次期当主に激重執着される俺

第2章

最終話

 何も知らない、オレだけのジーク。
 甘い言葉で誘惑し、真剣なフリをして抱きしめれば、ジークはオレを受け入れてくれる。瞳に惹かれて連れて帰れば、その魅力は想像の域を超えていた。
 だがアイツには、人を惑わす才がある。誰よりも優しくて、人一倍のお人好し。だからこそ、オレが傍で見張ってやらないと。

 眠りについたジークに、優しくキスを落とす。
 部屋を出れば、部下の男が待機していた。


「王宮反発派は撤退したようです。ただ、研究室から『危険薬』が一瓶盗まれていました」
「ほう、毒殺の練習でも始めるつもりか」


 醜く汚いオレを知ったら、どんな顔をするだろうか。可愛くて可哀そうな、哀れなジーク。だがそれでいい──外で何があったのかなんて、お前には全て関係ない。
 ずっとずっと、オレの隣に居ればいい。

 薄気味悪い笑みを浮かべて、オレは──



 王宮の『六階』を後にした。

























最後まで読んでくださり、ありがとうございました！ 柴原 狂