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第2部
番外編 〈魔国英雄〉は娘と狩りに行く
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〈魔国英雄ヒガン〉
道路、公共区画という緊急性の高い部分の修理が終わり、オレたちは次の仕事に掛かることになった。
食料の調達である。
これを依頼として受けたので、張り切ってこなすとしよう。
『今の時期だと、北東方面が良好な狩場となっております。中型の魚が入って来ていますので、それを追って大型の魚も来ているのですよ。』
漁場、ではなく、狩場、と呼ぶのがいかにもな感じだ。
「中型、大型とはどれくらいのサイズを言うんだ?オレたちは実物を知らないから基準が分からないんだが。」
『ああ、そうですよね。
中型は向こうの部屋で作業が出来るサイズです。大型はそれ以上になりますね。』
目が点になる。とはこの事だ。
中型の作業所もグロリアスが数隻収まりそうな広さがあり、それ以上は想像を越える。
いや、戦士という時点で覚悟していたし、陛下も戦士であり、ソニアに勝つほどの使い手だ。生半可なサイズではないと思っていたが…
「どうしたの?」
何も言わないオレに、遥香が不思議そうに声を掛ける。
今回はオレと遥香の二人だけ。他は皆、休養や街での役割があって動けなかった。
…これは誤算だ。
遥香に説明すると、「ふーん?」とだけ言う。この娘の度胸は誰に似たのか。
『なるべく早く血を抜いて、冷凍してください。そうしないと食べられなくなりますし、他の大型魚が寄ってくる事になりますので。』
「…了解した。」
その辺は陸でもやり慣れているから大丈夫だ。
修復された東部の総領府に当たる建物から出て、アリスに連絡する。
『これから出発?』
「ああ。思ったよりも厄介かもしれん。ちょっとサイズが想像以上だ。」
『えっ。そんなに大きいの?』
「中型で船くらいあるな。」
小さく見てなので 、実際はもっと大きいのだろう。この人口を支えるだけのサイズなのだから、オレたちの見積もりが甘かっただけだ。
『…武運を祈るわ。』
「それとは別に、オクトデーモンが居たら持って帰るからな。」
『ふふ。期待しないで待ってるわね。』
という事で、余計な約束をして、オレたちは初めての二人旅へと出たのであった。
認識拡張、魔眼の効果は暗い深海において非常に心強い。
地形は魔力や光を当ててやらないとオレには分からない。遥香にはしっかりと見えているようなのだが、逆に魔力の弱い生き物が何処に居るかは分からないそうだ。
ピラーの操作は地形を把握出来る遥香に任せ、オレは魚を探すことにする。
「昔、テレビで見たみたいに、本当に海底は真っ暗なんだね。」
「オレたちの世界じゃ、海底はわりと幽霊とセットみたいなところがあったんだよな。」
「…変なこと言わないでよ。でも、なんで?」
「海で消息不明というのはよくあったんだ。沈没船、幽霊船、妖怪の類いの逸話は各地にあったみたいだぞ。」
「そうなんだ…」
「原因は色々あるだろうな。老朽化による浸水、海が荒れて転覆、船同士や地形による事故…海の幸をいただいたり、海上貿易を生業にする地域では避けられない事だろうからな。」
それはこちらも一緒である事を、大型商船の珍しさが証明している。
