冷淡彼氏に別れを告げたら溺愛モードに突入しました

ミヅハ

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気になるベッド事情※

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 初めて泊まった日から、斗希くんはほとんど自分の家に帰る事なくうちで過ごしてる。
 親御さんは心配しないのって聞いたら、数年前にご両親は離婚していて現在は母子家庭らしく、子供服ブランドの経営をしているお母さんは多忙でなかなか家に帰って来れないから斗希くんも好きに過ごしてるんだって。
 ブランド名を聞いたら、結構有名な名前でびっくりした。
 もしかして仲悪いのかなとも思ったけど、お母さんに連れ出される形で時々2人で出かけるくらいには関係良好だそう。
 それから凄く驚いたんだけど⋯僕が見て勘違いした人はお母さんだったらしい。斗希くんが好きな人って言われて気持ち悪いって言ってた意味が分かった。
 例えお母さんが好きだとしても、さずかに恋愛対象としては見れないよね。
 ついでに言えば、あの日は学校まで迎えに来たお母さんに誕生日だからとあちこち連れられて、連絡しようにも出来なかったって教えてくれた。
 でも結果として今があるから、あれも運命だったのかなって僕は思ってる。
 まぁともかく、1人で家にいる寂しさは分かるから、こんな狭い部屋でもいいなら全然いてくれて構わない。僕だって斗希くんがいてくれるのは嬉しいし。
 ただ最近は、ちょっとベッドが狭いんじゃないかなって思い始めてる。セミダブルだからシングルよりマシだけど、斗希くん大きいから寝れてるかが心配。
 斗希くんは気にならないのかな。



「ねぇ、斗希くん」
「ん?」
「このベッド、寝にくくない?」

 斗希くんが泊まるようになってから2ヶ月経った頃、先にベッドに入った斗希くんとベッドの残り幅を見た僕は何の気なしに問いかけてみた。
 質問の意図が分からなかったのか眉を顰めた斗希くんだったけど、ふとベッドを見下ろして考え首を傾げる。何か、その一連の仕草を可愛く思ってしまった。

「俺は別に。陽依はやっぱ狭ぇの嫌?」
「あ、ううん。僕は多少狭くても平気なんだけど、斗希くんは寝苦しくないかなって」
「まぁベッドは大きいに越した事はねぇが、狭い分お前は俺にくっつくしかねぇからいいんじゃね?」

 それはつまり、思う存分くっついてもいいって事?
 確かに腕枕してぎゅって抱き締めてくれるけど、あれって僕が落ちない為にしてくれてるのかと思ってた。
 じゃあ遠慮なくくっついちゃお。
 明日の準備を終え、部屋の電気を消してベッドに入るとすぐに抱き込まれる。

「どうしてもってんなら買い替えりゃいい。俺も出すし」
「ありがとう」
「ん。おやすみ」
「おやすみなさい」

 そうは言ってくれるけど、さすがにその時は自分で出すつもりだから気持ちだけ受け取っておく。
 さて寝るかと斗希くんの肩に額を寄せて目を閉じたら、腰を抱いていた手がもぞもぞと動いて裾から入り込み直に背中に触れてきた。でもそれ以上はなくて、ドキドキしていた僕の耳に少しして静かな寝息が聞こえてきて知らずに入っていた力が抜ける。
 えっちは嫌じゃないんだけど⋯まだ恥ずかしさは拭えないんだよね。
 暗がりの中、そっと視線を上げるとスヤスヤと眠る斗希くんがいて、そのあどけない寝顔に自然と笑みが零れる。
 満足いくまで眺めて身体ごと擦り寄った僕は、斗希くんの背中に腕を回して目を閉じた。
 この温もりとムスクの香りのおかげで、最近はよく眠れるんだ。



 何か⋯身体が熱い。おまけにお腹まで苦しくて、寝返りを打とうとした僕は腰が固定されてる事に気付いて目を覚ました。
 瞬間、お腹の奥が勢い良く突かれて背がしなる。

「ひぁ⋯っ、何⋯あ、ん⋯っ」
「ああ、悪い⋯起こしたか」
「待っ⋯⋯や、ぁ、あ⋯っ」

 寝起きの頭で状況を理解しようにも、斗希くんが動くたびに快感に見舞われ何も考えられなくなる。
 ベッドが軋んで、揺さぶられて、僕の口から出るのは甘えた声だけ。一体いつからこんな事になってるのか。

「斗希く⋯⋯ぁ、あ、だめ⋯っ」
「⋯っ、キツ⋯」
「そこや⋯っ⋯あぁ、あ、も、イっちゃ⋯っ」
「陽依⋯」
「だめ、だめ⋯っ、あ、あ⋯っ⋯や、ぁ⋯ッ⋯――⋯!」
「⋯ッ⋯」

 律動が激しくなり、何も出来ないまま追い上げられた僕は大きく身体を震わせて果てる。斗希くんもほぼ同時に出しみたいで動きを止め、抜いたあとどうしてか手早く新しいゴムに変え力の抜けた僕をくるりと反転させた。
 目を瞬いてると腰が浮かされ、お尻が割り開かれてまた入ってきた。

「ぁ⋯やぁ⋯⋯なん、で⋯」
「もうちょい付き合え」
「あ、明日も⋯学校、なのに⋯っ」
「分かってる。あと1回、な?」
「ん⋯んん⋯っ」

 そうは言っても激しくて、僕は枕やシーツに爪を立ててただ声を上げ続けた。
 苦しいけど気持ち良くて、まるで気持ちをぶつけるように思いっきり抱いてくれる事が嬉しい。あと、切羽詰まったような声で名前を呼ばれるのも好き。
 うなじや肩の周りに斗希くんの唇が触れるのを感じてぎゅっと目を閉じた僕は、身体を支える為にベッドについた彼の腕へと縋り付いた。
 その手がすぐに、僕に触れてくれるって知ってるから。


 翌朝、眠い目を擦りつつ気怠い身体を引き摺りながら洗面所へと向かった僕は、自分の首や胸元に散る赤い痕に気付いて思わず固まった。
 今までもいくつか残される事はあったけど、これは初めての数⋯。

「⋯はよ」
「と、斗希くん⋯これ⋯」

 呆然としてたら斗希くんも起きてきて、寝ぼけ眼で僕の後ろに立つ。挨拶も忘れて自分を指差すと、斗希くんは見下ろしたあと少ししてから眉尻を跳ね上げた。

「悪い、つけすぎた」
「⋯首、隠れるかな⋯」
「見せつけてやれば?」
「は、恥ずかしいからやだ」

 1つなら虫刺されと思われるか気付かれないかもしれないけど、こんなについてたらさすがにしたんだって分かってしまう。
 夏生くんにさえまだ斗希くんの事言えてないのに。

「何なら、歯型もつけてやろうか?」
「そ、それはさすがにダメだと思う⋯っ」

 それは僕だけじゃなく、気付いた人まで気まずくなってしまうかもしれない。
 慌てて首を押さえて頭を振る僕にふっと笑った斗希くんは、僕の顎を指先で掬い上げるとチュッと軽く口付けてきた。
 ちょっと楽しそうなのはずるい。
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