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――怖い。
灯りの乏しい室内にカチャカチャと無機質な音が響く。聞き慣れないその音に、否応無しに不安を煽られた。
ヴィルジニアは身を捩り、拘束から逃れようとした。けれど、紐はさらに柔らかな手首に食い込んで、じりじりと薄皮を傷付けるだけだった。
「あまり暴れると痕が残るよ」
声を潜めてそう言うと、ウルバーノは燭台を置いたサイドテーブルを動かして天蓋の内側を明かりで照らした。怯えるヴィルジニアの腰を持ち上げて、その下に分厚い大きめのタオルを敷いた。
「脚を開いてくれるかな」
長い指に内腿を撫でられて、ヴィルジニアはびくりと身を強張らせた。
いつもと変わらないはずなのに、夫の優しい声が何故だか怖い。拘束された手首が訴える鈍い痛みが、ヴィルジニアの不安をさらに煽っていた。
蝋燭の明かりが隙間風に揺れる。チャカチャカと軽い音を響かせて、ウルバーノがヴィルジニアを振り返る。その手には鈍色のコップが握られていた。
「……それはなんですの?」
「シェービングクリームだよ。肌に優しいやつだから安心して」
ヴィルジニアがか細い声を震わせると、ウルバーノは碧い瞳をすっと細めて微笑んだ。
ぎしりとベッドを軋ませて、ウルバーノがヴィルジニアの脚の間に膝をつく。腰から太腿へ至る曲線上で結ばれていたりぼんが、左右同時にするりと解かれた。瞬く間に薄布が取り払われ、ウルバーノの前にヴィルジニアの淫部が晒される。
閨事のたびに何度も見られているはずなのに、ヴィルジニアの心臓は今までにないほどに暴れていた。
からだが、溢れる吐息が熱い。
「動かないで、じっとしていてね」
ヴィルジニアの眼を覗き込むようにしてそう告げると、ウルバーノは泡立ったクリームのついたブラシをヴィルジニアの恥丘に滑らせた。
これまでに感じたことのない温かくて柔らかな感触が、ヴィルジニアの淫部を包み込んでいく。熱い滑りを帯びたウルバーノの舌とは違う。もっと優しくてふわふわとした感触に吐息が乱される。
「んっ……うん……」
「気持ちいい? アナグマのお腹の毛を使った良質なブラシなんだよ」
艶めかしく揺れるヴィルジニアの腰を満足そうに見下ろしながら、ウルバーノは何度もブラシで恥丘を撫でた。ふくよかな花弁の裏側から尻の穴の周りまで、柔らかな下生えを丁寧に泡で覆っていく。
ブラシが肌を滑るたび、全身がぞわぞわと粟立った。ヴィルジニアの視線はすでに、泡に覆われた股のあいだに釘付けで、ただ一箇所空気に晒された陰部がひくひくと淫らに喘いでいた。
キンッと乾いた音がして、はっとなって見上げれば、銀の剃刀を手にしたウルバーノが、膝立ちになってヴィルジニアを見下ろしていた。
「やっ……いや……こわい……」
「動かないで」
小さく首を振るヴィルジニアを言葉で制すると、ウルバーノは銀の刃をヴィルジニアの恥丘に滑らせた。泡が削がれ、白い肌が覗く。剃刀をタオルでこまめに拭いながら、ウルバーノは丁寧にヴィルジニアの股の毛を取り除いた。
静寂のなか、しょりしょりと剃刀が毛を削ぐ音が響く。冷たい刃が恥丘を這う。指先で陰唇をきゅっと摘まれて、裏側の毛まで余すことなくそぎ落とされた。
ヴィルジニアの意識はすでに朦朧としていた。
刃物をちらつかされて、肌に押し付けられて、怖かったはずなのに。冷たい無機物に淫部を撫でられるたび、下腹部の奥の方が疼いていた。
恥丘を覆っていた白い泡が消え去り、薄桃色に染まった肌があらわになる。剃刀についた最後の泡をタオルで拭うと、ウルバーノはヴィルジニアを見下ろして薄く笑った。温かいタオルでヴィルジニアの股間を拭い、
「綺麗になったよ。ほら、すべすべだ」
上機嫌でそう言って、滑らかな恥丘を指の腹で撫でた。
