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第十章 南洋の密林の島に八つ首の大蛇は存在した
美人な執事
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健太郎達が住む事になった元フィッシュバーン家の別荘。
その屋内は健太郎や仲間達、そして子供達の要望が取り入れられていた。
ギャガンとトーマスの要望で屋内訓練場、絵が好きなルックの為にアトリエ、おませなシェラには化粧台付きの部屋とドレス、腕白坊主のケントは備え付けでは無く、自らの手で森にツリーハウスを作ると鼻息も荒く宣言していた。
博物学に興味のあるジェフと魔法の研究がしたいグリゼルダの要望で図書館の様な書斎が作られ、キューと一緒にいたいミミの願いで、森へと続く庭には成長したキューも眠れる大きなベッドのある彼専用の家も作られていた。
ニーナの指導で腕が上がり、料理にハマったロミナは広く設備の整った厨房に満足し、パムは宿の物とは違いフカフカのベッドにはしゃいでいた。
健太郎とミラルダは、皆が楽しく暮らせればそれでいいというスタンスだったので特に要望は出さなかったが、喜ぶ子供達の顔を見て顔を見合わせ満足そうに笑い合った。
そんな二人に執事だと名乗ったグラスが声を掛ける。
「ミラルダ様、ミシマ様。伯爵様からは不満な点があればいつでも言って欲しいと言いつかっております。公爵様からも十分な改修資金の提供を賜っておりますので、何かあれば私にお伝え下さい」
黒髪で燕尾服の性別が分からない美人(胸が無いから多分、男だろう)はそう言って二人に頭を下げた。
「家には不満はないけど……そのミラルダ様ってのは止めてもらえるかい?」
「コホー……」
俺もミシマ様って言われるのはちょっと……。
「だよねぇ。ねぇ、グラスさん。あたし等は今まで平民街で一庶民として暮らして来たんだ。様なんて呼ばれちゃ、むずがゆくて仕方がないよ」
「コホーッ」
その通りだよ。
ミラルダの言葉とそれに同意する様に頷いた健太郎を見て、グラスは困り顔で笑みを浮かべた。
「さようでございますか……ではどのようにお呼びすればよろしいでしょうか?」
「そうだねぇ……別に呼び捨てでもいいんだけど……」
「流石に主人を呼び捨てにする訳にはまいりません」
「そうかい? ……じゃあミラルダさんで」
「……ミ……ミラルダ……さん……やはりミラルダ様とお呼びしてよろしいでしょうか?」
グラスはさん付けでもかなり言い難そうにミラルダを呼び、即座に様呼びに変えて欲しいと願い出た。
「なんでそんなにこだわるのさ?」
「私は今までフィッシュバーン家の当主である伯爵様やそのご子息、リゼル様の他、お客様達に別荘付きの執事として接してまいりました。急に友人同士の様に接して欲しいと申されましても……」
「コホーッ」
なるほどな。執事キャラが染みついていて砕けるのが難しいって訳だ。ミラルダ、彼の事は少しずつやって行こうぜ。
「うーん、何だか落ち着かないけど、しょうがないかねぇ」
健太郎の言葉を聞いてミラルダは渋々ながらもグラスの対応を受け入れた。
付き合いが長くなれば彼もきっと少しは打ち解けてくれるだろう。
そんな事を考えつつ、ミラルダはグラスに苦笑を返した。
「では、そろそろ夕食の準備が整う時間ですので、食堂にご案内いたします。こちらです」
「コホーッ」
あっ、ミラルダ。じゃあ俺は婆ちゃんと話してくるよ。
「了解だよ。そうだミシマ、師匠に龍脈の事も聞いといておくれ」
「コホーッ」
分かった。
二人のやり取りを見ていたグラスがおもむろに口を開く。
「伯爵様より聞いてはいましたが、ミラルダ様は本当にミシマ様の言葉がお分かりになるのですね」
「どうもミシマの機能らしいんだけどねぇ」
