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第一章
第6話 オムライス
しおりを挟む──ノーキWIN!
圧倒的な強さを見せられ、俺は唖然と画面を見つめる。正直、信じられなかった。
「……ノーキ上手すぎじゃね? てか、なんか、いつもより上手くね??」
「今日は少し調子がいいんだ」
「マジかよ俺勝てねえかも……」
試合を始めたばかりにも拘らず、俺は既に怯え状態だった。ノーキがゲームセンスに長けていることは重々承知していたが……コイツこんなに上手かったっけ!?
『おいおいプロ並みじゃねぇかww』
『ノーキさん上手すぎっ!?』
『もう天才だろこれ』
『ノーキさんが覚醒しとる!』
視聴者たちも同様に、ノーキの圧倒的な上手さに驚いているようだ。
「はい! じゃあ俺負けたから、NGなしで質問に答えてきます。ノーキ! 来い!」
負けた方はNGなしで質問に答えなければならない、というのが今回のルールだ。俺はコントローラーから手を離すと、構えの姿勢で元気よく声を震わせる。
するとノーキは、僅かに声のトーンを上げて言った。
「質問するね。オル、恋人いる?」
……え???
いきなり際どい質問が来て、俺は一瞬目を丸くする。だが今回はNGなしで答えるのがルールだ。恥ずかしいけど嘘をつくとあとが怖いし、正直に言うしかないよな……?
「ん~いないッ!恋人欲しい!」
俺はあくまで元気よく答える。しかし内心はノーキの鋭い質問を前に焦り気味だった。
『オル非リア把握~笑』
『ノーキさんの質問最高だわww』
『どういう質問ww』
『オル恋人いないんや!?』
「おいおいコメント~? 俺が非リアなの知って喜んでる奴いるだろ!? よし! 次は絶対に負けないからなノーキ!」
「うん。俺も」
そうして二回戦が始まった。
──ノーキWIN!
「あれ……ノーキなんか、一回目より上手くね?」
「さっきより調子良かった」
一回戦目より呆気なく倒された俺は、悔しさを通り越して、言葉にならない恐怖感を覚え始める。もしかしてノーキ……本当はかなり、めちゃくちゃに、ゲームが上手いんじゃ?
『やべえマジで腹痛てぇwww』
『ノーキさん上手すぎてオルが下手に見えてくるわwww』
『おもろすぎやろ笑』
『ノーキさんこのまま全勝してくれ!笑』
この時点でノーキに勝てないことを悟った俺は、この企画を始めたことに早くも後悔していた。
こいつ……上手すぎる。
続けて勝利を勝ち取ったノーキは、またもや声のトーンを上げて俺に質問をする。
「質問するね。オルの好きなタイプは?」
「好きなタイプ!? え、えーっと……優しくて良い子! あ、料理が出来たら最高かも!」
もう自分が何を言っているのか分からない。配信中であることも忘れて、気がつけば真面目に好きなタイプを答えていた。込み上げてくる恥ずかしさを悟らせまいと唇を噛めば……俺の返答を聞いたノーキが、さらに質問を深堀してきた。
「何の料理好きなの」
「オムライス!」
「オムライス作れるよ。オレ」
「え、マジで……?? ノーキの作ったオムライス食べてみたいな!」
友達同士がするような、和やかな会話にコメントは一層盛り上がる。
『コイツら可愛すぎわろた』
『え? なにこれお見合い??笑』
『ノーキさんオムライス作れるんか』
『オルがオムライス好きなの可愛いw』
『質問がお見合いじゃんwww』
『オルの好きなタイプ純粋過ぎじゃね?笑』
『初々しいなおい』
『なんかもう2人とも可愛く見えてきたw』
コメントを見てハッと我に返る。しまった……ノーキとの会話を普通に楽しんでしまっていた。
「ちょっ! さあ次だ! ノーキ、次は勝つからな! 俺だってお前に質問したいこと山ほどあんだから!」
「うん。俺もまだまだあるよ」
俺たちは再びゲームを再開する。しかしどうだろう。
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