ヴィルジニアの腰がぴくんと跳ねる。溢れた蜜がとろりと太腿をつたい、一筋の線を描いた。
「きみはいやらしいな。下の毛を剃られただけで、乳首まで勃てて興奮してる」
「えっ……」
はっとして胸に目を向けると、裂かれたネグリジェから白い乳房が溢れ出て、薄赤く色付いた桃色の頂きがぴんと勃ちあがっているのが見えた。
ウルバーノは嬉しそうに熟れた乳首を指先で摘まむと、先端を押し潰しながら強く捻った。
「痛ッ……」
痺れるような痛みに、ヴィルジニアが思わず声をあげる。
「痛いのは嫌い?」
「いや、です……だって……こわいもの……」
「ほんとうに……?」
涙目のヴィルジニアを見下ろして、ウルバーノが首を傾げる。ねっとりと視線で舐めるようにみつめられると、蜜口がひくついて、また、とろりと蜜が滲み出してしまう。
「い……や、ですわ……そんなところ……みつめないで……」
「きみは嘘つきだな。見てごらん。僕に見られているだけで、こんなにびしょ濡れだ」
ふるふると首を横に振るヴィルジニアの手首の紐を解くと、ウルバーノは華奢な身体を抱え上げ、姿見に向かって股を大きく開かせた。
隠毛がきれいさっぱりなくなって、あらわになった女性器が鏡に映る。ウルバーノの手によって剥き出しにされたヴィルジニアの陰部は、ひくひくと蠢いて蜜を垂れ流していた。
――恥ずかしい!
「いやっ! こんな……見せないで……!」
鏡から目を逸らし、ヴィルジニアは柔らかな赤い髪を振り乱した。
「ちゃんと目を開けて。ほら、その顔。欲しくてたまらないって顔してる」
「そ……んな……」
促されるままに鏡に目を向けて、ヴィルジニアは驚愕した。頬を、全身を紅く火照らせて、情欲に瞳を濡らして雌の顔をした自分がそこに居た。
ウルバーノの手のひらがヴィルジニアの脇腹から腹部を撫でて、暴かれた秘裂へとおりていく。ふくよかな陰唇を長い指で挟み、やわやわと弄ぶ。蜜に濡れた小さな穴には決して触れることなく指先で蜜をすくい、ウルバーノは何度も何度も、繰り返し掠めるようにヴィルジニアの陰唇と陰核の付け根を指でなぞった。
継続して与えられるもどかしい刺激に耐えきれず、ヴィルジニアはくびれた腰を前後左右に動かした。声を押し殺し、恥じらいに涙ぐんで、それでも欲望に抗うことができない。
快楽を求めて吐息を洩らす鏡の中のヴィルジニアを、ウルバーノが満足げに眺めていた。仄暗い闇を帯びた碧い瞳と鏡越しに目が合って、ヴィルジニアは慌てて顔を背け、堅く目を瞑った。
「いやらしいきみに、そろそろご褒美をあげようかな」
耳元でくすりと笑い、ウルバーノが吐息混じりに囁いた。ぐっしょりと濡れそぼった蜜口に熱杭があてがわれる。
「やっ……いやぁ……」
ベッドに腰掛けたウルバーノの膝の上に抱き上げられて、股を大きく開かれたまま、ヴィルジニアは髪を振り乱してすすり泣いた。
――怖い。
そう思っているはずなのに。腹の奥が狂ったように疼いていて、これまでにないほどウルバーノを欲している。
こんな状態で挿れられてしまったら、どんな痴態を晒すことになるか、考えるだけでも恐ろしい。
「あれ? 欲しくないの?」
意地悪くそう言うと、ウルバーノは少し腰を引いてヴィルジニアの秘裂に熱杭の先端を擦り付けた。あふれる蜜を塗りたくるように、肉の棒がぬりゅぬりゅと隠部を滑る。
「ぬるぬるで……気持ちいい、よ……」
「あっ、いやっ、んんっ……!」
声を漏らさないように慌てて指をくわえたけれど、腰が勝手に動いてしまう。
「んっ、ふっ……んぅ」
「我慢しなくていいって……素直になって、『淫乱なわたくしに、あなたのペニスをください』って言って……?」
耳元であまく囁かれ、熱い吐息を吹きかけられて、ヴィルジニアの背筋がぞくりと総毛立った。
――違う! わたくしは淫乱なんかじゃない!
