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第十一章 名誉騎士と宝石の角
心に灯る光
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魔力の明かりが照らす薄暗く狭い牢の中、少年はボンヤリと鉄格子の先を見つめていた。
どうしてこうなったのだろう。あの日は友人達と狩りに出掛け角兎を追いかけていてそれで……。
自分はどうやらあの魔人の老人の物となってしまったようだ。
これからどんな目に遭わされるのか……。
捕まって運ばれている間に涙も枯れ果て、哀しいと感じる気持ちも魔人達の暴力によって消えてしまった。
いっそ心と一緒に自分の体も消えてしまえばいいのに……。
そんな事を思っていた少年の耳に、何やら言い争う声が聞こえて来た。
「なんだお前ッ!?」
「コホーッ!!」
次に聞こえたのは奇妙な音と何か重い物がぶつかる音、そしてその事による振動だった。
「ふええ……殺してないよね、ミシマ?」
「コホーッ!!」
恐らく少女だろう高い声とそれに答えるかの様に発せられた呼吸音。
その後、ガチャガチャと牢の鍵が開けられる音が連続して響いていた。
それはやがて少年の入れられた牢の鍵にも訪れ。
「逃げるよッ!」
「逃げる?」
まるで動物を入れる檻の様な狭い牢の中で、ボンヤリと自分を見つめ返す少年に苛立ったのか、栗色の髪の少女は牢に入ると彼の手を引き強引に外へと連れ出した。
「駄目だよ、勝手に出たらまたぶたれる」
「あんたをぶつ奴はミシマが叩きのめしたよっ!」
「ミシマ……?」
「そっ、あの青いゴーレムだよッ!」
少女の指差す先、牢から出た捕まっていた者達の先に親指で階段を指差す青い金属のゴーレムの姿が見えた。
「……何で……どうして……」
「どうして? 何がさ?」
「どうして助けてくれるの?」
少年の言葉は捕まっていた者達、全員の疑問だったらしく、牢から出た者達の視線が少女へ向く。
「どうしてって、人が人をお金で買うなんて間違ってると思うからだよッ!! 人を誰かが自由にしていいなんて、どんな理由があっても絶対に無いッ!!」
少女の言葉は少しずつ少年達の心に染み渡り、擦り切れた心に光を灯す。
「……僕達は自由なの?」
「そうだよッ!! だから早くここから逃げようッ!!」
「そうはそうはいかねぇなッ! 時間が過ぎても客が戻って来ねぇと思って来てみれば」
「コホーッ!!」
「グへッ!?」
階段の上、こちらを覗き込んでいた商会の人間だろう魔人をゴーレムの放った右の拳が吹き飛ばす。
「兄貴っ!? クソッ、相手はゴーレムと小娘だッ、お前ら、魔法で」
「ディノヒュノプスッ!!」
「グッ……」
部下に命令を下そうとした弟分を少女の短杖が眠らせる。
「ミシマ、道を切り開いてッ!! わたしはこの人達を守りながら後をついてくッ!!」
「コホーッ!!」
ゴーレムはギュッと親指を立てた手を少女に突き出し、階段を駆け上った。
「てっ、手前ぇッ、この人数相手にはむか」
階段の上、恐らく部下だろう男が言い終える前に何かがぶつかる音が連続して聞こえた。
「……あのゴーレムだけで大丈夫なのか?」
「心配ないよッ!! ミシマをどうにか出来る奴なんて、多分、この世に一人しかいないから」
「……一人はいるんだね?」
「えへへ、だってミシマはその人にべた惚れだからね」
そう言って笑うと少女は捕まっていた人々の前に立ち、脱出するよッと階段に歩を進めた。
捕まっていた者達は少年も含めそれぞれが顔を見合わせる。
「どうする?」
「そんな上手い話がある訳ないわ」
「そうだぜ、あいつ等も俺達を連れ出してどっか別の所に売るつもりかも……」
少女もミシマと呼ばれたゴーレムも自分達を捕まえた者達とは別の悪党なのでは?