「だからグロリアスを作るのにも時間が掛かったんだね。」
「そうだな。オレたちはそうでもないが、一般的に海上は逃げ場がない。救難信号なんてないから、なおさら事故は死に繋がりやすい。」
「だから、職人さん達は丁寧にしっかり仕事をしてくれたんだね。」
全員が気付いているわけではない中で、遥香はちゃんと細かい気配りや、細部までしっかり補強や使い勝手を考えてくれた事を知っているようだ。
「お礼のお土産を持って帰ろうか。」
「その為のオクトデーモンなの?」
「いやぁ、あれは多分嫌がるだろう…」
食べられるが、美味いかどうかはまだ分からない…
「乾燥昆布がすぐに作れればなぁ。」
「あれじゃダメなの?」
よく目を凝らすと見える巨大な天然昆布の森。
「持って帰ってみるか。加工法も誰か知っているかもしれないしな。」
遥香に近付いてもらい、昆布の伐採と収穫を行う。3本も採れば試験として十分だろう。
もう木と言っても良いくらいのサイズの昆布だが、これが美味いかどうかは少し自信がない。
バブルの中に戻り、洗浄を掛ける。
「お父さんも意外ときれい好きだよね。お皿洗いする度に叱られてる気がするけど。」
「あれは見分けが付かないからだよ…今でも微妙すぎて差異がわからん。
あんまりピラーと箱は汚しておきたくないんだ。掴んだり、乗せたりする機会が多いと、滑ったり、ベトベトしてるのは嫌だろ?」
「それは確かに。私も気を付けよう。」
こっちはこっちで気にしなさすぎである。
今でもたまに、装備の手入れで梓に叱られてるからな。きっと梓への信頼の証なのかも知れないが。
「…小魚の気配が増えてきた。」
「うん。明らかに数が違うね。」
真っ暗で何も見えないが、ちゃんと把握は出来ている。
そして、大きな気配も多い。
「大きいのもいるけど、あれじゃないよね。」
「コンテナくらいあるが違うんだよなぁ…」
「鯨でも獲ってるのかな?」
「うーん。記憶にないから分からんが、魚の味」
絶句する。
想像を越える魔力量の魚がやって来ている。
「このままの位置だ動くなよ。」
「…うん。」
ジッとして息を殺していると、速さも想像を越えている事を実感する。
魚群の動きから察するに、この大物から逃れてきたようだ。
「大きい…」
「ドラゴン娘よりまだ大きいな…」
鯨かと思ったが違う。微かに見える姿は完全に魚。
「どうするの?」
「古来の大物狩猟法を採用する。
チェーンバインドで固定するから、その間に仕止めてくれ。急所は分かるな?」
「うん。見破ってる。」
「固定はするが暴れるはずだ。気を抜くなよ。」
そう言って、梓から預かった銛を遥香に渡す。
刃はオーバーミスリル製で、オーバーブルーメタルで丈夫さと重量を得るいつもの感じだ。
【インクリース・オール】【バリア・フィジカル】
バフを掛け、亜空間収納から杖を出し、準備完了だ。
「なんかお父さんが杖持つの変な感じ。」
「バニラにも言われたよ。オレには横じゃなく、前に立っていて欲しいって。」
「そうなんだ…」
「それより、今は存分にやれ。オレはお前が動きやすいようにするから。」
「うん。」
自分のピラーに移り、箱を移動させる。
ここからしばらくはオレの仕事だがどうするか。中型魚を誘導すべきか、小型魚を
「あっ。」
箱が一つ、他の魚と一緒に飲み込まれてしまった。何でも食うのか!あの悪食は!