快楽にひれ伏すまいと心を奮い立たせて、ヴィルジニアは必死の思いで理性をかき集めた。
ヴィルジニアはウルバーノのことを心から慕っているだけだ。それなのに、蜜が溢れ、お腹の奥が疼いてたまらないなんて。
熱く硬い逸物が、ヴィルジニアの秘裂を嬲る。蜜に濡れててらてらと光る赤々とした先端が、硬く芯を通した肉芽を掠めた。
理性の箍が、今にも外れてしまいそうだった。
快感が過ぎて、まともな考えなど浮かばない。淫乱だと蔑まれても、ヴィルジニアはもう、熱くて硬い男根のことしか考えられなくなっていた。
――だらしなく蜜をあふれさせるわたくしのなかを、ぐちゃぐちゃに掻き回して犯して欲しい!
限界に達したヴィルジニアの理性は、はしたない願いとともにあっけなく瓦解した。
「……ください。挿れて、ください……淫乱なわたくしを、あなたのペニスで……ぐちゃぐちゃにしてぇ……!」
ヴィルジニアは泣きながら懇願した。紅く火照った頬を大粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。
ヴィルジニアの頬を濡らす涙の痕をぺろりと舐めて、ウルバーノは恍惚として囁いた。
「……いい子だ」
次の瞬間、熱い楔がひと息にヴィルジニアの奥を突き上げた。
「――んあぁっ!」
あられもない嬌声が暗がりに響く。蝋燭の火で紅く染まった壁に、背をしならせて乱れ喘ぐ女の影が映っていた。
――おかしい! いつもと違う!
彼の質量も、自分の膣内も。これまでの夜とは全く違っていた。
ヴィルジニアの内襞がぎちぎちに詰め込まれたふとましい男根に絡みつく。抜き挿しされるたびに愛液が溢れ出し、ウルバーノの脚に、白いシーツに、柔らかい絨毯に飛び散った。
「あっ、あっ、あんっ、あっ……」
壊れた人形のように、細切れの喘ぎ声が唇から洩れる。快感が波のように押し寄せて、抗う術もなく意識が飲まれていく。
「気持ち、いいでしょ……ここ……肌と肌が、直接触れ合って……」
ウルバーノの長い指にくっと恥丘を圧迫されて、ヴィルジニアはおぼろげな視界に目を凝らした。
目の前の姿見に、右の胸を揉みしだかれ、隠部を弄られながら上下に揺さぶられている、淫らな自分が映っていた。よくよく見れば、ウルバーノの股間も陰毛が綺麗に剃られており、結合部分が丸見えだった。
粘液を纏った肉棒が、ヴィルジニアの膣内に挿入されては引き抜かれる。じゅぷじゅぷと淫靡な音をたてて、かき混ぜられた愛液が泡立っていた。
「あっ、は、ぁあっ……!」
ヴィルジニアは肩の後ろに手を伸ばし、律動的に揺れるウルバーノの蜂蜜色の髪に指先を絡ませた。恥丘を撫でる彼の手に、もう一方の手を添える。濡れた口の端に、珠のような滴がきらりと光った。
「どうしたの……今夜はやけに、乱れるね……」
熱い吐息が背中を撫でる。
「おか…しいのぉっ……今日の…あなた、んっ……おっき……くてぇっ……!」
ヴィルジニアが自ずから身体を上下に揺すり、乱れ喘いで声をあげると、ウルバーノは薄く笑ってヴィルジニアの背中に顔を埋め、ぽそりと小声で呟いた。
「……そりゃあ、いつもより興奮してるしね」
「えっ……? あ、……あっ、んあッ!」
聞き逃したその言葉を確かめる暇もなく、ヴィルジニアを突き上げるウルバーノの動きがいっそう激しさを増した。
快感に全身を戦慄かせて、ヴィルジニアは背中を仰け反らせた。艶やかな蝋燭の明かりに照らされて、たわわな乳房が思い思いに揺れ動く。