そんな思いが彼らの中に芽生える中、少年が口を開く。
「僕は彼女を信じたい。それにここにいてもどうせ売られるだけだよ」
「……確かにな……行くか」
「そうね……」
階段を上り、上からその様子を見ていたパムは、信じたいと言ってくれた少年の言葉に嬉しそうに微笑んだ。
■◇■◇■◇■
パムがオークションで売られそうになっていた人々と共に船内を進むと、壁に打ち付けられ気を失った魔人達がそこかしこで床に這いつくばっていた。
「……あのゴーレム、本当に強いんだね」
「だから言ったでしょ。ミシマをどうにか出来る奴なんていないって。そういえばあなた名前は? わたしはパムだよ」
「名前……僕はリュー、ロベット村のリューだよ」
「リューだね。よろしくね」
「なぁ、嬢ちゃん。脱出って言ってたが、場所は分かんねぇけど揺れから察するにここは船の上なんだろ?」
パムがリューに微笑みを返していると、捕まっていた者の一人、半獣人の男が声を掛けてきた。
「うん、そうだよッ」
「どうやって逃げるんだよ? 小舟で逃げた所ですぐ追いつかれるだろ?」
「大丈夫、ミシマに鉄の鳥になってもらえば」
「鉄の鳥? どういう事だ?」
首を捻る半獣人の男にえへへと笑い、パムは甲板を目指し歩みを進めた。
■◇■◇■◇■
その頃、甲板では戻ってこない客と部下達に異常を感じた客船側の責任者が、手下を連れて貨物船に乗り込んでいた。
パムに先立ち、船内に侵入した商会の人間を叩きのめした健太郎は丁度、その責任者達と甲板で鉢合わせする事となった。
「ゴーレム? 商品のリストにゴーレムは無かった筈だが……まぁいい。こいつは捕まえて次のオークションの商品にする。やれ」
「ハッ、大地よ、我が魔力に応え新たな芽」
責任者の男が命じると、部下の一人が呪文を唱え始めた。
「コホー……コホーッ!!」
数が多いな……加速○置ッ、ザ・ワ○ルドッ!!
総勢三十人程いただろうか。健太郎は甲板に乗り込んだ商会の人間を魔法を使われては面倒だと、全員、船から湖に投げ落とした。
ポイポイと甲板から投げられた者達は投げた勢いで浮いたまま、空中に静止していた。
「コホー……」
そっか。軽く投げるとこうなるのか……面白いな。
そんな感想を浮かべていた健太郎を他所に、加○装置の有効時間は終わり、時は再び動き出す。
「生え、えっ!?」
「一体何がッ!?」
「おっ、落ちるッ!?」
呪文を唱えようとしていた男を筆頭に商会の人間はほぼ同時に甲板から投げ出され、冷たい湖に水没する事となった。
そんな頭上を飛び越えていく男達を、丁度甲板に上がってきたパム達が仰ぎ見る。
「……どうなってんだ、こりゃ?」
「フフッ、全部ミシマの仕業だよ。ミシマッ!! 鉄の鳥になってッ!!」
「コホーッ!!」
了解だッ!!
甲板の上で変形しVTOLモードになった健太郎に人々が驚きの声を上げる中、パムは彼らの背中を押して機体に乗せると操縦席に座り貨物船を後にした。
どうしてこうなったのだろう。あの日は友人達と狩りに出掛け角兎を追いかけていてそれで……。
自分はどうやらあの魔人の老人の物となってしまったようだ。
これからどんな目に遭わされるのか……。
捕まって運ばれている間に涙も枯れ果て、哀しいと感じる気持ちも魔人達の暴力によって消えてしまった。
いっそ心と一緒に自分の体も消えてしまえばいいのに……。
そんな事を思っていた少年の耳に、何やら言い争う声が聞こえて来た。
「なんだお前ッ!?」
「コホーッ!!」
次に聞こえたのは奇妙な音と何か重い物がぶつかる音、そしてその事による振動だった。
「ふええ……殺してないよね、ミシマ?」
「コホーッ!!」
恐らく少女だろう高い声とそれに答えるかの様に発せられた呼吸音。
その後、ガチャガチャと牢の鍵が開けられる音が連続して響いていた。
それはやがて少年の入れられた牢の鍵にも訪れ。
「逃げるよッ!」
「逃げる?」
まるで動物を入れる檻の様な狭い牢の中で、ボンヤリと自分を見つめ返す少年に苛立ったのか、栗色の髪の少女は牢に入ると彼の手を引き強引に外へと連れ出した。
「駄目だよ、勝手に出たらまたぶたれる」
「あんたをぶつ奴はミシマが叩きのめしたよっ!」
「ミシマ……?」
「そっ、あの青いゴーレムだよッ!」
少女の指差す先、牢から出た捕まっていた者達の先に親指で階段を指差す青い金属のゴーレムの姿が見えた。
「……何で……どうして……」
「どうして? 何がさ?」
「どうして助けてくれるの?」
少年の言葉は捕まっていた者達、全員の疑問だったらしく、牢から出た者達の視線が少女へ向く。
