリオット・アルカディア。
長寿のエルフで、推定年齢500歳以上。スラムの外れ、古い屋敷に住み、魔法書を執筆したり魔道具を開発しながら静かに暮らしている。
月光のように輝く長い金髪、宝石のようなエメラルドの瞳、高い鼻筋、長く尖った耳

彼もまた、この世界で「醜い」とされ、幼い頃から迫害を受けてきた。
また、エルフは寿命が長い代わりに、数が少ない為、種族間の差別もあった。

「耳の化け物」
「あんな顔で生きていて恥ずかしくないのか」
「俺がお前だったら生きてるのが申し訳なくなるぞ」
「エルフの恥晒し」
同胞にまでも罵倒された。

何百年もの間、そんな言葉を浴びせられ続けた。いつの間にか彼はスラムで暮らし、誰とも関わらず、ただ死を待つだけに生きるようになった。

今でこそ優雅で紳士的な振る舞いを保っているが、心の奥底には強烈なコンプレックスが渦巻いている。
そんなエリオットにとってジャスパーとの時間は特別だった。

はじめて言葉を交わしたのはジャスパーが街に出て傷ついて戻ってきた日だった。それまでは互いに干渉せず、ただ同じスラムに住む者、それだけだった。
傷つき、絶望し、泣きながら戻ってきた幼い獣人を見て、思わずエリオットは声をかけた。
「……辛かったな」
それだけだった。それだけで十分だった。
以来、エリオットはジャスパーを時折気にかけるようになった。保護者というには大げさだが、少なくとも放っておけない存在になっていた。
食料を分け与えたり、本を読ませたり、魔法を教えたり、エリオットはジャスパーに色んなことを教えた。(一方的に)


そのジャスパーが、ここ数日、明らかに変わっていた。

エリオットは優雅に髪をかき上げ、路地へと足を向けた。長い耳がそよ風に揺れる。
「確かめる必要がある。ジャスパーを傷つける者なら……」
彼の瞳が冷ややかに光った。



その日の夕方。
ミーミはいつものように転移魔法で路地に現れた。ぷにぷにスライムのライちゃんを抱え、るんるんで――

「ジャスパー!今日も会いに来たよー!!あのね、今日はね、マカロンを持ってきたの!一緒に食べよ!あとね、あとね――」

そこまで喋って、ミーミは気づいた。
ジャスパーの隣に、ローブを被った誰かが立っていることに。
ローブから流れ出る月光のような金髪。
高身長で細身のスタイル。足長っ!
そして――ローブの中から主張する…あれは多分…尖った耳!!

「――――――っっっ!!!???」

ミーミの脳内でイケメンセンサーが鳴り響いた。
(エルフきたーーーーーーー!!!ファンタジー万歳!神様ありがとうございます!)

「あのっ!貴方は誰ですか?」

エリオットはミーミを見下ろし、優美に一礼した。
「初めまして、お嬢さん。私はエリオット・アルカディア。ジャスパーの……保護者のようなものだ」
「は、おい!誰が保護者だっ!!ストーカーめ!」

「保護者!?」
ミーミは目を輝かせた。が、はっ!とあることを思い出し、ごくっと喉を鳴らし息を吸った。
「あ、挨拶が遅れてすみません。わ、わわわわたしは、7歳!公爵家のミーミです!息子さんを私にください!」
ミーミは勢いよく頭を下げた。

「お、おい!ミーミ!何を言って…」
ジャスパーが慌てて止めに入るが、忙しなく耳が暴れているので感情が丸わかりだ。だが、ミーミの勢いは止まらない。

「この通り、私は彼に猛アタック中です!!!お義父さん!!よろしくお願いします!」
「っ~~~!!ばっ!おまっっ!なにっ!~~!!!」
ジャスパーは嬉しくて(?)言葉にもならないようだ。

