冷淡彼氏に別れを告げたら溺愛モードに突入しました

ミヅハ

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昨日までとは違う※

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 斗希くんが動くたび、初めての感覚に身体が震える。
 繋がったところが熱くて、斗希くんが触れる場所は電流が走ったみたいにピリッとして、僕の頭の中はもういっぱいいっぱいだった。

「あ、ぁ⋯ときく⋯っ、そこや⋯」
「の割には気持ち良さそうだけど?」
「だ、め⋯っ⋯あ、やぁ⋯も、イく⋯っ」
「イけよ、何回でも」
「あ、や、ん、ん⋯ッ⋯――⋯!」

 最初こそ抑えられてた声はもうどうにも出来なくて、斗希くんが見つけてくれた〝イイところ〟ばかりを刺激され僕は何度目かの絶頂を迎えた。
 連続でイかされて指1本動かすのも億劫なくらい疲労してるけど、斗希くんは僕が一息ついたあとまた動き始めるから休む暇もない。
 ほんの少しでもいいから休憩したくて、僕の腰を掴んでる手を力なく握ったら逆にしっかりと握り返されてしまった。

「⋯っ、斗希、くん⋯⋯も、ちょっと⋯だけ⋯待って⋯」
「無理」
「んん⋯っ」

 お願いはすげなく却下され、再び律動が始まる。
 敏感な腸壁を太くて硬いもので擦られる感覚はもう気持ち良さしかなくて、鼻にかかったような甘えた声が突かれるたびに部屋に響いた。
 角部屋じゃなければ、今頃壁ドンされてたかもしれない。

「ときく⋯⋯斗希くん⋯」
「陽依⋯」
「⋯っあ⋯! やぁ、あ、だめ、それだめ⋯っ」

 一応達したばかりだから気を遣ってくれてたのか最初は緩めだったのに、唐突に腰が浮かされ動きが激しくなった。
 ベッドが軋んで、繋がった場所から聞こえる粘着質な音がより卑猥なものになる。
 もう何が何だか分からない。
 目の奥がチカチカと明滅して、ぐっと足先に力が入る。

「ああ、あ、やだ、ぁ、すぐイっちゃ⋯ゃ⋯斗希く⋯っ」
「ん⋯俺も⋯」
「あ、あ、だめ、だめ⋯っ⋯やぁ、あ⋯⋯ッ!」
「⋯っ⋯」

 奥を勢い良く何度も突かれて限界を迎えた僕は背をしならせて果てる。そのすぐあとに斗希くんも息を詰めて身体を震わせると、少ししてから僕の中から出て行った。
 もう1ミリだって動けない。

「陽依、大丈夫か」
「⋯ん⋯なんとか⋯」
「ちょっと待ってろ」

 疲労困憊な僕の頭を撫でてベッドから降りた斗希くんは、下だけを身に着けるとキッチンの方へと歩いていった。
 冷蔵庫を開けて飲み物を取って戻ってきたけど、何とも言えない顔をしてて僕は首を傾げる。

「どうかした⋯?」
「いや⋯⋯お前、自炊してんの?」

 脈絡のない質問に目を瞬くも、すぐに意味を理解した僕はこくりと頷く。
 たぶん、冷蔵庫に作り置きのタッパーがいくつかあるから、それを見て気になったんだろうな。
 ペットボトルの蓋を開けつつベッドの端に腰を下ろした斗希くんは「へぇ」と零して水を仰り、そのまま僕へと口付けてきた。冷たい水が流れ込んできたから喉を鳴らして飲むと、斗希くんはもう一度立ち上がり今度は洗面所へと消えて行く。
 しばらく棚を開ける音と水の音がして、戻ってきた斗希くんの手には濡れタオルがあり、ほんのり湯気が立ってた。

「風呂は動けるようになってから入るか」
「う、うん⋯⋯え、一緒に?」
「洗ってやるよ」

 外は明るいとはいえカーテンは閉じたままだから部屋は薄暗い。でもお風呂は何をどうしても明るくて、こういう関係になったからこそ裸を見られる恥ずかしさから一緒には遠慮したかったんだけど⋯斗希くんは聞いてくれなさそう。
 こんな貧相な身体、煌々と照らすライトの下で見られたくないよ。



 時計の針の音が妙に響いた気がして不意に目が覚めた。
 カーテンの隙間からは夕日が射してて、壁にかかった時計を見たら16時を過ぎたところでいつもなら夕飯の準備に取り掛かってるくらいだ。
 お腹は空いてないけど、作れるなら作った方がいいかな。
 そう思いながら時計から視線を外し、隣へと移した僕はふっと表情を緩める。
 まさか斗希くんの寝顔を見られる日が来るなんて思わなかった。いつもはキリッとしてる眉が下がってて、あどけなくなってて可愛い。
 腰に乗った斗希くんの腕をそっと下ろし、ゆっくりと起き上がった僕は床に足をついて確かめつつ立ち上がる。軽くよろけたけど、どうにか動けるって分かったから窓に近付きカーテンと窓を開け、洗面所に行き顔を洗ってからお風呂の準備をして次はキッチンへと向かった。
 冷蔵庫を覗いて作れる物を確認する。

「肉と野菜と魚⋯うーん⋯斗希くん、何が好きかな」

 肉と魚だったら肉の方が好きそうだから⋯⋯うん、トンカツにしよう。
 基本多めに作って置いておくようにしてるから、材料も2人分は余裕であるしたぶん満足して貰える量は作れるはず。
 足りなかったらまた作ればいいし、作り置きもあるしね。
 副菜を考えつつ、鼻歌混じりに調理を進めていると給湯器がお風呂が沸いた事を知らせてくれる。それと同時に人の気配がして後ろからお腹のところに腕が回ってきた。
 ビクッとしたら、寝起きの掠れた声に名前を呼ばれる。

「何してんの」
「あ、お、おはよう。夜ご飯作ってる⋯食べるかなって」
「ん。食う」
「ちょうどお風呂も沸いたから、先に入ってもいいよ?」
「一緒に入んねぇの?」

 斗希くんが今入ってくれれば裸を見られないで済むと思ったのに、斗希くんは片眉を跳ね上げるとそう聞いてきた。
 もしかして、僕の考え見透かされた?

「えっと⋯僕はご飯作ってるから⋯」
「じゃあ俺もあとでいい」
「そ、そっか⋯」

 まさかの後回し。どうやら一緒に入る事は確定らしく、僕は内心で息を吐いた。
 もう抵抗するのは諦める事にして、油を温めようとコンロの火を点けたんだけど斗希くんはくっついたまま離れようとしない。

「火、危ないよ?」
「んー」
「油使うから、飛んじゃうかも」
「そん時はそん時」

 火傷するような飛び方はしないと思うけど、 何を言っても離れなさそうだから慎重に揚げないと。
 ⋯それにしても、我慢をやめた斗希くんは今までと違い過ぎてなかなか慣れそうにない。
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