「……あの、コツなどありましたらお教え頂けないでしょうか?」
「コツって言われてもねぇ……」
「主の言葉を正確に読み取れない等、執事として失格です。どうか何卒」
「そう言われても……ミシマ、グラスさんにもあたしみたく言葉を分かる様にしてやっておくれよぉ」
「コホー……」
えっ、そんな事言ったって、俺にも何でミラルダにだけ通じてるのか分かんないのに……。
弱ってしまい、気持ち的に眉を寄せ首を捻った健太郎の手をグラスがギュッと抱え込む様に両手で握る。
「ミシマ様、お願いです……」
眉根を寄せてグラスは健太郎に懇願する。
「コッ、コホー……」
うっ、君にそんな顔されると、何だか変な気持ちになるなぁ……。
「何だいミシマ、変な気持ちって?」
ミラルダの声は何だか酷く冷たい様に健太郎には感じられた。
「コッ、コホーッ!! コホー……」
なっ、何でも無いよッ!! うーん……ねぇ、グラス君にも言葉が通じる様にしてよ。
健太郎は慌ててミラルダに首を振ると、改めて身体に呼び掛けた。しかしいつも通りその呼び掛けに彼の身体が応える事は無かった。
「コホーッ」
ゴメン、やっぱ無理っぽい。
首を振った健太郎にグラスはガックリと肩を落としそうですかと手を放した。
しかし、すぐにギュッと右拳を固め顔を上げる。
「分かりましたッ!! ではこのグラス、今後、ミシマ様の動きからお心を量れるよう、より一層精進する事に致しますッ!!」
そう宣言したグラスの瞳には炎が宿っている様に健太郎には感じられた。
どうも彼は執事という自分の職業に強いこだわりと誇りを持っているようだ。
「コッ、コホー……」
がっ、頑張って下さい。
両の拳を持ち上げギュッと握ると、グラスは深く頷き「ありがとうございますッ!! 頑張りますッ!!」と力強く答えた。
ジェスチャーが分かったんだろうけど、何だか言葉が通じている気もするが……。
そんな事を思いながら健太郎はミラルダとグラスと別れ、屋敷の庭に移設されたレベッカの家へと向かった。
その屋内は健太郎や仲間達、そして子供達の要望が取り入れられていた。
ギャガンとトーマスの要望で屋内訓練場、絵が好きなルックの為にアトリエ、おませなシェラには化粧台付きの部屋とドレス、腕白坊主のケントは備え付けでは無く、自らの手で森にツリーハウスを作ると鼻息も荒く宣言していた。
博物学に興味のあるジェフと魔法の研究がしたいグリゼルダの要望で図書館の様な書斎が作られ、キューと一緒にいたいミミの願いで、森へと続く庭には成長したキューも眠れる大きなベッドのある彼専用の家も作られていた。
ニーナの指導で腕が上がり、料理にハマったロミナは広く設備の整った厨房に満足し、パムは宿の物とは違いフカフカのベッドにはしゃいでいた。
健太郎とミラルダは、皆が楽しく暮らせればそれでいいというスタンスだったので特に要望は出さなかったが、喜ぶ子供達の顔を見て顔を見合わせ満足そうに笑い合った。
そんな二人に執事だと名乗ったグラスが声を掛ける。
「ミラルダ様、ミシマ様。伯爵様からは不満な点があればいつでも言って欲しいと言いつかっております。公爵様からも十分な改修資金の提供を賜っておりますので、何かあれば私にお伝え下さい」
黒髪で燕尾服の性別が分からない美人(胸が無いから多分、男だろう)はそう言って二人に頭を下げた。
「家には不満はないけど……そのミラルダ様ってのは止めてもらえるかい?」
「コホー……」
俺もミシマ様って言われるのはちょっと……。
「だよねぇ。ねぇ、グラスさん。あたし等は今まで平民街で一庶民として暮らして来たんだ。様なんて呼ばれちゃ、むずがゆくて仕方がないよ」
「コホーッ」
その通りだよ。
ミラルダの言葉とそれに同意する様に頷いた健太郎を見て、グラスは困り顔で笑みを浮かべた。