「どうしてって、人が人をお金で買うなんて間違ってると思うからだよッ!! 人を誰かが自由にしていいなんて、どんな理由があっても絶対に無いッ!!」
少女の言葉は少しずつ少年達の心に染み渡り、擦り切れた心に光を灯す。
「……僕達は自由なの?」
「そうだよッ!! だから早くここから逃げようッ!!」
「そうはそうはいかねぇなッ! 時間が過ぎても客が戻って来ねぇと思って来てみれば」
「コホーッ!!」
「グへッ!?」
階段の上、こちらを覗き込んでいた商会の人間だろう魔人をゴーレムの放った右の拳が吹き飛ばす。
「兄貴っ!? クソッ、相手はゴーレムと小娘だッ、お前ら、魔法で」
「ディノヒュノプスッ!!」
「グッ……」
部下に命令を下そうとした弟分を少女の短杖が眠らせる。
「ミシマ、道を切り開いてッ!! わたしはこの人達を守りながら後をついてくッ!!」
「コホーッ!!」
ゴーレムはギュッと親指を立てた手を少女に突き出し、階段を駆け上った。
「てっ、手前ぇッ、この人数相手にはむか」
階段の上、恐らく部下だろう男が言い終える前に何かがぶつかる音が連続して聞こえた。
「……あのゴーレムだけで大丈夫なのか?」
「心配ないよッ!! ミシマをどうにか出来る奴なんて、多分、この世に一人しかいないから」
「……一人はいるんだね?」
「えへへ、だってミシマはその人にべた惚れだからね」
そう言って笑うと少女は捕まっていた人々の前に立ち、脱出するよッと階段に歩を進めた。
捕まっていた者達は少年も含めそれぞれが顔を見合わせる。
「どうする?」
「そんな上手い話がある訳ないわ」
「そうだぜ、あいつ等も俺達を連れ出してどっか別の所に売るつもりかも……」
少女もミシマと呼ばれたゴーレムも自分達を捕まえた者達とは別の悪党なのでは?
そんな思いが彼らの中に芽生える中、少年が口を開く。
「僕は彼女を信じたい。それにここにいてもどうせ売られるだけだよ」
「……確かにな……行くか」
「そうね……」
階段を上り、上からその様子を見ていたパムは、信じたいと言ってくれた少年の言葉に嬉しそうに微笑んだ。
■◇■◇■◇■
パムがオークションで売られそうになっていた人々と共に船内を進むと、壁に打ち付けられ気を失った魔人達がそこかしこで床に這いつくばっていた。
「……あのゴーレム、本当に強いんだね」
「だから言ったでしょ。ミシマをどうにか出来る奴なんていないって。そういえばあなた名前は? わたしはパムだよ」
「名前……僕はリュー、ロベット村のリューだよ」
「リューだね。よろしくね」
「なぁ、嬢ちゃん。脱出って言ってたが、場所は分かんねぇけど揺れから察するにここは船の上なんだろ?」
パムがリューに微笑みを返していると、捕まっていた者の一人、半獣人の男が声を掛けてきた。
「うん、そうだよッ」
「どうやって逃げるんだよ? 小舟で逃げた所ですぐ追いつかれるだろ?」
「大丈夫、ミシマに鉄の鳥になってもらえば」
「鉄の鳥? どういう事だ?」
首を捻る半獣人の男にえへへと笑い、パムは甲板を目指し歩みを進めた。
■◇■◇■◇■
その頃、甲板では戻ってこない客と部下達に異常を感じた客船側の責任者が、手下を連れて貨物船に乗り込んでいた。
パムに先立ち、船内に侵入した商会の人間を叩きのめした健太郎は丁度、その責任者達と甲板で鉢合わせする事となった。
「ゴーレム? 商品のリストにゴーレムは無かった筈だが……まぁいい。こいつは捕まえて次のオークションの商品にする。やれ」
「ハッ、大地よ、我が魔力に応え新たな芽」
責任者の男が命じると、部下の一人が呪文を唱え始めた。
「コホー……コホーッ!!」
数が多いな……加速○置ッ、ザ・ワ○ルドッ!!
総勢三十人程いただろうか。健太郎は甲板に乗り込んだ商会の人間を魔法を使われては面倒だと、全員、船から湖に投げ落とした。
ポイポイと甲板から投げられた者達は投げた勢いで浮いたまま、空中に静止していた。
「コホー……」
そっか。軽く投げるとこうなるのか……面白いな。
そんな感想を浮かべていた健太郎を他所に、加○装置の有効時間は終わり、時は再び動き出す。
「生え、えっ!?」
「一体何がッ!?」
「おっ、落ちるッ!?」
呪文を唱えようとしていた男を筆頭に商会の人間はほぼ同時に甲板から投げ出され、冷たい湖に水没する事となった。
そんな頭上を飛び越えていく男達を、丁度甲板に上がってきたパム達が仰ぎ見る。
「……どうなってんだ、こりゃ?」
「フフッ、全部ミシマの仕業だよ。ミシマッ!! 鉄の鳥になってッ!!」
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