56 / 59
番外編
小旅行オマケ(傑視点)
しおりを挟む
真那の幼馴染みであり恋人でもある陽向くんはとてもいい子だ。
自分の立場を弁え決して前には出ず、トップアイドルとして活躍する真那に迷惑が掛からないようにといろいろ考えてくれていたらしい。
どちらかと言えば真那の方が彼がいないと駄目みたいで、メンタルに来るとあの水島くんでさえ陽向くんを頼りにしていたくらいだから僕は早く彼に会ってみたかった。
何に置いても無表情で無気力。
無を極めたのかというくらい感情の動かないうちの看板アイドルが唯一色んな表情を見せる幼馴染みくんがどんな子なのか凄く興味があったし、あの真那が可愛いと豪語して止まないのだからよほど顔の整った子なのかなと思っていたら、想像よりもずっと小さくて華奢で可愛らしい子だった事には驚いた。
真那も僕も平均より背が高いから余計にそう思ったのかもしれないけど、それを抜きにしても恐らく陽向くんは平均より低い方だと思う。
礼儀正しくて真面目で、真那とはまるで正反対なくらい表情が良く変わる姿は見ていて楽しい。オマケに陽向くんを構うと真那が見た事ない反応をするからそれも余計に面白くて…ついやり過ぎて最近は真那の視線が厳しいんだよね。
本当に好きで大切で仕方がないんだなと思うと同時に、そんな風にありのままの自分を出せる相手が真那にいる事が嬉しかった。
この子に喜怒哀楽があるのか本当に心配だったからね。
「高橋くん、これ見て」
「はい? ……ずいぶん可愛らしいお写真ですね」
「二人で遊園地にも行ったみたいだよ。無邪気だよね」
社長室のデスクでアルバムに綴じられた写真を眺めていたら、秘書の高橋くんがお茶を持って来てくれたから手招きして指を差す。
これは少し前に真那と陽向くんに揃ってオフをあげ、颯家がお世話になっている旅館を紹介してちょっとした娯楽を経験して貰った時の写真で、陽向くんがわざわざ僕の分も現像してアルバム作成してくれたものだ。
写真に映る二人は凄く自然で、真那の表情も柔らかく楽しそうな雰囲気が良く伝わってくる。陽向くんといる時の真那はいつもこんな感じなんだろう。
本当に、感心するほど真那の興味は陽向くんにしかないんだな。それでも仕事はちゃんとするんだから偉いよ。
「少しは思い出になってたらいいけど」
「真那さんも陽向さんも、社長のお気持ちにはちゃんと気付いてらっしゃいますよ。社長がそれを台無しにするだけで」
「二人とも反応が可愛いから」
「いい加減にしないと嫌われますよ」
そうは言っても、二人が揃ってるとつい揶揄いたくなるのは仕方ないと思う。真那の嫉妬と独占欲剥き出しの顔とか態度とか、そうそう見られるものじゃないし。
「社長は本当にいいご趣味をされてますね」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
そう言ってにっこり笑うと高橋くんはやれやれと首を振る。
心配しなくてもちゃんと引き際は弁えてるよ。真那の事だから、臍を曲げたまま仕事はしないって信頼もあるし。
「そろそろツアーも始まるし、【soar】へのご褒美を考えておかないとね」
「ああ、そういえば、真那さんが地方には陽向くんを連れて行きたいって言ってましたよ」
「あはは、真那は我儘だなー」
欲望に忠実と言うべきか、すぐにそんな事を言ってくるんだから。
モチベーションは上がるだろうけど、そもそも陽向くんが首を縦に振るとは思えない。でも、真那がファンサしてる円盤の売上げって凄いんだよねぇ…悩むな。
あ、そうだ。
「なら陽向くんには裏方として働いて貰えばいいんじゃないかな」
「それいいですね。ケータリングとかドリンクとか、あまり無理のない範囲なら真那さんも駄目とは言わないんじゃないですか?」
「真那には秘密にしておこう」
「またそうやって…」
ライブTシャツを来た陽向くんを見て真那はどんな反応をしてくれるんだろう。現場に行けない僕は実際には見れないけど、志摩か風音辺りにお願いして動画でも録っておいて貰おうかな。
「楽しみだなー」
「真那さんも陽向さんも、社長に気に入られたばかりに…お気の毒です」
驚きつつも喜ぶんだろうなと想像してほくそ笑む僕に溜め息をついた高橋くんは、「スケジュール調整して来ます」と言って部屋から出て行った。
高橋くんだって陽向くんの事を可愛がってるくせに。
僕は再びアルバムを開いて二人が仲睦まじく写っている写真を眺めて微笑み、思い出話を聞こうと陽向くんをお茶に誘うべく内線で事務室へと電話をかけるのだった。