「さようでございますか……ではどのようにお呼びすればよろしいでしょうか?」
「そうだねぇ……別に呼び捨てでもいいんだけど……」
「流石に主人を呼び捨てにする訳にはまいりません」
「そうかい? ……じゃあミラルダさんで」
「……ミ……ミラルダ……さん……やはりミラルダ様とお呼びしてよろしいでしょうか?」
グラスはさん付けでもかなり言い難そうにミラルダを呼び、即座に様呼びに変えて欲しいと願い出た。
「なんでそんなにこだわるのさ?」
「私は今までフィッシュバーン家の当主である伯爵様やそのご子息、リゼル様の他、お客様達に別荘付きの執事として接してまいりました。急に友人同士の様に接して欲しいと申されましても……」
「コホーッ」
なるほどな。執事キャラが染みついていて砕けるのが難しいって訳だ。ミラルダ、彼の事は少しずつやって行こうぜ。
「うーん、何だか落ち着かないけど、しょうがないかねぇ」
健太郎の言葉を聞いてミラルダは渋々ながらもグラスの対応を受け入れた。
付き合いが長くなれば彼もきっと少しは打ち解けてくれるだろう。
そんな事を考えつつ、ミラルダはグラスに苦笑を返した。
「では、そろそろ夕食の準備が整う時間ですので、食堂にご案内いたします。こちらです」
「コホーッ」
あっ、ミラルダ。じゃあ俺は婆ちゃんと話してくるよ。
「了解だよ。そうだミシマ、師匠に龍脈の事も聞いといておくれ」
「コホーッ」
分かった。
二人のやり取りを見ていたグラスがおもむろに口を開く。
「伯爵様より聞いてはいましたが、ミラルダ様は本当にミシマ様の言葉がお分かりになるのですね」
「どうもミシマの機能らしいんだけどねぇ」
「……あの、コツなどありましたらお教え頂けないでしょうか?」
「コツって言われてもねぇ……」
「主の言葉を正確に読み取れない等、執事として失格です。どうか何卒」
「そう言われても……ミシマ、グラスさんにもあたしみたく言葉を分かる様にしてやっておくれよぉ」
「コホー……」
えっ、そんな事言ったって、俺にも何でミラルダにだけ通じてるのか分かんないのに……。
弱ってしまい、気持ち的に眉を寄せ首を捻った健太郎の手をグラスがギュッと抱え込む様に両手で握る。
「ミシマ様、お願いです……」
眉根を寄せてグラスは健太郎に懇願する。
「コッ、コホー……」
うっ、君にそんな顔されると、何だか変な気持ちになるなぁ……。
「何だいミシマ、変な気持ちって?」
ミラルダの声は何だか酷く冷たい様に健太郎には感じられた。
「コッ、コホーッ!! コホー……」
なっ、何でも無いよッ!! うーん……ねぇ、グラス君にも言葉が通じる様にしてよ。
健太郎は慌ててミラルダに首を振ると、改めて身体に呼び掛けた。しかしいつも通りその呼び掛けに彼の身体が応える事は無かった。
「コホーッ」
ゴメン、やっぱ無理っぽい。
首を振った健太郎にグラスはガックリと肩を落としそうですかと手を放した。
しかし、すぐにギュッと右拳を固め顔を上げる。
「分かりましたッ!! ではこのグラス、今後、ミシマ様の動きからお心を量れるよう、より一層精進する事に致しますッ!!」
そう宣言したグラスの瞳には炎が宿っている様に健太郎には感じられた。
どうも彼は執事という自分の職業に強いこだわりと誇りを持っているようだ。
「コッ、コホー……」
がっ、頑張って下さい。
両の拳を持ち上げギュッと握ると、グラスは深く頷き「ありがとうございますッ!! 頑張りますッ!!」と力強く答えた。
ジェスチャーが分かったんだろうけど、何だか言葉が通じている気もするが……。
そんな事を思いながら健太郎はミラルダとグラスと別れ、屋敷の庭に移設されたレベッカの家へと向かった。
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