「……ほう」

エリオットは驚いたように目を見開き――そして冷ややかに微笑んだ。

「……君がどんな人間か、確かめさせてもらう」
「はいっ!これが愛の試練というやつですね!わかりました。受けて立ちましょう!」
ミーミが能天気に答えると、ジャスパーは遠い目で深く、深く、深いため息をついた。
「だから鉢合わせたくなかったんだ…あー…エリオットやめといたほうがいいぞ。こいつは正真正銘のバカ女だ。」
「きゃーーー!!私ジャスパーにバカって言われるのも好き!!」
「ほらな」
「この余裕な態度をいつまで保てるか実物だな。私が化けの皮を剥がしてやろう。」

ノリノリなエリオットの様子にジャスパーは頭を抱えた。




試練その①:これでも喰らえ!

エリオットはミーミの前に立ち、ゆっくりと頭に巻いていた布を外した。
月光のような金髪が風になびく。
そして――長く、美しく、尖った耳が露わになった。

「どうだ?吐き気がするか?見れたものではないだろう。」
エリオットの声は冷ややかだった。
何百年もの間、「化け物」と罵られ続けてきた彼は少しの期待すら抱いていないことがわかる。

ーーーーが、ミーミには通用しない

「――――っっっ!!!!かわいいいいいい!!!!」
絶叫した。
「耳長い!美しい!尊い!でっかい耳最高!!あーーー、触ってみたい!!くっっっ、でも私にはジャスパーという心に決めた人がいて…くそっ!なんて誘惑だ!!愛の試練はとても厳しい…くっっぐはっ!…」


「……は?」
エリオットは固まった。
ジャスパーは呆れたように呟いた。
「だから言っただろ。こいつは目が腐ってるんだ。」

ミーミは目をキラキラ輝かせてエリオットに近づき上目遣いで見上げ、美を堪能する。
「はぁ~~~素敵……美しすぎて恐れ多いまである…ふぁあ、かっこいい♡…」

「っっっ~~~~~!!!!」
ぼーっと理解が追いつかない様子だったエリオットだったが上目遣いで見上げるミーミに気がつくとぶわわわっと真っ赤になってはくはくっと言葉にならない悲鳴をあげた。

「おいっ!」
その様子を見ていたジャスパーが慌てて間に割って入った。
「お、お前…俺のことす、好きなんじゃ、なかったのかよ…」
その言葉にミーミは一気に現実に戻される。
「はっっ!!危ないところだった…はきゅっ!まさかっ!ジャスパー…ヤキモチ妬いてくれてる…?」
「う、うるせえ!浮気おんな…」
「えーん、ごめんなさい~!」

「エリオット!お前もいつまで腑抜けてる気だ!」
「はっっ!?」
エリオットは動揺を隠しきれない。
(本気で……そう思っているのか?この子は)

「……次の試練に進む」



試練その②:尋問!

気を取り直してエリオットは優雅に微笑みながら、冷たい声で言った。

「君の言葉は軽い。今は物珍しさで私たちに興味を持っているだけだろう。すぐに飽きる」
その言葉には、何百年もの間、裏切られ続けてきた痛みが込められていた。
ミーミは即座に答えた。
「飽きない!!もう15日間毎日来てるもん!むしろ、日を重ねるごとに好きになっていってるんですけど!もーーーっ私をこんなに虜にして、どうしたいの!ジャスパーっ!!」
「たった15日で何がわかる」
エリオットの声は更に冷たくなった。
「私は500年以上生きている。15日など、瞬き一つ分の時間だ。君はすぐに大人になり、結婚し、私たちのことなど忘れるだろう」
「忘れない!」
ミーミは叫んだ。
「私ね、7歳だし、エリオットさんが信じられないのもわかる!でもね、私は嘘つかない!魔法契約で誓ってもいいよ。好きなものは好き。イケメンは正義!ジャスパーもエリオットさんも大好き!」
「……っ」
エリオットは言葉を失った。
ジャスパーが横から呟いた。
「エリオット……俺もこいつに嘘がつけるとは思えねぇ…」
「……そうか」
エリオットは目を伏せた。
(この子は……本物かもしれない)
「……最後の試練だ」



