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第一章
第9話 隠せ! リアル
しおりを挟むそれから俺は、購買にお昼を買いに行くべく、ゆっくり身体を起こし上げる。
もちろん、一緒にお昼を食べてくれるような友達なんで誰ひとりいない。
校内でも誰とも会話しない陰キャな俺にとって、人と目を見て話すのは至難の業だ……配信してみて良い奴だとは思ったけど、果たして俺は、ノーキとちゃんと話せるのだろうか。
帰ったら鏡の前で目を合わせる練習してみようかな。それだけじゃ足りない。笑顔の練習と、会話の弾ませ方と、それから──
そんなことを考えながら、廊下の角を曲がった時だった。
どんっ、と肩に衝撃が走り、俺は「しまった」と肩を震わせる。誰かとぶつかってしまったらしい。幸い、互いにスピードを出していなかったので、大事には至らなかった。
それにしても最悪だ……最近、考え事してるといつもこうなる!!
俺は急いで謝ろうと相手の方へ視線を向けると、たちまち声を震わせて言った。
「す、すみませんでした!」
思い切り頭を下げる。すると目前の人物は「大丈夫」と短く答えたあと、何やら不思議そうに俺を見てきた。咄嗟の視線に耐えきれず、俺は無意識に目を逸らす。
「……君、この前もぶつかった子だよね? 何回もごめんね」
不自然なほどに目をキョロキョロさせる俺とは裏腹に。その人物は、想像していたより何倍も優しい声色でそう言った。
思わぬ謝罪に反応し、俺は目前の人物に目を向ける。
そこに居たのは、この間もぶつかった茶色い髪の高身長のイケメンだった。購買に行ったあとなのだろう、手にはパックの飲み物を持っている。
切れ長の瞳に、長いまつげ。透き通るような優しい声に、意図せず意識を奪われる。
「それじゃあ。またね」
そうして、ぼーっと眺めているうちに、目前の男はその場を去ってしまった。
しばらく放心していた俺は、やがてハッと我にかえる。
なに見惚れてんだ俺! 今はとにかく、ノーキと会うことだけ考えろ! !
とりあえず日曜までにいい感じの服買って、元気なオルを完璧に演じるんだ。
絶対に、絶対に、『本当の俺』がバレないよう、上手く取り繕わなければ──
そんな決心を胸に秘めて、俺は再び歩き出した。
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