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第十章 南洋の密林の島に八つ首の大蛇は存在した
武人に恋は難しい
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カガネ山の山頂、北東へ逃げたロバートを撃ち落とした健太郎とギャガンは、閃光が消え去ったその北東の空を二人並んで見つめていた。
「ミシマ、お前、あんなクズ野郎でも生きていて欲しいと思うのか?」
「コホーッ」
俺はさ、人殺しなんて殆ど起きない国で生きてたんだよ。だから誰かに殺されそうになったり、殺そうと思った事は無かったんだ。
健太郎は自分の言葉を共通語で地面に刻む。
「コホー……」
今回はアイツが逃げた先で蜥蜴人と同じように、誰かを苦しめるのが嫌だったから手を下した。でも、やっぱり人の罪を裁くのは人がやるべきじゃないと俺は思う……。
「じゃあ、何が裁くんだよ?」
健太郎は地面に“法”と書き記した。
「法ねぇ……奴は国には縛られてなかった。法もなにもねぇと思うがなぁ」
「コホー……」
それでもだ。誰かを殺した。この世界から消したって思いは残り続ける。それは人が背負っていくには……いや違うな……俺には少し重い……。
岩の大地に刻まれた健太郎の言葉を見たギャガンは、腕を組みつつ空を見上げた。
「……引き金は俺が引いた。その重さの半分は俺が持つさ……」
「コホー……」
ギャガン……お前、ヤンチャな癖に時々カッコいいよな。
「うるせぇよ」
健太郎が地面に書いた文字を見てギャガンは鼻を鳴らし呟く。
二人がそんな話をしていると、頂上から放たれた光を見たミラルダ達が山を登って来た。
ミラルダは魔力切れで、グリゼルダは角を折られた事で少しふらついている。
そんな二人をパムとイレーネがふうふう言いながら支えていた。
健太郎達は四人に駆け寄り、健太郎がミラルダに肩を貸し、ギャガンはグリゼルダを抱え上げる。
「パム、イレーネ、ありがとよ」
「えへへ……ふぅ……力仕事はハーフリングには向かないね」
「山頂からの光を見たら、三人とも終わったって……アレを倒したの?」
「ああ、あいつはこの世から消えた」
グリゼルダをお姫様だっこしたギャガンはイレーネに静かにそう告げた。
「なっ、なぁギャガン、私は支えがあれば……」
「無理すんな……すまねぇな。お前の剣になるって大見栄切っといてよぉ……」
「グッ……ホントだぞ……だからもう私から離れるな」
グリゼルダはギャガンの首に腕を回しギュッと抱きついた。
「おっ、おう」
そんな二人の様子に目を細めたミラルダは、視線を向け健太郎に口を開く。
「ふぅ……あんがと、ミシマ……それで、ヒドラも全部やったのかい?」
「コホーッ」
ああ、ヒドラも全部片づけた。ここでの仕事は龍穴の力を吐き出させるだけだ。
「そうかい……あの金色の光でグリゼルダの角も治りゃあいいんだけど……」
「角の事はいい……それよりミシマ、龍穴を」
「ねぇ、グリゼルダ。ホントに角は大丈夫なの?」
「すんだ事をアレコレ考えても仕方がない。まぁ、ラーグに帰ってから治療法を探すさ」
「まずはギルドで僧侶を探して癒しの魔法を掛けて貰いましょう。それでダメなら……そうね……外科手術とか。上位ランクの冒険者を治療してる先生がいるから紹介するわ」
イレーネの提案を聞いたギャガンが、グリゼルダの角に視線を向けながら口を開く。
「そうだ、治療といえばよぉ。エキドナと戦ってる時、思い付いたんだが、アキラに頼んで何とか出来ねぇか?」
「アキラに……融合か?」
「ああ、エキドナは腕も角も一瞬で再生させてた。あんな感じの能力を取り込めばお前の角も……」
「……ギャガンは私があんな怪物と混ざっても平気なのか?」
「角を治したらミシマにすぐ分解してもらえばいいじゃねぇか」
「……もういい。下ろしてくれ」
グリゼルダは首に回していた腕を解き、ギャガンからプイッと顔をそむけた。
「早く下ろせッ!」
「あ、ああ……」
地面に下ろされたグリゼルダは、ふらつきながらも社へ向かい歩を進める。
「……なに怒ってんだよ、あいつ」
「乙女心が分かってないねぇ。グリゼルダはギャガンに怪物と混じった自分を見られたくないんだよ」
パムがやれやれと肩をすくめて両手を上げながら首を振る。
「あん? なんでだよ? 角が治る方が大事じゃねぇか?」
「ギャガンさん、融合って確か地下迷宮で起きた魔物と人を混ぜるって奴よね?」
「そうだ。再生能力の高い魔物と融合すりゃあ、アイツの角もきっと……」
ギャガンの言葉を聞いたイレーネは、ため息を吐きつつ口を開く。
「ギャガンさん、いい? 女というモノは好きな男の前ではいつも綺麗でいたいものよ」
「好きな男? あいつが? 俺を? いや、あいつは相棒的な奴で……」
「ギャガン、鈍い男は嫌われるよ」
「……マジかよ……」
ギャガンが呆然とグリゼルダの後ろ姿を見つめていると、彼女は振り返り声を上げる。
「何をしているッ!? ミシマ、龍穴に溜まった力を抜くのだろうッ!!」
「コホーッ」
はいはい、ただいま。
不機嫌そうなグリゼルダの声に健太郎はミラルダを抱き上げ駆け寄った。