あまり猶予は無さそうなので、こちらから仕掛けていく事にする。
【チェーンバインド・アイス】
氷の鎖が箱から伸び、魚の体に巻き付く。
2本、3本と伸び、4本目は食べられたボックスに代わってピラーから伸ばした。
アイス・ブラストも追加したいが、海水への影響が分からず諦める。
「いくよ!」
動きを止めれば十分、と言わんばかりにピラーの上に銛を構えて立ち、遥香が巨大魚の急所目掛けて突撃する。
本能か、多少の知性はあるのか、遥香の接近を嫌がり体をじたばたさせて離れようとした。
相変わらずの消耗だが、耐えられる。
「このっ!」
銛を突き立てるが、浅い。
銛に対し、魚があまりにも大きすぎるようだ。
爪楊枝でも心臓に達すれば、というところだろうが、鱗も筋肉も分厚く厳しい。
離れて仕切り直すようだ。
【エンチャント・ヴォイド】
「うわあっ!?」
銛が大爆発した。
いや、正確には、バブルからはみ出た銛の回りの海水が爆発した。
海中での使用を考慮した魔法じゃないし、こうなるよな…
爆発に煽られて、遥香が弾き飛ばされる。
「もう!生産者にクレーム入れないと!」
生産者も想定外の環境での使用だと思うぞ。
「遥香、突き刺して、からだ!バーストは、使うなよ!」
「ああ、そっか。分かった!」
必死に掴みながらなので、声がやや荒めになるが、素直に聞き入れてくれたようだ。
が、遥香の位置が良くない。
「やば」
声とほぼ同時に、遥香が魚に飲み込まれた。
「遥香!返事をしろ!」
返事がこない。
箱が健在だから無事なはずだが…
『ひぃぃ…臭いし、ぶにょぶにょだし、死体だらけで気持ち悪いよぉ…』
魔眼の弊害か、腹の中を見たくなくても見えているのだろう。
「箱で急所の位置を教える!さっさと破って出てこい!」
『はぁ…分かった…』
テンション駄々下がりの声。後で美味いもので労ってやろう。
…肉系は嫌がりそうだが。
遥香以外の魔力の最も強い場所はあそこで、箱があそこだから…
「遥香、続け!」
【ファイア・ブラスト】
内臓側からなら、と思ったが、思った以上に傷付けられない。頑丈な悪食の胃袋め!
【インクリース・マジック】
最後に遥香にバフを掛けてやる。
たかが狩り、されど狩り。今日は良い教訓になったはずだ。
「内側から抉ってやれ!」
【エンチャント・ヴォイド】
胃袋の中で魔力が迸る。
衝撃で吐瀉物を海中に撒き散らすが、遥香は出てこない。
しばらく、のたうち回るように動く魚だが、落ち着いたのか動きが止まる。
【バースト】
落ち着いた所で虹色の光が海中に煌めいた。
凄まじい爆発が起き、強烈な水流にオレまで巻き込まれそうになるが、ピラーを駆使してなんとかその場に留まる。
『酷い目に遭った…』
自身とオレの箱に洗浄と浄化を掛けつつ、遥香が魚の穴から出て来た。
完全に巨大魚は事切れ、穴から血を流していた。
しばらく放っておく必要があるが、あまり時間も掛けられないな。
「お疲れ。後はオレがやろう。」
【シールドスフィア】
獲物を保護すると、上手い具合に血だけシールドの外へと流れていく。これなら大丈夫だな。
「向こうからなにか来たよ。」
目には見えないが分かる。どうやら、血に引き寄せられてきたようだ。
「それがデーモンたる所以だよなぁ。」
お目当てのものがやって来て、こちらとしては大助かりである。
「大丈夫?」
「ああ。海中だろうが勝手知ったる相手だ。バラバラにしてでも持って帰る。」
「…どっちがデーモンか分からない。」
「長引いたら凍らせて片付けておいてくれ。」
「うん。」
剣を抜き、やって来たタコと向かい合う。
ただのタコではない。こいつもさっきの魚に負けないサイズの大物である!
