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第二章
第32話 MVP
しおりを挟むその後も俺たちは、与えられた解説の仕事を問題なくこなしていった。
互いにフォローし合ったり、スタッフの方に助けて貰ったりと、非常にいい経験になった。
そうして長い長い試合の末──ついに勝者が決定した。
「優勝はまたしてもこのチーム! MVPは……キル選手です!!」
『きゃあああっ!♡』
『キル様おつかれ!!』
『優勝おめでとー!』
『かっこいい♡♡』
『キル様あああああ』
『おめでとうございます!!』
『好きですっ!!!』
加速するコメントを他所に。MVPとして名前を呼ばれたキルさんが、コントローラーから手を離して立ち上がる。
男は俺たちが居るインタビュー席へ向かう途中──配信画面に向かって、真顔のままピースをした。
『っ!鼻血出た......♡♡』
『スクショ!!スクショ!!』
『あーん好き♡』
『カッコよすぎる!!』
『キルさまのファンサ珍しい!』
『抱かれたいっっっ♡♡』
女子層が多いのか、キルのMVP獲得にファンは喜びの声を上げている。
「それではオルさん、ノーキさん。インタビューの方をお願いします」
さて。俺たちも頑張らなければ。
スタッフさんの声を合図に、俺とノーキは元気よく言った。
「「はい!」」
* * *
次は、いよいよ最後の仕事……!!
俺とノーキは今から、MVPを獲得した選手にインタビューを行う。
これまでの雰囲気を崩すことなく、なんとか陽キャになりきって頑張るぞ! と俺は内心気合を入れる。
瞬間。ガチャ、と金属音が響いた。
タイミングよく扉が開き、ひとりの人物がこちらにやって来る。大きなカメラは、その人物だけを捉えていた。
俺は、「よし……!」と拳を握りしめると、今回の主役が中に入ったのを確認したのち、明るい声色で言ったのだった。
「こんにちはキル選手! MVP獲得おめでとうございます!!!」
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