「可愛いよ、ジニー……ほんとうに、きみは淫らでいやらしい……」
耳元で囁かれる甘言に目を開けば、鏡の中で享楽を貪る自分が濡れた瞳でこちらを見ていた。
――あれはきっと過ぎた快感が見せる幻影。わたくしはまだ理性を保っている。
ヴィルジニアはそう思い込もうとしていた。
快楽の波に溺れた自分を否定するために、ヴィルジニアが両目を硬く瞑った、そのとき。
敏感な花芯に強い刺激が疾った。
「ひぁあっ……!」
「ちゃんと見て」
叱咤するようにそう言って、ヴィルジニアの顎を片手で固定して、ウルバーノは無理矢理にヴィルジニアの顔を鏡に向ける。喘ぎ乱れるヴィルジニアを、いっそう激しく突き上げた。
「いやっ……見せないで! お願い!」
「嬉しい、くせにッ……こんなに、きゅうきゅう締め付けてッ……!」
「そっ……んな、ことっ……んんッ……!」
ヴィルジニアはもう、まぶたで瞳を覆うことすらできなかった。とろけた顔のまま、後ろから両胸を揉みしだかれ、乳首を捏ねられてびくびくと震える自分の姿を、硝子玉のような瞳に映し続けた。
律動的な抽送を続けながら、ウルバーノの指先が花芯を捏ねる。きゅっと強く捻られて、ヴィルジニアは全身を戦慄かせた。
「やっ、だめっ、だめぇっ!!」
ヴィルジニアの腰をちから強く抱き寄せて、ベッドの上に組み伏せて、ウルバーノが覆い被さる。男は獰猛な獣のように、女を後ろから突き穿った。
「イクよ、ジニー! 中に出すッ、から……!」
「あ、あんっ、はっ、んぁッ、ぁあああ――!!」
ウルバーノの男根がヴィルジニアの膣内で爆ぜる。
灼熱の飛沫に最奥を満たされて、ヴィルジニアの意識は真っ白な光に融け消えた。
灯りの乏しい室内にカチャカチャと無機質な音が響く。聞き慣れないその音に、否応無しに不安を煽られた。
ヴィルジニアは身を捩り、拘束から逃れようとした。けれど、紐はさらに柔らかな手首に食い込んで、じりじりと薄皮を傷付けるだけだった。
「あまり暴れると痕が残るよ」
声を潜めてそう言うと、ウルバーノは燭台を置いたサイドテーブルを動かして天蓋の内側を明かりで照らした。怯えるヴィルジニアの腰を持ち上げて、その下に分厚い大きめのタオルを敷いた。
「脚を開いてくれるかな」
長い指に内腿を撫でられて、ヴィルジニアはびくりと身を強張らせた。
いつもと変わらないはずなのに、夫の優しい声が何故だか怖い。拘束された手首が訴える鈍い痛みが、ヴィルジニアの不安をさらに煽っていた。
蝋燭の明かりが隙間風に揺れる。チャカチャカと軽い音を響かせて、ウルバーノがヴィルジニアを振り返る。その手には鈍色のコップが握られていた。
「……それはなんですの?」
「シェービングクリームだよ。肌に優しいやつだから安心して」
ヴィルジニアがか細い声を震わせると、ウルバーノは碧い瞳をすっと細めて微笑んだ。
ぎしりとベッドを軋ませて、ウルバーノがヴィルジニアの脚の間に膝をつく。腰から太腿へ至る曲線上で結ばれていたりぼんが、左右同時にするりと解かれた。瞬く間に薄布が取り払われ、ウルバーノの前にヴィルジニアの淫部が晒される。
閨事のたびに何度も見られているはずなのに、ヴィルジニアの心臓は今までにないほどに暴れていた。
からだが、溢れる吐息が熱い。
「動かないで、じっとしていてね」