お構い無しに突っ切るつもりのようだが、そうはさせない。
【アイス・ウォール】
進行方向に氷の壁を作り激突させた。
減速する間も無く、そのままの速度で激突した衝撃波でオレも吹き飛ばされそうになるが堪える。
氷の壁は制御を手放すと、すぐに砕け散り海水と同化していく。
脳があるかは分からないが、今の衝撃で気を失ったらしく、その間に眼と眼の間を一突き。
だが、覚醒を促してしまい、オレを握り潰そうと足が動く。効果はあったようで、全く魔力の通わない足が3本出来ていた。
動きも鈍く、逃げられないと悟ったのか墨で目眩ましをして来た。
だが、動作が分かりやすいため、同時に浮上してかわし、ピラーで撹乱するように動いてもう一突き。そして、剣を横に動かしてから魔法。
【エンチャント・アイス】
タコが急速に凍り付き、そのまま動かなくなる。魔力の流れも止まり、事切れたようだ。
亜空間収納に片付けて狩り完了。残りの処理は帰ってからにしよう。
後ろを振り向くと、遥香も凍った大型魚を片付ける所だった。
「よし。急いで引き上げるぞ。」
「もう良いの?」
「大型サメの群れと戦いたいなら付き合っても良いが?」
「…群れは嫌だなぁ。」
箱とセットでピラーを動かして遥香の元へ行き、箱に座るように促す。
少し、躊躇ってから箱に座り、オレにしがみついた。
昔なら背中に顔を埋めていたのだろうが、今は肩辺りに頭があるな。
「不本意だけど。」
「まあ、そう言うな。良いものを見せてやるから、少し目を閉じろ。」
「うん。」
ゴーグルで抑制している魔眼を閉じる。このゴーグルも改良を加えつつ何年も使っているからか、細かい傷がいくつもあった。レンズだけはいつもキレイにしてあるようだが。
遥香に向けて魔力を流し、視界情報を共有する。
「開いて良いぞ。」
そう言って、ピラーも移動させ始める。
「…綺麗。お父さんはこんな海を見ていたんだ。」
地形はハッキリと分からないが、魔力と生命の輝きでなんとなく見えている。おかげで暗い深海もイルミネーションの中のように感じていた。
「真っ暗だから、オレには星空を泳ぐような感じだよ。」
地形が見えている遥香には、また違う印象に映っているのだろう。
「私には遠い記憶のクリスマスに見えるよ。
街路樹の光、お店の光、雪の光…
うん、こんな感じだった。」
「そうか。」
少し寂しそうに懐かしむような遥香。
「10年って早いけど遠いね。もう、元の世界の事、あんまり覚えていない…」
遥香にとって、人生の半分以上はこちらで過ごしている事になる。
何も出来なかったあの頃と違い、今じゃ一家で一番の何でも屋だ。その器用さが羨ましい。
「戻りたいか?」
「うん。でも、帰りたいから戻りたいんじゃない。ママとパパに見せ付けてやりたい。ヒガン一家の遥香はこんなに凄いんだって。才原遥香のままじゃやれなかった事をやっているんだって。」
そう言って、大きなタメ息を吐く。
「やっぱり、生まれからはなかなか自由になれないんだね。心にずっと残り続けてるから…」
「それはみんなそうだ。バニラも、梓も、柊も同じだよ。」
「…私もお父さんと同じが良かった。
記憶を失くして、この世界に来たかった。」
「それで、白閃法剣になれたか?」
「…無理な気がする。きっと、もっと、ずっとお荷物か、お姉ちゃんの後を追うだけだったと思う。」
再び、大きなタメ息。
「悔しいけど、私の人生の半分は、私の人生の半分のおかげで歩いてこれたって認めるよ。」
「その半分のおかげで、オレも救われたからな。」
「ふふ。そうだったね。
でも、もうそれだけじゃないから。半分は今のための半分。この先は、みんなとの今日までがあるから歩いていける。」
「頭を撫でられない位置なのが残念だ。」
「しょうがない。今日は良いものを見せてくれたから撫でさせて上げましょう。
でも、みんなの所に戻ってからね。」
