紺碧のミシマ ~ホームレスだったけど異世界へ行ってロボットになったので俺は自由に生きる~ Vol.3

田中

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第十二章 二人の転生者

逃げた人達

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 オーガのガルガジャの提案で赤いゴーレム、高木修一たかぎしゅういちが支配したルミオン大陸の国々で反乱が起きたという体にする事にした健太郎けんたろう達。
 ただ、その計画を進めるに当たって健太郎には気になっている事があった。

「コホーッ?」

 そういえば、さっき逃げた人達だけど、ほっといて大丈夫なの?

「あっ!? そういえば色々逃げたねぇッ!!」
「逃げた? ああ、ガルガジャの連れて来た奴らだな……確かに逃げかえってタカギに報告されても面倒だな……」
「それなら恐らく大丈夫だ」
「あぁ、そりゃぁ、どういう事だ?」

 やけに自信有り気に言うガルガジャにギャガンは首を傾げる。

「タカギは命令が遂行されない事を異常に嫌う。ミシマに怯えて逃げ帰ったなんて言おうモノなら、多分、報告した者はバラバラにされるだろう。そんな奴の下に帰ると思うか」
「……良く国が成り立っているな」
「ホントだねぇ」
「これまではタカギが先頭に立って、それぞれの国を落して来たからな……考えてみれば、奴無しで動いたのは取り込まれて以降、今回が初めてだ」

 ガルガジャの話を聞いていた健太郎はなるほどと思いつつ、自分の掌に目を落した。

 この機械の体に宿る力は強大だ。シミュレーションゲーム的に考えれば、三○志や信長の○望なんかにスパ○ボの兵器を持ち込む様な物だろう。
 いくら呂布りょふ忠勝ただかつが強くてもマ○ンガーに勝てるとは思えない。

 でも、逃げた人達はどうするんだろうか……タカギの支配する所には帰れないだろうし……。

「コホーッ?」

 逃げた人はどうするつもりかな?

「逃げた人ねぇ……あっ、ミシマ、また携帯になっておくれよ」
「コホーッ!」

 あっ、そうだねッ!

 健太郎はその身をカシャカシャと変化させ、携帯モードへと姿を変えた。

「……なんだ、その金属片は?」

 ガルガジャは見た事が無かったらしく眉を寄せ首を捻った。
 そしてその後、鳴り響いたジリリリリリンという着信音にビクリと体を震わせる。

「フフッ、大丈夫だよ。パム、ここを押せばいいんだね?」
「うん。一回押して、その後、長押しすればミシマの声が皆で聞けるよ」
「一回押して、その後長押しッと」

 ミラルダは携帯を操作して、それをテーブルの上に置く。

『サンキュー、ミラルダ。ガルガジャ、聞きたい事がある』



「金属片が喋ってやがる……」
『こいつは金属片じゃなくて、俺の故郷で遠くの相手と喋る為に使われる道具だよ』
「お前の故郷?」
「ミシマは転生者、つまり異界人なんだ」
「異界人……ではタカギも……」

 ガルガジャは異界と聞いて、聞き馴染みの無いタカギやミシマという名前に道理どうりでと得心がいったようだ。
 そんなガルガジャに健太郎は質問を投げかける。

『それで聞きたい事だけど、逃げた連中がどうするつもりか、ガルガジャの考えが知りたいんだ』
「逃げた奴らがどうするか……そうだな……各国の兵達には船による北進の事は通達が行っているし、その船をダークエルフ達が作る事も知られてる。そしてそのダークエルフの監視役に俺達が付いてる事も、これまで通って来た国の連中は承知してる」
「つまりはどういう事?」

 首を捻ったパムにガルガジャは苦笑を浮かべた。

「南に戻ればいぶかしがられるだろうって事さ。もし中央に連絡が行ってタカギが出て来たら……」
「んじゃ、あいつ等は戻る事も出来ずにレミリシアにいるって事か?」
「多分な。今頃は集合して副長あたりが纏めてるだろう」

『……あの人達って色んな種族がいたよねぇ?』
「ああ、お互いに牽制させたかったのか、ダークエルフ以外は征服した種族からそれぞれ兵を出させたんだ」
『じゃあさ、その人達に各国の説得に協力してもらおうよ』
「ふむ……隊長であるガルガジャが説得すれば味方に付けれるか……」

 グリゼルダはそう言って金髪のオーガに視線を向けた。

「どうかな……俺の配下は何とか出来るだろうが、他の連中はタカギへの恐怖で俺に従ってただけだからな……」

 先程は健太郎を旗頭にすれば各国を計画に取り込めると思っていたガルガジャだったが、自分が他種族の説得を任された事で急激に計画の先行きに不安を覚えた。

 更にガルガジャは考える。

 同じ形のゴーレムなら恐らく能力も同じ、勝つか負けるかは五分の筈だ。タカギが振るう力に恐怖を感じてるあいつ等が賭けに乗るかどうか……。

「恐怖じゃなくて、希望を話しちゃどうかねぇ?」
「希望?」
「ああ、あんたらタカギに支配されてんのは嫌なんだろ?」
「まぁな。機嫌を損ねたら、いつ殺されるか分からんからな」
「ミシマならきっと、タカギにも勝てる」

 ミラルダはそう言うと微笑みを浮かべた。

「……ミシマを信用してるんだな」
「ああ、ミシマはあたしの命の恩人だからね」
「……俺もミシマに賭けたいとは考えている。だが、同じ形のゴーレム……能力が同じなら勝負の行方は……」

 だよなぁ……これまでこの無駄に頑丈な体のおかげで何とかなってきたけど……。

 先程感じた懸念を口にしたガルガジャの言葉に、健太郎自身も同様に感じているとミラルダはさらに言葉を続けた。

「能力が同じならミシマが勝つに決まってる。タカギって奴は気分次第で味方でも殺すような奴なんだろ? ミシマはこれまでずっと誰かを救う為に戦って来たんだ。そんな奴に負ける訳が無いよ」
「誰かを救う為に……」
「ふむ、言われてみればお前達はいつも誰かの為に面倒な事をやっているな」
「んで、そいつに俺達は付き合わされるって訳だ」
「だねだね。でもみんなが笑うと気持ちがいいよッ!」

 笑顔の為か……そうだな、みんなを恐怖で支配して、ミラルダ達の故郷のある北の大陸にも戦火を広げようとする奴に負ける訳にはいかないよな……。

 仲間の言葉を聞いて健太郎は改めて負けられないと腹を据えた。

『ガルガジャ、ミラルダの言う通り、俺は必ずタカギに勝ってみせる。だから自信を持って仲間を説得してくれ』
「……信じていいんだな?」
『おうッ!! この三嶋健太郎に万事、マルッと任せたまえッ!!』

 携帯から響いた声は自信とやる気に満ちている様に感じられ、ガルガジャは深く頷きを返したのだった。
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