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第十二章 二人の転生者
その力は人を助ける為に
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ミラルダ達が宇宙戦艦モードの健太郎に乗って、取り残された各地の子供の保護に向かった三日後、ラーグ王国騎士団が炊き出しを行っている中央集落に武装した一団が訪れた。
一団の構成は子供達を攫ったオーガやゴブリン、オーク、人族等に加え、ダークエルフも混じった混成部隊で総勢は一万程だろうか。
その半数は元々ここレミリシアで暮らしていただろうダークエルフで構成されていた。
「貴様らは何者だッ!? ここは皇帝であるタカギ様の治める土地だぞ!!」
その一団の先頭、小型の竜に跨った隊長らしきオーガが騎士団を纏める金髪の男ランスを睨みつける。
「タカギ? ここはダークエルフの土地だろう?」
「そのダークエルフはタカギ様の配下となった。もう一度聞く、貴様らは何者だ?」
「我々はラーグ王国の王国騎士団だ。ここには王命で子供の保護の為にやって来たのだ」
「ラーグだと……北の大陸の騎士団が何故……」
集落の前で睨み合う形となった修一の部下と騎士団だったが、子供の保護と聞いて一団に混じっていたダークエルフ達が次々と声を上げ始めた。
「子供達は無事なのかッ!?」
「俺の子供は北の集落にいるんだッ、そっちはどうなってるッ!?」
「私の子はここから南東の集落にいるの!!」
「勝手にしゃべるなッ!!」
「うるさいッ!! 子供が無事かどうか確認させろッ!!」
「そうだそうだッ!!」
隊長である赤銅色の肌のオーガが黙る様に声を上げたが、子供の身を案じるダークエルフ達が止まる事は無かった。
「あー……」
ランスがそう声を上げると、ダークエルフ達の目が一斉に彼を捉えた。
「他の集落の子供については、別の者が保護に向かっている。心配しなくても大丈夫だ」
「本当ですかッ!?」
「ああ、保護に向かった者は、我が国の王から名誉騎士の称号を授与された優秀な冒険者だ。安心してくれていい」
ランスの言葉を聞いたダークエルフの女性は口元を押さえ、安堵したのか涙を流して泣き崩れた。
「チッ、仕方ない。ダークエルフは放っておいて我々だけでこいつ等を叩きだすぞッ!!」
オーガがそう吠えるとダークエルフ以外の種族が仕方が無いといった様子で武器を抜いた。
「ちょっと待て、我々は侵略に来た訳では無い。集落に子供だけが残され飢えに苦しんでいると知った王の命で、彼らの救助に来たのだ。戦う気は無いぞ」
「そちらに無くてもこちらは戦わねば殺されるのだッ!!」
そう言って牙を剥くオーガの隊長の耳に、ゴウンゴウンという聞き慣れない音が聞こえて来た。
音の出どころに思わず目を向けると上空に青黒い金属の船が浮いている。
「……何だアレは……?」
「さっき話していた、各地の集落の子供の保護に向かった連中だ。戻ったという事は子供達を無事連れ帰ったのだろう」
空を飛ぶ青い船は集落に光を放ち、その直後にはランスの言葉通り、騒がしい子供達の声が風に乗って集落の入り口まで聞こえて来た。
その声を聞いたダークエルフ達は一斉に集落に向かって駆けだして行く。
「あっ、貴様らッ!? 陛下に逆らえばどうなるか分かっているのかッ!?」
隊長オーガの言葉で動きを止めた者もいたが、家族を案じる者達は止まる事無く集落へと向かって行った。
集落の入り口で一団を阻んでいた騎士達は、そんなダークエルフ達を止める事無く素通りさせた。
「よぉ、揉め事かぁ?」
「ギャガン殿……どうもこいつ等がダークエルフ達を攫った連中みたいだ」
「あん、こいつ等が……」
黒豹の獣人、ギャガンは集落の周囲の草原に隊列を組む魔物と人族の混成部隊へと目をやった。
その後、おもむろに上空を見上げ、声を張り上げる。
「ミシマッ!! 降りて来いッ!!」
ギャガンの叫びに呼応して、上空に浮かんでいた巨大な船は収縮、青黒い人サイズとなり落下、草原の大地にクレータを刻み着地した。
「あれは……まさか……」
着地の衝撃で上がった土埃の中にユラリと立ち上がったシルエットを見て、隊長のオーガ以下、混成部隊は怯えた表情を見せる。
「コホーッ!!」
どもども初めましてッ!! 俺は三嶋健太郎、元ホームレスで今はロボットの冒険者だよッ!!