ヴィルジニアの眼を覗き込むようにしてそう告げると、ウルバーノは泡立ったクリームのついたブラシをヴィルジニアの恥丘に滑らせた。
これまでに感じたことのない温かくて柔らかな感触が、ヴィルジニアの淫部を包み込んでいく。熱い滑りを帯びたウルバーノの舌とは違う。もっと優しくてふわふわとした感触に吐息が乱される。
「んっ……うん……」
「気持ちいい? アナグマのお腹の毛を使った良質なブラシなんだよ」
艶めかしく揺れるヴィルジニアの腰を満足そうに見下ろしながら、ウルバーノは何度もブラシで恥丘を撫でた。ふくよかな花弁の裏側から尻の穴の周りまで、柔らかな下生えを丁寧に泡で覆っていく。
ブラシが肌を滑るたび、全身がぞわぞわと粟立った。ヴィルジニアの視線はすでに、泡に覆われた股のあいだに釘付けで、ただ一箇所空気に晒された陰部がひくひくと淫らに喘いでいた。
キンッと乾いた音がして、はっとなって見上げれば、銀の剃刀を手にしたウルバーノが、膝立ちになってヴィルジニアを見下ろしていた。
「やっ……いや……こわい……」
「動かないで」
小さく首を振るヴィルジニアを言葉で制すると、ウルバーノは銀の刃をヴィルジニアの恥丘に滑らせた。泡が削がれ、白い肌が覗く。剃刀をタオルでこまめに拭いながら、ウルバーノは丁寧にヴィルジニアの股の毛を取り除いた。
静寂のなか、しょりしょりと剃刀が毛を削ぐ音が響く。冷たい刃が恥丘を這う。指先で陰唇をきゅっと摘まれて、裏側の毛まで余すことなくそぎ落とされた。
ヴィルジニアの意識はすでに朦朧としていた。
刃物をちらつかされて、肌に押し付けられて、怖かったはずなのに。冷たい無機物に淫部を撫でられるたび、下腹部の奥の方が疼いていた。
恥丘を覆っていた白い泡が消え去り、薄桃色に染まった肌があらわになる。剃刀についた最後の泡をタオルで拭うと、ウルバーノはヴィルジニアを見下ろして薄く笑った。温かいタオルでヴィルジニアの股間を拭い、
「綺麗になったよ。ほら、すべすべだ」
上機嫌でそう言って、滑らかな恥丘を指の腹で撫でた。
ヴィルジニアの腰がぴくんと跳ねる。溢れた蜜がとろりと太腿をつたい、一筋の線を描いた。
「きみはいやらしいな。下の毛を剃られただけで、乳首まで勃てて興奮してる」
「えっ……」
はっとして胸に目を向けると、裂かれたネグリジェから白い乳房が溢れ出て、薄赤く色付いた桃色の頂きがぴんと勃ちあがっているのが見えた。
ウルバーノは嬉しそうに熟れた乳首を指先で摘まむと、先端を押し潰しながら強く捻った。
「痛ッ……」
痺れるような痛みに、ヴィルジニアが思わず声をあげる。
「痛いのは嫌い?」
「いや、です……だって……こわいもの……」
「ほんとうに……?」
涙目のヴィルジニアを見下ろして、ウルバーノが首を傾げる。ねっとりと視線で舐めるようにみつめられると、蜜口がひくついて、また、とろりと蜜が滲み出してしまう。
「い……や、ですわ……そんなところ……みつめないで……」
「きみは嘘つきだな。見てごらん。僕に見られているだけで、こんなにびしょ濡れだ」
ふるふると首を横に振るヴィルジニアの手首の紐を解くと、ウルバーノは華奢な身体を抱え上げ、姿見に向かって股を大きく開かせた。
隠毛がきれいさっぱりなくなって、あらわになった女性器が鏡に映る。ウルバーノの手によって剥き出しにされたヴィルジニアの陰部は、ひくひくと蠢いて蜜を垂れ流していた。
――恥ずかしい!
