【完結】陽キャのフリした陰キャ配信者がコラボきっかけで付き合う話

柴原狂

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第三章

最終話①

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「累、緊張してる?」

「全然、大丈夫だ! 光輝がいるからな」

 俺たちは互いに準備をしながら話をする。そう、これから行われる配信の準備だ。

「最初の一歩は、お前と踏み出したいし」

「累……!」

 俺が真剣な表情で言えば、ノーキは頬を赤く染めた。

「ありがとう累。オレも、ひとりでするのは不安だったから、累が一緒に踏み出してくれるのが凄く嬉しい。心強いよ」

 そう言って笑う光輝の笑顔は、いつだって俺を勇気づけてくれる。

 初めは……同じくらい人気のライバル配信者、と言う印象しか無かった。
 でもコラボをきっかけにお互いのことをよく知って、俺たちはこれまで、色んなことを乗り越えてきた。


 だから今回も、二人なら乗り越えられる。


 そう──俺たちは今から『顔出し』配信をするのだ。

* * *

 ノーキがプロチームに入る決断をした時点で、この未来は決まっていたのかもしれない。

 プロ選手は、公式の配信やイベントに素顔を出して参加する。だから、必然的にノーキも顔出しをする必要が出来てしまったのだ。

 当時のノーキはかなり迷っていたようだが、俺はとてもいい話だと思った。すごい技術と才能を持ったノーキなら、間違いなく活躍出来る。だから──

『光輝、プロになれよ』

『……え?』

『光輝なら大丈夫だ。だってこんなにゲームが上手いんだからな!』

『ありがとう累。でも……スカウトされたのはキルさん達がいるチームだよ。仲良くやっていけるか不安だし、必然的に顔出しもしなきゃいけなくなる。大学もあるし……こんなこと言うのダサいけど、ちょっと不安なんだ』

 あの時のノーキの表情は、珍しく弱気になっていた。そんな彼の姿を見て、俺が背中を押さないはずがない。

『一番大事なのはノーキの気持ちだけど、俺はいいと思ったぞ。ゲームしてるノーキはいつも楽しそうだし、隣にいる俺までワクワクするんだ』

 俺の言葉を真っ直ぐ受けとったノーキは、黙ったまま拳を握り、葛藤する。

 この時点で、俺は思った。
 自分が光輝にできる最大限の応援はなんだろう。新しい一歩を踏み出そうとしているこの男と、俺も一緒に踏み出せないかな、と。

 そんな思考を凝らした末、オルはひとつの決断にたどり着いた。

『光輝』

『……どうしたの、累』

 光輝は累の隣に座ると、優しく名前を呼ぶ。その声色には大きな意思を感じられる。

 まさかこんな発言を自分からすることになるとは思わなかった。周りに何を言われても、バカにされても、俺はこの大きな一歩を光輝と踏み出したい。背中を押したい。

 あのころの弱かった自分はもう居ない。周りとコミュニケーションを図れるようになってきた俺は、自信に満ち溢れていた。

 累は大きく息を吸い込むと、真っ直ぐ光輝を見つめて言ったのだ。


 一緒に顔出ししよう、と。


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