「ひぃ……」
「うそだ……あんな化け物がもう一体……」
「逃げ……」
誰かの呟きが引き金となり、混成部隊は蜘蛛の子を散らす様に草原を駆けだし、森の中へと逃げ込んで行った。
「きっ、貴様らッ!?」
思わず馬首を巡らしたオーガの首にスッと刃が当てられる。
「お前ぇらのボスの事、聞かせてもらうぜ」
「クッ……」
背後から抱えられ、耳元で囁かれた言葉にオーガは歯をギリッと鳴らしたが、突き付けられた刃の輝きにやがて肩を落としゆっくりと頷いた。
■◇■◇■◇■
「ではそのタカギと名乗る赤いゴーレムがお前達の王なのだな?」
「そうだ。陛下は最初、我々オーガの国、バルガッドの辺境に現れた。その後、王都に攻め入り王を殺害、新たに我々の王となった」
中央集落の外れの民家を借り受け行われた尋問で、一団を率いていたオーガ、ガルガジャはミラルダ達の質問に素直に答えていた。
それにはその場に同席していた健太郎の存在が大きい様だった。
彼は健太郎がジェスチャーの為に動くたびに、ビクリと体を震わせていた。
「王が殺されるのを黙って見てたのかよ?」
「我々が何もしなかったと思うか? あの方は城の前面を守っていた兵二万を一撃で薙ぎ払い、同時に城壁を破壊して真っすぐに王の下へと向かった。あんなモノ、止められるか」
「コホー……」
「ヒッ!!」
二万か……滅茶苦茶するなぁ……。
そんな感想で漏れた呼吸音にガルガジャはビクリッと身を震わせる。
「ガルガジャさんだっけ? そんなにビクつかなくても、ミシマは何もしないよ」
「本当だろうな?」
「ホントだよ。ミシマは色々凄い力を持ってるけど、その力は人助けにしか使わないよ」
「コホーッ!!」
パムの言葉でガルガジャは窺う様な視線を健太郎に向け、健太郎はそんなガルガジャに「本当さッ!!」とギュッと親指を立てた左手を突き出した。
そのおどけた仕草にガルガジャは目を丸くした後、フフッと笑いを洩らした。
「……我々の国に現れたのがミシマの様な穏やかな者であれば……」
「それで、今はどんな状況なんだ?」
「……北のダークエルフを支配下に置いた事で、陛下はルミオン大陸全土を支配した。次は北のバルシア大陸を狙い進軍するそうだ」
「北って、あたし達の国がある大陸じゃないかッ!?」
「進軍はいつ始まる?」
「……我々は進軍用の船を作る様、命令されていた。進軍はその船が出来次第だ」
船と聞いてミラルダは首を捻る。
「船なんか作らなくても、ミシマみたく空飛ぶ船になって運べばいいんじゃないかい? いや、運ばれたら困るんだけどさッ」
「陛下はその身に誰かを乗せる事はしない。一度、鉄の車になって兵を運んだ際、誤って兵の一人が車内の物に触れて暴走して以来、誰も乗せる事は無くなった」
「ふむ、そのタカギもミシマと同じく、内部で何かすると自分の意思とは別にコントロールされる訳か……」
「まぁ、確かにクルストみたく勝手にボタン押されて、大砲撃っちまったりしたらマズいわな」
苦笑を浮かべたギャガンに、ミラルダ達はハハッと渇いた笑いを洩らす。
「ふぅ……今、タカギはこの大陸の中央の国の王城にいるんだよね?」
「そうだ。王城でダークエルフ達が作る予定だった船の完成を待っている」
「うーん、このまま出向いてもいいけど、あんたの仲間達が王城に集まってるんだろ?」
「ああ、兵士やそれを指揮する将軍、あとは人質として王族なんかが集められてる」
「……どうにか、その人達を散らせられないかねぇ……」
「コホー……コホーッ?」
散らす……タカギの周りからなるべく人を遠ざけるんだな?