「いやっ! こんな……見せないで……!」
鏡から目を逸らし、ヴィルジニアは柔らかな赤い髪を振り乱した。
「ちゃんと目を開けて。ほら、その顔。欲しくてたまらないって顔してる」
「そ……んな……」
促されるままに鏡に目を向けて、ヴィルジニアは驚愕した。頬を、全身を紅く火照らせて、情欲に瞳を濡らして雌の顔をした自分がそこに居た。
ウルバーノの手のひらがヴィルジニアの脇腹から腹部を撫でて、暴かれた秘裂へとおりていく。ふくよかな陰唇を長い指で挟み、やわやわと弄ぶ。蜜に濡れた小さな穴には決して触れることなく指先で蜜をすくい、ウルバーノは何度も何度も、繰り返し掠めるようにヴィルジニアの陰唇と陰核の付け根を指でなぞった。
継続して与えられるもどかしい刺激に耐えきれず、ヴィルジニアはくびれた腰を前後左右に動かした。声を押し殺し、恥じらいに涙ぐんで、それでも欲望に抗うことができない。
快楽を求めて吐息を洩らす鏡の中のヴィルジニアを、ウルバーノが満足げに眺めていた。仄暗い闇を帯びた碧い瞳と鏡越しに目が合って、ヴィルジニアは慌てて顔を背け、堅く目を瞑った。
「いやらしいきみに、そろそろご褒美をあげようかな」
耳元でくすりと笑い、ウルバーノが吐息混じりに囁いた。ぐっしょりと濡れそぼった蜜口に熱杭があてがわれる。
「やっ……いやぁ……」
ベッドに腰掛けたウルバーノの膝の上に抱き上げられて、股を大きく開かれたまま、ヴィルジニアは髪を振り乱してすすり泣いた。
――怖い。
そう思っているはずなのに。腹の奥が狂ったように疼いていて、これまでにないほどウルバーノを欲している。
こんな状態で挿れられてしまったら、どんな痴態を晒すことになるか、考えるだけでも恐ろしい。
「あれ? 欲しくないの?」
意地悪くそう言うと、ウルバーノは少し腰を引いてヴィルジニアの秘裂に熱杭の先端を擦り付けた。あふれる蜜を塗りたくるように、肉の棒がぬりゅぬりゅと隠部を滑る。
「ぬるぬるで……気持ちいい、よ……」
「あっ、いやっ、んんっ……!」
声を漏らさないように慌てて指をくわえたけれど、腰が勝手に動いてしまう。
「んっ、ふっ……んぅ」
「我慢しなくていいって……素直になって、『淫乱なわたくしに、あなたのペニスをください』って言って……?」
耳元であまく囁かれ、熱い吐息を吹きかけられて、ヴィルジニアの背筋がぞくりと総毛立った。
――違う! わたくしは淫乱なんかじゃない!
快楽にひれ伏すまいと心を奮い立たせて、ヴィルジニアは必死の思いで理性をかき集めた。
ヴィルジニアはウルバーノのことを心から慕っているだけだ。それなのに、蜜が溢れ、お腹の奥が疼いてたまらないなんて。
熱く硬い逸物が、ヴィルジニアの秘裂を嬲る。蜜に濡れててらてらと光る赤々とした先端が、硬く芯を通した肉芽を掠めた。
理性の箍が、今にも外れてしまいそうだった。
快感が過ぎて、まともな考えなど浮かばない。淫乱だと蔑まれても、ヴィルジニアはもう、熱くて硬い男根のことしか考えられなくなっていた。
――だらしなく蜜をあふれさせるわたくしのなかを、ぐちゃぐちゃに掻き回して犯して欲しい!
限界に達したヴィルジニアの理性は、はしたない願いとともにあっけなく瓦解した。
「……ください。挿れて、ください……淫乱なわたくしを、あなたのペニスで……ぐちゃぐちゃにしてぇ……!」
ヴィルジニアは泣きながら懇願した。紅く火照った頬を大粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。
ヴィルジニアの頬を濡らす涙の痕をぺろりと舐めて、ウルバーノは恍惚として囁いた。
「……いい子だ」
次の瞬間、熱い楔がひと息にヴィルジニアの奥を突き上げた。
「――んあぁっ!」
あられもない嬌声が暗がりに響く。蝋燭の火で紅く染まった壁に、背をしならせて乱れ喘ぐ女の影が映っていた。
――おかしい! いつもと違う!
