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19話
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俺は障子の扉を静かに開ける。
部屋に入れば大人しく布団の中で目を瞑る三船、声をかけようか悩んだが彼方から話しかけてきた。
「夜ご飯だろ。ありがとう」
「そうだけど、食べられそう?」
「大丈夫。そんなに体調悪くないから」
体調が優れない三船は青白い顔のまま起き上がり、俺は器にスプーンを乗せて渡す。盆に乗った水と薬は枕元の近くに置き近くに腰を下ろした。
ここから出る前に手の中にあるお守り返してからにしようと思ったからだ。
「さっきはごめん。手を払ったりして」
丁度、食べ終わったくらいに三船はこちらに真剣な眼差しを向ける。
「そんなの別に気してないというか、混乱してところに話かけて悪かったなって思ってる」
気にしないは嘘だ。気が動転していたと理解はしている、けれど拒絶された手のひらがまだジンジンと痛み。
こんな話はさっさと流すべきだと分かっているのに、顔に出ていたのか三船に心配そうに覗き込まれた。
話を掘り起こされる前に、俺はポケット中にあったお守りを取り出した。
「あっこれ、返すよ。義宗さんが三船の物だからって」
赤いお守りを手のひらに置くと、三船は目をまん丸とさせれては瞳を揺らしては、
「どこで、これを」
「今、借りてる部屋にあった。持ち主分からなく、何も言わずに放置してました」
三船はお守りを離さないように手の中でぎゅと握る。張り詰めていた緊張は解け穏やかな表情だった。
確かな物を眺める横顔を見守る傍ら、そんなに大事な物を見つけた時に返せば良かったと、後ろめたさに俺は指先を合わせた。
「責めてる訳じゃない。これが見つかっただけで良いだ。無くしていたと思ったから」
「大切な人に貰ったの?」
「嗚呼、小さい頃に母さんから貰ったんだ。願いが叶うお守りだから大切に持っておきなさいってな。それから肌身離さず持ってたんだけど、ここに来た時に無くしてたんだ」
「そうなんだ」
「最後まで母さんが大事にしてたから、これが無かったら俺は……」
本当に良かったと笑われたら、こっちの心も同じように喜びで満たされていく。
「見つかって良かったね。大事なお守りで願い叶うといいね」
「嗚呼」
ここでお役ごめんだと、俺は立ちあがろうと手をついた。しかし地面についた手は横から伸びてきた長い指先によって取られる。
なに? と思い振り向くと唇にじんわりと熱くて柔らかいものが押し付けられた。
突然のことで何をされているのが分からなくて、目の前にきていた三船の顔が離れていくのを見て俺は顔を真っ赤にさせた。
「何故、キスをされたのでしょうか」
「……うーん?なとなく。悲しい顔してたから」
「そっそんな理由でっするな!」
三船の肩を軽く殴るが、本人はケロッとした無表情。
「表情戻ったし、どんな理由でもいいか」
「よくない!」
風邪が移ったらどうすると叫んでも、それはごめんと平謝りな何処ままでも自由な男だった。
部屋に入れば大人しく布団の中で目を瞑る三船、声をかけようか悩んだが彼方から話しかけてきた。
「夜ご飯だろ。ありがとう」
「そうだけど、食べられそう?」
「大丈夫。そんなに体調悪くないから」
体調が優れない三船は青白い顔のまま起き上がり、俺は器にスプーンを乗せて渡す。盆に乗った水と薬は枕元の近くに置き近くに腰を下ろした。
ここから出る前に手の中にあるお守り返してからにしようと思ったからだ。
「さっきはごめん。手を払ったりして」
丁度、食べ終わったくらいに三船はこちらに真剣な眼差しを向ける。
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気にしないは嘘だ。気が動転していたと理解はしている、けれど拒絶された手のひらがまだジンジンと痛み。
こんな話はさっさと流すべきだと分かっているのに、顔に出ていたのか三船に心配そうに覗き込まれた。
話を掘り起こされる前に、俺はポケット中にあったお守りを取り出した。
「あっこれ、返すよ。義宗さんが三船の物だからって」
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「どこで、これを」
「今、借りてる部屋にあった。持ち主分からなく、何も言わずに放置してました」
三船はお守りを離さないように手の中でぎゅと握る。張り詰めていた緊張は解け穏やかな表情だった。
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「責めてる訳じゃない。これが見つかっただけで良いだ。無くしていたと思ったから」
「大切な人に貰ったの?」
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「そうなんだ」
「最後まで母さんが大事にしてたから、これが無かったら俺は……」
本当に良かったと笑われたら、こっちの心も同じように喜びで満たされていく。
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「嗚呼」
ここでお役ごめんだと、俺は立ちあがろうと手をついた。しかし地面についた手は横から伸びてきた長い指先によって取られる。
なに? と思い振り向くと唇にじんわりと熱くて柔らかいものが押し付けられた。
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「何故、キスをされたのでしょうか」
「……うーん?なとなく。悲しい顔してたから」
「そっそんな理由でっするな!」
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「よくない!」
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