「そうだよ。戦うにしても犠牲者はなるべく少ない方がいいからね」
「お前達は我々の仲間も救うつもりなのか?」
当たり前の様に敵である自分達を助けようとしているミラルダの言葉に、ガルガジャは戸惑った様子を見せた。
「へへッ、このミラルダもミシマもお人好しでよぉ、助けられる奴は全員、助けようとすんのさ」
「コホーッ!!」
目の前で誰かが死んだり、それで誰かが泣くのはやだからねッ!!
首の前で手を横に振った後、両手で顔を覆い泣く仕草をして、最後に両腕で×を作った健太郎を見て、ガルガジャは思う。
目の前にいる自分が仕える者と同じ形のゴーレムは、人の死やそれで悲しむ者を見る事が嫌らしい。
そう思った瞬間、これまで押さえ込んで来た物が彼の中にこみ上げて来た。
誰だって親しい仲間や家族の死は哀しいし、死んでほしくないと思うだろう。それは当たり前の事なのだ。
自分が陛下と呼んだゴーレムはその当たり前を利用して自分達を支配して来た。
このミシマと呼ばれるゴーレムならその当たり前を奴から取り戻してくれるかもしれない。
そう思った時にはガルガジャは提案を口にしていた。
「……各地で反乱が起こったという事にすればどうだ? 一斉に事が起きれば陛下も……いやタカギも簡単には動けん筈だ。恐らく反乱の鎮圧に王城にいる兵を向かわせるだろう。それにもし動くようならそこをミシマが押さえれば……」
ミラルダはガルガジャの提案に腕を組み、唸り声を上げた。
「反乱……いいんだけど、みんな乗ってくれるかねぇ……」
「そのミシマが陛下と同じ力を持ってると分かれば、恐らく殆どの種族は話に乗って来ると思う」
「あん? そうなのか?」
「ああ、我々オーガ以外、ゴブリンやオーク、人族なんかも結局はタカギの力に怯えて従っているだけだからな」
「グリゼルダの推測通りだったね」
そう言って微笑むパムにグリゼルダは照れたのか微妙な笑みを浮かべた。
「とっ、ともかくとして、我々は大陸の各地を巡って、各種族を説得しよう」
「やる事は決りだね。そんじゃガルガジャさん、あんたにも協力してもらうよ」
「あ、ああ……フフッ、ハハハッ」
「何だい? 何がおかしいのさ?」
「いや、すまん。俺達が陛下と呼んだ者とお前達は正反対だと思ってな……」
そう言うとガルガジャは吹っ切れた様に牙を見せ笑った。
一団の構成は子供達を攫ったオーガやゴブリン、オーク、人族等に加え、ダークエルフも混じった混成部隊で総勢は一万程だろうか。
その半数は元々ここレミリシアで暮らしていただろうダークエルフで構成されていた。
「貴様らは何者だッ!? ここは皇帝であるタカギ様の治める土地だぞ!!」
その一団の先頭、小型の竜に跨った隊長らしきオーガが騎士団を纏める金髪の男ランスを睨みつける。
「タカギ? ここはダークエルフの土地だろう?」
「そのダークエルフはタカギ様の配下となった。もう一度聞く、貴様らは何者だ?」
「我々はラーグ王国の王国騎士団だ。ここには王命で子供の保護の為にやって来たのだ」
「ラーグだと……北の大陸の騎士団が何故……」
集落の前で睨み合う形となった修一の部下と騎士団だったが、子供の保護と聞いて一団に混じっていたダークエルフ達が次々と声を上げ始めた。
「子供達は無事なのかッ!?」
「俺の子供は北の集落にいるんだッ、そっちはどうなってるッ!?」
「私の子はここから南東の集落にいるの!!」
「勝手にしゃべるなッ!!」
「うるさいッ!! 子供が無事かどうか確認させろッ!!」
「そうだそうだッ!!」
隊長である赤銅色の肌のオーガが黙る様に声を上げたが、子供の身を案じるダークエルフ達が止まる事は無かった。
「あー……」
ランスがそう声を上げると、ダークエルフ達の目が一斉に彼を捉えた。
「他の集落の子供については、別の者が保護に向かっている。心配しなくても大丈夫だ」
「本当ですかッ!?」
「ああ、保護に向かった者は、我が国の王から名誉騎士の称号を授与された優秀な冒険者だ。安心してくれていい」
ランスの言葉を聞いたダークエルフの女性は口元を押さえ、安堵したのか涙を流して泣き崩れた。
「チッ、仕方ない。ダークエルフは放っておいて我々だけでこいつ等を叩きだすぞッ!!」
オーガがそう吠えるとダークエルフ以外の種族が仕方が無いといった様子で武器を抜いた。
「ちょっと待て、我々は侵略に来た訳では無い。集落に子供だけが残され飢えに苦しんでいると知った王の命で、彼らの救助に来たのだ。戦う気は無いぞ」
「そちらに無くてもこちらは戦わねば殺されるのだッ!!」
そう言って牙を剥くオーガの隊長の耳に、ゴウンゴウンという聞き慣れない音が聞こえて来た。
音の出どころに思わず目を向けると上空に青黒い金属の船が浮いている。
「……何だアレは……?」
「さっき話していた、各地の集落の子供の保護に向かった連中だ。戻ったという事は子供達を無事連れ帰ったのだろう」
空を飛ぶ青い船は集落に光を放ち、その直後にはランスの言葉通り、騒がしい子供達の声が風に乗って集落の入り口まで聞こえて来た。
その声を聞いたダークエルフ達は一斉に集落に向かって駆けだして行く。
「あっ、貴様らッ!? 陛下に逆らえばどうなるか分かっているのかッ!?」
隊長オーガの言葉で動きを止めた者もいたが、家族を案じる者達は止まる事無く集落へと向かって行った。
集落の入り口で一団を阻んでいた騎士達は、そんなダークエルフ達を止める事無く素通りさせた。
「よぉ、揉め事かぁ?」
「ギャガン殿……どうもこいつ等がダークエルフ達を攫った連中みたいだ」
「あん、こいつ等が……」
黒豹の獣人、ギャガンは集落の周囲の草原に隊列を組む魔物と人族の混成部隊へと目をやった。
その後、おもむろに上空を見上げ、声を張り上げる。
「ミシマッ!! 降りて来いッ!!」
ギャガンの叫びに呼応して、上空に浮かんでいた巨大な船は収縮、青黒い人サイズとなり落下、草原の大地にクレータを刻み着地した。
「あれは……まさか……」
着地の衝撃で上がった土埃の中にユラリと立ち上がったシルエットを見て、隊長のオーガ以下、混成部隊は怯えた表情を見せる。
「コホーッ!!」
どもども初めましてッ!! 俺は三嶋健太郎、元ホームレスで今はロボットの冒険者だよッ!!
「ひぃ……」
「うそだ……あんな化け物がもう一体……」
「逃げ……」
誰かの呟きが引き金となり、混成部隊は蜘蛛の子を散らす様に草原を駆けだし、森の中へと逃げ込んで行った。
「きっ、貴様らッ!?」
思わず馬首を巡らしたオーガの首にスッと刃が当てられる。
「お前ぇらのボスの事、聞かせてもらうぜ」
「クッ……」
背後から抱えられ、耳元で囁かれた言葉にオーガは歯をギリッと鳴らしたが、突き付けられた刃の輝きにやがて肩を落としゆっくりと頷いた。
■◇■◇■◇■
「ではそのタカギと名乗る赤いゴーレムがお前達の王なのだな?」
「そうだ。陛下は最初、我々オーガの国、バルガッドの辺境に現れた。その後、王都に攻め入り王を殺害、新たに我々の王となった」
中央集落の外れの民家を借り受け行われた尋問で、一団を率いていたオーガ、ガルガジャはミラルダ達の質問に素直に答えていた。
それにはその場に同席していた健太郎の存在が大きい様だった。
彼は健太郎がジェスチャーの為に動くたびに、ビクリと体を震わせていた。
「王が殺されるのを黙って見てたのかよ?」
「我々が何もしなかったと思うか? あの方は城の前面を守っていた兵二万を一撃で薙ぎ払い、同時に城壁を破壊して真っすぐに王の下へと向かった。あんなモノ、止められるか」
「コホー……」
「ヒッ!!」
二万か……滅茶苦茶するなぁ……。
そんな感想で漏れた呼吸音にガルガジャはビクリッと身を震わせる。
「ガルガジャさんだっけ? そんなにビクつかなくても、ミシマは何もしないよ」
「本当だろうな?」
「ホントだよ。ミシマは色々凄い力を持ってるけど、その力は人助けにしか使わないよ」
「コホーッ!!」
パムの言葉でガルガジャは窺う様な視線を健太郎に向け、健太郎はそんなガルガジャに「本当さッ!!」とギュッと親指を立てた左手を突き出した。
そのおどけた仕草にガルガジャは目を丸くした後、フフッと笑いを洩らした。