その日、フェンデアには山頂から噴き出した黄金色の輝きが降り注ぎ、ヒドラに荒された森と傷付いた蜥蜴人達を癒したという。
「ミシマ、お前、あんなクズ野郎でも生きていて欲しいと思うのか?」
「コホーッ」
俺はさ、人殺しなんて殆ど起きない国で生きてたんだよ。だから誰かに殺されそうになったり、殺そうと思った事は無かったんだ。
健太郎は自分の言葉を共通語で地面に刻む。
「コホー……」
今回はアイツが逃げた先で蜥蜴人と同じように、誰かを苦しめるのが嫌だったから手を下した。でも、やっぱり人の罪を裁くのは人がやるべきじゃないと俺は思う……。
「じゃあ、何が裁くんだよ?」
健太郎は地面に“法”と書き記した。
「法ねぇ……奴は国には縛られてなかった。法もなにもねぇと思うがなぁ」
「コホー……」
それでもだ。誰かを殺した。この世界から消したって思いは残り続ける。それは人が背負っていくには……いや違うな……俺には少し重い……。
岩の大地に刻まれた健太郎の言葉を見たギャガンは、腕を組みつつ空を見上げた。
「……引き金は俺が引いた。その重さの半分は俺が持つさ……」
「コホー……」
ギャガン……お前、ヤンチャな癖に時々カッコいいよな。
「うるせぇよ」
健太郎が地面に書いた文字を見てギャガンは鼻を鳴らし呟く。
二人がそんな話をしていると、頂上から放たれた光を見たミラルダ達が山を登って来た。
ミラルダは魔力切れで、グリゼルダは角を折られた事で少しふらついている。
そんな二人をパムとイレーネがふうふう言いながら支えていた。
健太郎達は四人に駆け寄り、健太郎がミラルダに肩を貸し、ギャガンはグリゼルダを抱え上げる。
「パム、イレーネ、ありがとよ」
「えへへ……ふぅ……力仕事はハーフリングには向かないね」
「山頂からの光を見たら、三人とも終わったって……アレを倒したの?」
「ああ、あいつはこの世から消えた」
グリゼルダをお姫様だっこしたギャガンはイレーネに静かにそう告げた。
「なっ、なぁギャガン、私は支えがあれば……」
「無理すんな……すまねぇな。お前の剣になるって大見栄切っといてよぉ……」
「グッ……ホントだぞ……だからもう私から離れるな」
グリゼルダはギャガンの首に腕を回しギュッと抱きついた。
「おっ、おう」
そんな二人の様子に目を細めたミラルダは、視線を向け健太郎に口を開く。
「ふぅ……あんがと、ミシマ……それで、ヒドラも全部やったのかい?」
「コホーッ」
ああ、ヒドラも全部片づけた。ここでの仕事は龍穴の力を吐き出させるだけだ。
「そうかい……あの金色の光でグリゼルダの角も治りゃあいいんだけど……」
「角の事はいい……それよりミシマ、龍穴を」
「ねぇ、グリゼルダ。ホントに角は大丈夫なの?」
「すんだ事をアレコレ考えても仕方がない。まぁ、ラーグに帰ってから治療法を探すさ」
「まずはギルドで僧侶を探して癒しの魔法を掛けて貰いましょう。それでダメなら……そうね……外科手術とか。上位ランクの冒険者を治療してる先生がいるから紹介するわ」
イレーネの提案を聞いたギャガンが、グリゼルダの角に視線を向けながら口を開く。
「そうだ、治療といえばよぉ。エキドナと戦ってる時、思い付いたんだが、アキラに頼んで何とか出来ねぇか?」
「アキラに……融合か?」
「ああ、エキドナは腕も角も一瞬で再生させてた。あんな感じの能力を取り込めばお前の角も……」
「……ギャガンは私があんな怪物と混ざっても平気なのか?」
「角を治したらミシマにすぐ分解してもらえばいいじゃねぇか」
「……もういい。下ろしてくれ」
グリゼルダは首に回していた腕を解き、ギャガンからプイッと顔をそむけた。
「早く下ろせッ!」
「あ、ああ……」
地面に下ろされたグリゼルダは、ふらつきながらも社へ向かい歩を進める。
「……なに怒ってんだよ、あいつ」
「乙女心が分かってないねぇ。グリゼルダはギャガンに怪物と混じった自分を見られたくないんだよ」
パムがやれやれと肩をすくめて両手を上げながら首を振る。
「あん? なんでだよ? 角が治る方が大事じゃねぇか?」
「ギャガンさん、融合って確か地下迷宮で起きた魔物と人を混ぜるって奴よね?」
「そうだ。再生能力の高い魔物と融合すりゃあ、アイツの角もきっと……」
ギャガンの言葉を聞いたイレーネは、ため息を吐きつつ口を開く。
「ギャガンさん、いい? 女というモノは好きな男の前ではいつも綺麗でいたいものよ」
「好きな男? あいつが? 俺を? いや、あいつは相棒的な奴で……」
「ギャガン、鈍い男は嫌われるよ」
「……マジかよ……」
ギャガンが呆然とグリゼルダの後ろ姿を見つめていると、彼女は振り返り声を上げる。
「何をしているッ!? ミシマ、龍穴に溜まった力を抜くのだろうッ!!」
「コホーッ」
はいはい、ただいま。
不機嫌そうなグリゼルダの声に健太郎はミラルダを抱き上げ駆け寄った。
その日、フェンデアには山頂から噴き出した黄金色の輝きが降り注ぎ、ヒドラに荒された森と傷付いた蜥蜴人達を癒したという。
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