「じゃあ、安全第一で帰らないとな。」
「依頼は報告して、家に帰るまでが依頼だからね。」
日が沈み、暗闇のみとなった深海。
それでも、オレたちは迷うことなく帰還し、無事に納品も済ませる事が出来た。その際にタコの下処理も済ませたが、職員全員が度肝を抜かしていたな。どうやら、急所がどこか分からず、現れると死に物狂いの戦いになるそうだ。
タコは相場がなく買い取れないそうだが、冷凍状態で半分提供し、今後に役立てて貰うことにする。
その帰り際、誰からも見られていない状況で遥香の頭を撫でると、嫌がる素振りはなく、むしろもっと撫でろと言わんばかりに頭を寄せてきた。
なんとも気難しいお嬢様である。
「ハルカ様、今日はご機嫌ですね。」
宿泊所で珍しく鼻歌混じりで歩く遥香を見掛け、驚いた様子のカトリーナがオレに言う。
「遥香だけの、遥香にしか見れない光景が見れたからだろうな。」
「そうでしたか。今日の依頼は如何でしたか?行政府の方々が大騒ぎでしたが…」
「どこから話すか…」
依頼主にも想定以上の大物の納品の事から始まり、今日一日の事をカトリーナに話すことにした。
頭を撫でてやった時の事は、黙っている事にする。他の人には言うなと厳命されてるからな。
こうして復興支援の依頼は全て終わり、オレたちは残り2日だけ、子供も連れて海淵の園を満喫することにしたのだった。
道路、公共区画という緊急性の高い部分の修理が終わり、オレたちは次の仕事に掛かることになった。
食料の調達である。
これを依頼として受けたので、張り切ってこなすとしよう。
『今の時期だと、北東方面が良好な狩場となっております。中型の魚が入って来ていますので、それを追って大型の魚も来ているのですよ。』
漁場、ではなく、狩場、と呼ぶのがいかにもな感じだ。
「中型、大型とはどれくらいのサイズを言うんだ?オレたちは実物を知らないから基準が分からないんだが。」
『ああ、そうですよね。
中型は向こうの部屋で作業が出来るサイズです。大型はそれ以上になりますね。』
目が点になる。とはこの事だ。
中型の作業所もグロリアスが数隻収まりそうな広さがあり、それ以上は想像を越える。
いや、戦士という時点で覚悟していたし、陛下も戦士であり、ソニアに勝つほどの使い手だ。生半可なサイズではないと思っていたが…
「どうしたの?」
何も言わないオレに、遥香が不思議そうに声を掛ける。
今回はオレと遥香の二人だけ。他は皆、休養や街での役割があって動けなかった。
…これは誤算だ。
遥香に説明すると、「ふーん?」とだけ言う。この娘の度胸は誰に似たのか。
『なるべく早く血を抜いて、冷凍してください。そうしないと食べられなくなりますし、他の大型魚が寄ってくる事になりますので。』
「…了解した。」
その辺は陸でもやり慣れているから大丈夫だ。
修復された東部の総領府に当たる建物から出て、アリスに連絡する。
『これから出発?』
「ああ。思ったよりも厄介かもしれん。ちょっとサイズが想像以上だ。」
『えっ。そんなに大きいの?』
「中型で船くらいあるな。」
小さく見てなので 、実際はもっと大きいのだろう。この人口を支えるだけのサイズなのだから、オレたちの見積もりが甘かっただけだ。
『…武運を祈るわ。』
「それとは別に、オクトデーモンが居たら持って帰るからな。」
『ふふ。期待しないで待ってるわね。』
という事で、余計な約束をして、オレたちは初めての二人旅へと出たのであった。
認識拡張、魔眼の効果は暗い深海において非常に心強い。
地形は魔力や光を当ててやらないとオレには分からない。遥香にはしっかりと見えているようなのだが、逆に魔力の弱い生き物が何処に居るかは分からないそうだ。
ピラーの操作は地形を把握出来る遥香に任せ、オレは魚を探すことにする。
「昔、テレビで見たみたいに、本当に海底は真っ暗なんだね。」