彼の質量も、自分の膣内も。これまでの夜とは全く違っていた。
ヴィルジニアの内襞がぎちぎちに詰め込まれたふとましい男根に絡みつく。抜き挿しされるたびに愛液が溢れ出し、ウルバーノの脚に、白いシーツに、柔らかい絨毯に飛び散った。
「あっ、あっ、あんっ、あっ……」
壊れた人形のように、細切れの喘ぎ声が唇から洩れる。快感が波のように押し寄せて、抗う術もなく意識が飲まれていく。
「気持ち、いいでしょ……ここ……肌と肌が、直接触れ合って……」
ウルバーノの長い指にくっと恥丘を圧迫されて、ヴィルジニアはおぼろげな視界に目を凝らした。
目の前の姿見に、右の胸を揉みしだかれ、隠部を弄られながら上下に揺さぶられている、淫らな自分が映っていた。よくよく見れば、ウルバーノの股間も陰毛が綺麗に剃られており、結合部分が丸見えだった。
粘液を纏った肉棒が、ヴィルジニアの膣内に挿入されては引き抜かれる。じゅぷじゅぷと淫靡な音をたてて、かき混ぜられた愛液が泡立っていた。
「あっ、は、ぁあっ……!」
ヴィルジニアは肩の後ろに手を伸ばし、律動的に揺れるウルバーノの蜂蜜色の髪に指先を絡ませた。恥丘を撫でる彼の手に、もう一方の手を添える。濡れた口の端に、珠のような滴がきらりと光った。
「どうしたの……今夜はやけに、乱れるね……」
熱い吐息が背中を撫でる。
「おか…しいのぉっ……今日の…あなた、んっ……おっき……くてぇっ……!」
ヴィルジニアが自ずから身体を上下に揺すり、乱れ喘いで声をあげると、ウルバーノは薄く笑ってヴィルジニアの背中に顔を埋め、ぽそりと小声で呟いた。
「……そりゃあ、いつもより興奮してるしね」
「えっ……? あ、……あっ、んあッ!」
聞き逃したその言葉を確かめる暇もなく、ヴィルジニアを突き上げるウルバーノの動きがいっそう激しさを増した。
快感に全身を戦慄かせて、ヴィルジニアは背中を仰け反らせた。艶やかな蝋燭の明かりに照らされて、たわわな乳房が思い思いに揺れ動く。
「可愛いよ、ジニー……ほんとうに、きみは淫らでいやらしい……」
耳元で囁かれる甘言に目を開けば、鏡の中で享楽を貪る自分が濡れた瞳でこちらを見ていた。
――あれはきっと過ぎた快感が見せる幻影。わたくしはまだ理性を保っている。
ヴィルジニアはそう思い込もうとしていた。
快楽の波に溺れた自分を否定するために、ヴィルジニアが両目を硬く瞑った、そのとき。
敏感な花芯に強い刺激が疾った。
「ひぁあっ……!」
「ちゃんと見て」
叱咤するようにそう言って、ヴィルジニアの顎を片手で固定して、ウルバーノは無理矢理にヴィルジニアの顔を鏡に向ける。喘ぎ乱れるヴィルジニアを、いっそう激しく突き上げた。
「いやっ……見せないで! お願い!」
「嬉しい、くせにッ……こんなに、きゅうきゅう締め付けてッ……!」
「そっ……んな、ことっ……んんッ……!」
ヴィルジニアはもう、まぶたで瞳を覆うことすらできなかった。とろけた顔のまま、後ろから両胸を揉みしだかれ、乳首を捏ねられてびくびくと震える自分の姿を、硝子玉のような瞳に映し続けた。
律動的な抽送を続けながら、ウルバーノの指先が花芯を捏ねる。きゅっと強く捻られて、ヴィルジニアは全身を戦慄かせた。
「やっ、だめっ、だめぇっ!!」
ヴィルジニアの腰をちから強く抱き寄せて、ベッドの上に組み伏せて、ウルバーノが覆い被さる。男は獰猛な獣のように、女を後ろから突き穿った。
「イクよ、ジニー! 中に出すッ、から……!」
「あ、あんっ、はっ、んぁッ、ぁあああ――!!」
ウルバーノの男根がヴィルジニアの膣内で爆ぜる。
灼熱の飛沫に最奥を満たされて、ヴィルジニアの意識は真っ白な光に融け消えた。
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