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第二章
第33話 インタビュー
しおりを挟むそう、やって来たのは今イベントのMVPであるキルさんだった。
相変わらずの黒髪マッシュに、黒いマスク……耳に付けられた無数のピアスからは、怖いそうな印象を受ける。
しかしどうだろう。キルさんは俺の言葉に反応すると、意外にも、ぺこりと一礼してくれた。
そうしてキルさんは、俺とノーキが座っているソファと向かい合う形で腰を下ろした。
* * *
「……まずは、試合の感想を教えてください」
ノーキが心做しか低い声で質問する。
周りはこの微妙な差に気付いてないかもしれないが──普段から彼と行動を共にする俺にとって、ノーキがキルさんを良く思っていないのは一目瞭然だった。
そんなノーキの質問に対して。今度は、キルさんまでもが低い声色で答える。
「……絶対勝ちたいと思ってたので、勝てて嬉しかったです」
シーンと、場が沈む。
……え、何だこの空気。重すぎだろ?!
ノーキとキルさんから異様な雰囲気を感じとった俺は、こほんっとひとつ咳払いすると──ノーキ進行を奪い、即座に明るく切り返した。
「そ、そうなんですねー! では、続いて『キル選手の一番好きなプレイスタイル』を教えてください!」
もしかしたら、キルさんはインタビューが苦手なのだろうか。俺も冷たくされるのは目に見えていたが、ここはなんとか場を盛り上げなければ……
なんて思いの思考とは裏腹に。キルさんは俺からの質問に反応するなり、あからさまに嬉しそうな声で返事をした。
「派手なプレイが好きです。オルみたいな」
その瞬間、横にいるノーキからドス黒い影が出てくるのが分かった。
しかしそれに怯むことなく、キルさんは俺だけを見つめてくる。その視線は優しいように見えて、どこか怖い。
「そ、そうなんですか?! 嬉しいです、ありがとうございます! えっと……じゃあ次に『憧れのプレイヤーや、好きなプレイヤー』を教えて下さい!」
どうにかして流れを変えようと、俺は元気に質問を続ける。
キルさんは、そんな俺から視線をそらさないまま優しく答えた。
「好きなプレイヤーはオルです」
「……え?」
思わぬ返答に驚く。
待ってくれ。さっきから思ってたけど……ネタなのかこれは!? 流していいのか、突っ込んでいいのか分からないぞ!?
カンペ『掘り下げて』
動揺が隠せずあたふたする俺の視界に、スタッフさんからのカンペが映る。
……嘘だろ。掘り下げてって?
俺を見つめるスタッフの人の表情が、心做しか楽しそうに見えるから恐ろしい。
ネタじゃないってことなのか? やばいぞ、キルさんの考えが全然わからない……!
しかし無視するわけにもいかない。俺は混乱しながらもカンペの言うことを聞くために、何とか話を掘り下げる。
「えっと、俺……そんなにゲーム上手くないですけど」
なんて言えばいいかわからず、しどろもどろになりながら質問をしてみた。
するとキルさんは、そんな俺を愛おしそうに見つめ、またもや笑顔で答える。
「オルのプレーと配信が好きなんです。見れる日は毎日見てます。応援してますよ」
「え、ありがとうございます……!」
俺は思わず嬉しくなり、素のままお礼を言う。だが、横から放たれるノーキの黒いオーラは──濃くなるばかりだった。
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