「オレたちの世界じゃ、海底はわりと幽霊とセットみたいなところがあったんだよな。」
「…変なこと言わないでよ。でも、なんで?」
「海で消息不明というのはよくあったんだ。沈没船、幽霊船、妖怪の類いの逸話は各地にあったみたいだぞ。」
「そうなんだ…」
「原因は色々あるだろうな。老朽化による浸水、海が荒れて転覆、船同士や地形による事故…海の幸をいただいたり、海上貿易を生業にする地域では避けられない事だろうからな。」
それはこちらも一緒である事を、大型商船の珍しさが証明している。
「だからグロリアスを作るのにも時間が掛かったんだね。」
「そうだな。オレたちはそうでもないが、一般的に海上は逃げ場がない。救難信号なんてないから、なおさら事故は死に繋がりやすい。」
「だから、職人さん達は丁寧にしっかり仕事をしてくれたんだね。」
全員が気付いているわけではない中で、遥香はちゃんと細かい気配りや、細部までしっかり補強や使い勝手を考えてくれた事を知っているようだ。
「お礼のお土産を持って帰ろうか。」
「その為のオクトデーモンなの?」
「いやぁ、あれは多分嫌がるだろう…」
食べられるが、美味いかどうかはまだ分からない…
「乾燥昆布がすぐに作れればなぁ。」
「あれじゃダメなの?」
よく目を凝らすと見える巨大な天然昆布の森。
「持って帰ってみるか。加工法も誰か知っているかもしれないしな。」
遥香に近付いてもらい、昆布の伐採と収穫を行う。3本も採れば試験として十分だろう。
もう木と言っても良いくらいのサイズの昆布だが、これが美味いかどうかは少し自信がない。
バブルの中に戻り、洗浄を掛ける。
「お父さんも意外ときれい好きだよね。お皿洗いする度に叱られてる気がするけど。」
「あれは見分けが付かないからだよ…今でも微妙すぎて差異がわからん。
あんまりピラーと箱は汚しておきたくないんだ。掴んだり、乗せたりする機会が多いと、滑ったり、ベトベトしてるのは嫌だろ?」
「それは確かに。私も気を付けよう。」
こっちはこっちで気にしなさすぎである。
今でもたまに、装備の手入れで梓に叱られてるからな。きっと梓への信頼の証なのかも知れないが。
「…小魚の気配が増えてきた。」
「うん。明らかに数が違うね。」
真っ暗で何も見えないが、ちゃんと把握は出来ている。
そして、大きな気配も多い。
「大きいのもいるけど、あれじゃないよね。」
「コンテナくらいあるが違うんだよなぁ…」
「鯨でも獲ってるのかな?」
「うーん。記憶にないから分からんが、魚の味」
絶句する。
想像を越える魔力量の魚がやって来ている。
「このままの位置だ動くなよ。」
「…うん。」
ジッとして息を殺していると、速さも想像を越えている事を実感する。
魚群の動きから察するに、この大物から逃れてきたようだ。
「大きい…」
「ドラゴン娘よりまだ大きいな…」
鯨かと思ったが違う。微かに見える姿は完全に魚。
「どうするの?」
「古来の大物狩猟法を採用する。
チェーンバインドで固定するから、その間に仕止めてくれ。急所は分かるな?」
「うん。見破ってる。」
「固定はするが暴れるはずだ。気を抜くなよ。」
そう言って、梓から預かった銛を遥香に渡す。
刃はオーバーミスリル製で、オーバーブルーメタルで丈夫さと重量を得るいつもの感じだ。
【インクリース・オール】【バリア・フィジカル】
バフを掛け、亜空間収納から杖を出し、準備完了だ。
「なんかお父さんが杖持つの変な感じ。」
「バニラにも言われたよ。オレには横じゃなく、前に立っていて欲しいって。」
「そうなんだ…」
「それより、今は存分にやれ。オレはお前が動きやすいようにするから。」
「うん。」
自分のピラーに移り、箱を移動させる。
ここからしばらくはオレの仕事だがどうするか。中型魚を誘導すべきか、小型魚を
「あっ。」
箱が一つ、他の魚と一緒に飲み込まれてしまった。何でも食うのか!あの悪食は!