「……我々の国に現れたのがミシマの様な穏やかな者であれば……」
「それで、今はどんな状況なんだ?」
「……北のダークエルフを支配下に置いた事で、陛下はルミオン大陸全土を支配した。次は北のバルシア大陸を狙い進軍するそうだ」
「北って、あたし達の国がある大陸じゃないかッ!?」
「進軍はいつ始まる?」
「……我々は進軍用の船を作る様、命令されていた。進軍はその船が出来次第だ」
船と聞いてミラルダは首を捻る。
「船なんか作らなくても、ミシマみたく空飛ぶ船になって運べばいいんじゃないかい? いや、運ばれたら困るんだけどさッ」
「陛下はその身に誰かを乗せる事はしない。一度、鉄の車になって兵を運んだ際、誤って兵の一人が車内の物に触れて暴走して以来、誰も乗せる事は無くなった」
「ふむ、そのタカギもミシマと同じく、内部で何かすると自分の意思とは別にコントロールされる訳か……」
「まぁ、確かにクルストみたく勝手にボタン押されて、大砲撃っちまったりしたらマズいわな」
苦笑を浮かべたギャガンに、ミラルダ達はハハッと渇いた笑いを洩らす。
「ふぅ……今、タカギはこの大陸の中央の国の王城にいるんだよね?」
「そうだ。王城でダークエルフ達が作る予定だった船の完成を待っている」
「うーん、このまま出向いてもいいけど、あんたの仲間達が王城に集まってるんだろ?」
「ああ、兵士やそれを指揮する将軍、あとは人質として王族なんかが集められてる」
「……どうにか、その人達を散らせられないかねぇ……」
「コホー……コホーッ?」
散らす……タカギの周りからなるべく人を遠ざけるんだな?
「そうだよ。戦うにしても犠牲者はなるべく少ない方がいいからね」
「お前達は我々の仲間も救うつもりなのか?」
当たり前の様に敵である自分達を助けようとしているミラルダの言葉に、ガルガジャは戸惑った様子を見せた。
「へへッ、このミラルダもミシマもお人好しでよぉ、助けられる奴は全員、助けようとすんのさ」
「コホーッ!!」
目の前で誰かが死んだり、それで誰かが泣くのはやだからねッ!!
首の前で手を横に振った後、両手で顔を覆い泣く仕草をして、最後に両腕で×を作った健太郎を見て、ガルガジャは思う。
目の前にいる自分が仕える者と同じ形のゴーレムは、人の死やそれで悲しむ者を見る事が嫌らしい。
そう思った瞬間、これまで押さえ込んで来た物が彼の中にこみ上げて来た。
誰だって親しい仲間や家族の死は哀しいし、死んでほしくないと思うだろう。それは当たり前の事なのだ。
自分が陛下と呼んだゴーレムはその当たり前を利用して自分達を支配して来た。
このミシマと呼ばれるゴーレムならその当たり前を奴から取り戻してくれるかもしれない。
そう思った時にはガルガジャは提案を口にしていた。
「……各地で反乱が起こったという事にすればどうだ? 一斉に事が起きれば陛下も……いやタカギも簡単には動けん筈だ。恐らく反乱の鎮圧に王城にいる兵を向かわせるだろう。それにもし動くようならそこをミシマが押さえれば……」
ミラルダはガルガジャの提案に腕を組み、唸り声を上げた。
「反乱……いいんだけど、みんな乗ってくれるかねぇ……」
「そのミシマが陛下と同じ力を持ってると分かれば、恐らく殆どの種族は話に乗って来ると思う」
「あん? そうなのか?」
「ああ、我々オーガ以外、ゴブリンやオーク、人族なんかも結局はタカギの力に怯えて従っているだけだからな」
「グリゼルダの推測通りだったね」
そう言って微笑むパムにグリゼルダは照れたのか微妙な笑みを浮かべた。
「とっ、ともかくとして、我々は大陸の各地を巡って、各種族を説得しよう」
「やる事は決りだね。そんじゃガルガジャさん、あんたにも協力してもらうよ」
「あ、ああ……フフッ、ハハハッ」
「何だい? 何がおかしいのさ?」
「いや、すまん。俺達が陛下と呼んだ者とお前達は正反対だと思ってな……」
そう言うとガルガジャは吹っ切れた様に牙を見せ笑った。
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