自分の立場を弁え決して前には出ず、トップアイドルとして活躍する真那に迷惑が掛からないようにといろいろ考えてくれていたらしい。
どちらかと言えば真那の方が彼がいないと駄目みたいで、メンタルに来るとあの水島くんでさえ陽向くんを頼りにしていたくらいだから僕は早く彼に会ってみたかった。
何に置いても無表情で無気力。
無を極めたのかというくらい感情の動かないうちの看板アイドルが唯一色んな表情を見せる幼馴染みくんがどんな子なのか凄く興味があったし、あの真那が可愛いと豪語して止まないのだからよほど顔の整った子なのかなと思っていたら、想像よりもずっと小さくて華奢で可愛らしい子だった事には驚いた。
真那も僕も平均より背が高いから余計にそう思ったのかもしれないけど、それを抜きにしても恐らく陽向くんは平均より低い方だと思う。
礼儀正しくて真面目で、真那とはまるで正反対なくらい表情が良く変わる姿は見ていて楽しい。オマケに陽向くんを構うと真那が見た事ない反応をするからそれも余計に面白くて…ついやり過ぎて最近は真那の視線が厳しいんだよね。
本当に好きで大切で仕方がないんだなと思うと同時に、そんな風にありのままの自分を出せる相手が真那にいる事が嬉しかった。
この子に喜怒哀楽があるのか本当に心配だったからね。
「高橋くん、これ見て」
「はい? ……ずいぶん可愛らしいお写真ですね」
「二人で遊園地にも行ったみたいだよ。無邪気だよね」
社長室のデスクでアルバムに綴じられた写真を眺めていたら、秘書の高橋くんがお茶を持って来てくれたから手招きして指を差す。
これは少し前に真那と陽向くんに揃ってオフをあげ、颯家がお世話になっている旅館を紹介してちょっとした娯楽を経験して貰った時の写真で、陽向くんがわざわざ僕の分も現像してアルバム作成してくれたものだ。
写真に映る二人は凄く自然で、真那の表情も柔らかく楽しそうな雰囲気が良く伝わってくる。陽向くんといる時の真那はいつもこんな感じなんだろう。
本当に、感心するほど真那の興味は陽向くんにしかないんだな。それでも仕事はちゃんとするんだから偉いよ。
「少しは思い出になってたらいいけど」
「真那さんも陽向さんも、社長のお気持ちにはちゃんと気付いてらっしゃいますよ。社長がそれを台無しにするだけで」
「二人とも反応が可愛いから」
「いい加減にしないと嫌われますよ」
そうは言っても、二人が揃ってるとつい揶揄いたくなるのは仕方ないと思う。真那の嫉妬と独占欲剥き出しの顔とか態度とか、そうそう見られるものじゃないし。
「社長は本当にいいご趣味をされてますね」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
そう言ってにっこり笑うと高橋くんはやれやれと首を振る。
心配しなくてもちゃんと引き際は弁えてるよ。真那の事だから、臍を曲げたまま仕事はしないって信頼もあるし。
「そろそろツアーも始まるし、【soar】へのご褒美を考えておかないとね」
「ああ、そういえば、真那さんが地方には陽向くんを連れて行きたいって言ってましたよ」
「あはは、真那は我儘だなー」
欲望に忠実と言うべきか、すぐにそんな事を言ってくるんだから。
モチベーションは上がるだろうけど、そもそも陽向くんが首を縦に振るとは思えない。でも、真那がファンサしてる円盤の売上げって凄いんだよねぇ…悩むな。
あ、そうだ。
「なら陽向くんには裏方として働いて貰えばいいんじゃないかな」
「それいいですね。ケータリングとかドリンクとか、あまり無理のない範囲なら真那さんも駄目とは言わないんじゃないですか?」
「真那には秘密にしておこう」
「またそうやって…」
ライブTシャツを来た陽向くんを見て真那はどんな反応をしてくれるんだろう。現場に行けない僕は実際には見れないけど、志摩か風音辺りにお願いして動画でも録っておいて貰おうかな。
「楽しみだなー」
「真那さんも陽向さんも、社長に気に入られたばかりに…お気の毒です」
驚きつつも喜ぶんだろうなと想像してほくそ笑む僕に溜め息をついた高橋くんは、「スケジュール調整して来ます」と言って部屋から出て行った。
高橋くんだって陽向くんの事を可愛がってるくせに。
僕は再びアルバムを開いて二人が仲睦まじく写っている写真を眺めて微笑み、思い出話を聞こうと陽向くんをお茶に誘うべく内線で事務室へと電話をかけるのだった。
422
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる