【完結】陽キャのフリした陰キャ配信者がコラボきっかけで付き合う話

柴原狂

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第一章

第7話 お見合い?

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──ノーキWIN!
──ノーキWIN!
──ノーキWIN!


 幾度となく勝負を続けた結果、俺は見事に『全敗』した……。


「結婚願望ある?」 
「ええっと、ない!今んとこだけど……」 
 
「職業聞いてもいい……?」
「学生!!」

「身長どれくらい?」
「……へ、平均ぐらい」


『はいダウトwwwww』
『オル絶対チビだろw』
『オル同じ学生なのかよ!笑』
『腹筋割れるww』
『ノーキさんマジで上手すぎだろ』
『オルここまで勝てないと逆に尊敬するww』
『ノーキさんの質問内容がお見合いでしかない笑』
『神回最高!www』

 コメント欄は大盛り上がりだった。時計に目を向けてみると、配信を始めてからかなりの時間が経過していたことに気づく。


「あーもうノーキに勝てねぇ。今回は負けを認める……次は協力する感じにしようぜ」

「そしたらオレが、オルのこといっぱいサポートしてあげるね」

「いやいや! 俺だって活躍すっからな!?」


楽しく会話を進めるながらも、俺はそろそろ配信を終わらせようとしていた……が、その時。ノーキが静かに口を開いた。



「オル……良かったら一度、オレと会ってみて欲しい。美味しいオムライス作るから」 



『えっ?』
『んーーー??』
『おやおや、おやおやおや』
『おっと?!?』
『おおおッ』
『へっ』
『これは……!?』


 コメントが一気に「!?」で埋まった。突拍子のない提案に、俺も思わず目を瞬かせる。
 寡黙でクールで、冷静沈着なやつだと思っていたが……もしかしたらノーキは、意外と感情的なタイプなのかもしれない。


「おいおい~! 会うって言っても住んでる場所が同じかどうかも分からないだろ?」


 俺がふざけるように言ってみれば、ノーキはすぐに口を開く。


「じゃあ、オレの住んでる場所、オルのDMに送るから、どれくらい近いか教えてよ。近いならオレが会いに行く。会いたい」
  

 そう言って素早くDMを送ってきたノーキの真剣で必死な声色にずるずると流され、俺はDMを確認してみる。
 そして……送られてきた画像を見るなり、「まじか」と声を漏らしてしまった。


「ノーキ、俺たち……住んでるとこ同じだww」

「ほんとに? 会いたい。オレ……もっとオルと仲良くなりたい」


 いつも寡黙気味のノーキがいつにも増してテンション高めに言ったからか。コメ欄はこれまでないほどに盛りあがった。


『お見合い成立じゃねこれww』
『幸せになれもうww』
『オムライスの感想聞かせてくれ』
『結婚式呼べよ、頼む』
『分かった。式はいつにする?』
『御祝儀としてスパチャ投げるわ』


 いい感じの雰囲気のまま配信を終わらせようと思っていた俺は、この新事実発覚を良い事に、配信を終わらせることにした。


「んじゃ俺とノーキはこれから予定立てるから終わるわ! コラボめっちゃ楽しかった! 乙!」 

「おつかれさま」


 配信はそのまま終了された。


* * *

 配信を切った事を確認した俺はふーっと安心したように息を吐く。
 正直、初めはどうなるものかと緊張していたが、思っていたよりずっとずっと楽しかったな。

「オル、今日はありがと」 

 するとノーキが、俺に向かって満足気味に話しかけてきた。俺は素早く姿勢を正すと陽キャモードで返事をする。

「こちらこそ! マジで全敗すると思ってなかったけど、めっちゃ楽しかった!」

 とりあえず、陽キャモードのまま無事に配信が終わってよかった。
 初コラボって事もあって緊張してたけど、これならまたやってもいいかもしれない。


「あのさオル……会いに行ってもいい?」


 満足気に笑っていた俺は、ノーキから告げられた思わぬ質問に思わずその場で停止する。
 正直……本当に住んでるところは同じだったが、配信を盛り上げるためにわざと言ったのだろうと思い込んでいた。

 そもそもノーキは何歳なんだ? なんでそんなに会いたがるのだろう? 俺は全く知らない目の前の男に探りを入れるべく、ノーキに少し質問してみることにした。


「あ~そういえば、ノーキに質問できなかったけど職業とか聞いてもいい?」

「うん。俺も学生だよ。高二」


 ……マジか。しかも学年も一緒だ。まさかの新事実発覚に、俺は身体を前のめりにする。
 ノーキと話してると妙に安心してしまうのは、年齢が近いからだったのだろうか。


「俺、オムライスも作れるよ」

「めっちゃオムライス強調するじゃん笑。まあ俺も今日楽しかったし、いいかもな!」

「ほんと? 嬉しい。また連絡するね。コラボももっとしようね」


 ノーキが喜んでいるのが声だけでわかった。ライバルなのに、敵なのに……なんだか少し可愛いとも思ってしまう。


「おう!じゃあ、またな!めっちゃ楽しかった!ありがとう!」

「うん。俺も楽しかった。またね。」


 今回の視聴者数は、俺の過去最大記録を大きく塗り替える素晴らしい配信結果となった。そして、チャンネル登録者が一気に増えた。


* * *

 目が覚め、昨日の記憶が全て蘇る。朝になると陰キャモードになるせいか、俺は早くも『ノーキに会う』という約束をした事に早くも後悔していた……。

 怖いわああ。
 ノーキは声的に絶対イケメンだよな? そもそもオムライス作ってくれるって言ってたけど、俺がノーキの家に行くってことなのか!? 何してくれてんだ昨日の俺! バカ!

 日常生活の中で誰かと目を合わせることなんて滅多いないのに……ノーキと直接あってしまえば最後、陽キャのフリをしていることがバレるに違いない。
 俺は絶望と混乱の狭間を行き来しながらも、無意識的にスマホに目を向ける。するとどうだろう。


「……はあ?! なんだよこれ!」


 なんと『オル&ノーキさんお見合い』がトレンドに入っていたのだ。ていうか、相変わらず俺の名前だけ呼び捨てかよ……。


『昨日の配信マジでやばかったwww』
『オル&ノーキさんお見合い最高!』
『配信マジでおもろいから見てww』
『もうあれは結婚やろ? めでてぇ』
『神回だったわ、尊い.....』
『オムライスのくだり可愛いから見て』
『ノーキさん、オルの前だとめちゃ喋るやんwww』


 なんでそうなるんだ……!?


 こうして俺はまた、白目で学校へ向かうことになった。



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