試練その③:現実

エリオットが杖を掲げ、呪文を唱えた。
「“Phantasma Maledicta”」
瞬間、周囲の空気が変わった。
路地が広場に変わり――群衆の幻影が現れた。
「醜い!」
「化け物!」
「消えろ!」
「生きてる価値もない!」
石を投げる仕草。
唾を吐く仕草。
罵声と嘲笑が飛び交う。
ミーミは一瞬、怯んだ。
ライちゃんをぎゅっと抱きしめる。
「これが……私たちが受けてきた迫害だ」
エリオットの声が響く。
「この空気に耐えられるか?君はお嬢様だ。私達とは住む世界が違うんだ。今ならまだ引き返せる。私たちに関わらず、幸せな人生を送れ」
幻影の群衆は更に激しく罵声を浴びせる。
ミーミは――
「――――うるさい!!!!」
叫んだ。
「住む世界が違うって何?違わないよ!!こんなこと間違ってる!イケメンは格好いい!!ジャスパーもエリオットさんも最高に格好いい!!誰がなんと言おうと、私は二人が大好き!!守りたい!!幸せにしたい!!」
ミーミの声が路地に響き渡った。
「私はお嬢様で、恵まれて育った。甘い考えだってわかってる。でもね、だからこそ、私はそれを最大限に利用してやる。2人が幸せに生きられる世界にする為にできることならなんだってしたい!私のことも利用してくれて構わないの、偽善って言われてもいい、私は私の為に貴方達を幸せにする。絶対。」
その瞬間――
幻影が消えた。
静寂が戻った。
エリオットはゆっくりと杖を下ろし――
優雅に、深く、頭を下げた。
「……参りました」
エリオットは人生で感じたことがないくらい胸の奥が熱くなるのを感じた。この気持ちがなんなのかはまだ知らない…




エリオットは目を細め、微笑んだ。
500年生きてきて、初めて見る――純粋な善意。
「ジャスパー。君は良い子に出会ったな…羨ましいよ」
「……あぁ」
ジャスパーは顔を背けたが、耳が赤く染まっていた。

「試練は合格?」
「あぁ、合格だよ」
「やったー!!!!愛の試練突破!!」
ミーミは飛び跳ねて喜んだ。

「ふふっ、まったく…君には敵わないよ。可愛いなぁ」
エリオットはとろりとした表情でミーミの頭を撫でた。

「おっ、おおとおとお義父さんっっ!!??かっ、かかかかかか!???」
ミーミはエリオットの豹変に戸惑いを隠せない。

「もー、おとうさんなんて呼ばないでくれ、私に息子なんていないよ。私のことはエリオットと呼んで?ね?ミーミ?」
「へっ!?」
「ねー、呼んで?ダメ…かな?」
「えーーっとぉ…エッ、エッ…」

「ダメに決まってんだろ。散々保護者ずらしといて何が息子なんかいないよだ。薄情者め!!お、お前も!なに顔真っ赤にしてんだよ。ばーか!」
「えーん、これは不可抗力なのにっ…許してジャスパー」
「うるせー。ばか女、早く帰れ」
「そうだねぇ、もう、暗いし帰る時間かな?ミーミは、また明日も来る?」
「ジャスパー…帰りたくないよぉ、大好きおやすみじゃあね…え、えええええリオットさんもおやすみなさい。また明日も来ます!じゃっ!」




その夜、ミーミが転移で帰った後――
「……ジャスパー」
「あ?」
「もう少し素直になった方が良いんじゃないか?」
エリオットは真剣な顔で言った。
「うるせーよ。お前こそなに口説いてやがんだよ。歳の差考えろジジイ」
「ハハッ……君も言うようになったねぇ…でもあの子に出会ってしまったらどうしようもないと思うよ。あんな風に言われて惚れない男などいないよ」

「…」
ジャスパーは頷いた。

「それもそうだな」



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