あまり猶予は無さそうなので、こちらから仕掛けていく事にする。
【チェーンバインド・アイス】
氷の鎖が箱から伸び、魚の体に巻き付く。
2本、3本と伸び、4本目は食べられたボックスに代わってピラーから伸ばした。
アイス・ブラストも追加したいが、海水への影響が分からず諦める。
「いくよ!」
動きを止めれば十分、と言わんばかりにピラーの上に銛を構えて立ち、遥香が巨大魚の急所目掛けて突撃する。
本能か、多少の知性はあるのか、遥香の接近を嫌がり体をじたばたさせて離れようとした。
相変わらずの消耗だが、耐えられる。
「このっ!」
銛を突き立てるが、浅い。
銛に対し、魚があまりにも大きすぎるようだ。
爪楊枝でも心臓に達すれば、というところだろうが、鱗も筋肉も分厚く厳しい。
離れて仕切り直すようだ。
【エンチャント・ヴォイド】
「うわあっ!?」
銛が大爆発した。
いや、正確には、バブルからはみ出た銛の回りの海水が爆発した。
海中での使用を考慮した魔法じゃないし、こうなるよな…
爆発に煽られて、遥香が弾き飛ばされる。
「もう!生産者にクレーム入れないと!」
生産者も想定外の環境での使用だと思うぞ。
「遥香、突き刺して、からだ!バーストは、使うなよ!」
「ああ、そっか。分かった!」
必死に掴みながらなので、声がやや荒めになるが、素直に聞き入れてくれたようだ。
が、遥香の位置が良くない。
「やば」
声とほぼ同時に、遥香が魚に飲み込まれた。
「遥香!返事をしろ!」
返事がこない。
箱が健在だから無事なはずだが…
『ひぃぃ…臭いし、ぶにょぶにょだし、死体だらけで気持ち悪いよぉ…』
魔眼の弊害か、腹の中を見たくなくても見えているのだろう。
「箱で急所の位置を教える!さっさと破って出てこい!」
『はぁ…分かった…』
テンション駄々下がりの声。後で美味いもので労ってやろう。
…肉系は嫌がりそうだが。
遥香以外の魔力の最も強い場所はあそこで、箱があそこだから…
「遥香、続け!」
【ファイア・ブラスト】
内臓側からなら、と思ったが、思った以上に傷付けられない。頑丈な悪食の胃袋め!
【インクリース・マジック】
最後に遥香にバフを掛けてやる。
たかが狩り、されど狩り。今日は良い教訓になったはずだ。
「内側から抉ってやれ!」
【エンチャント・ヴォイド】
胃袋の中で魔力が迸る。
衝撃で吐瀉物を海中に撒き散らすが、遥香は出てこない。
しばらく、のたうち回るように動く魚だが、落ち着いたのか動きが止まる。
【バースト】
落ち着いた所で虹色の光が海中に煌めいた。
凄まじい爆発が起き、強烈な水流にオレまで巻き込まれそうになるが、ピラーを駆使してなんとかその場に留まる。
『酷い目に遭った…』
自身とオレの箱に洗浄と浄化を掛けつつ、遥香が魚の穴から出て来た。
完全に巨大魚は事切れ、穴から血を流していた。
しばらく放っておく必要があるが、あまり時間も掛けられないな。
「お疲れ。後はオレがやろう。」
【シールドスフィア】
獲物を保護すると、上手い具合に血だけシールドの外へと流れていく。これなら大丈夫だな。
「向こうからなにか来たよ。」
目には見えないが分かる。どうやら、血に引き寄せられてきたようだ。
「それがデーモンたる所以だよなぁ。」
お目当てのものがやって来て、こちらとしては大助かりである。
「大丈夫?」
「ああ。海中だろうが勝手知ったる相手だ。バラバラにしてでも持って帰る。」
「…どっちがデーモンか分からない。」
「長引いたら凍らせて片付けておいてくれ。」
「うん。」
剣を抜き、やって来たタコと向かい合う。
ただのタコではない。こいつもさっきの魚に負けないサイズの大物である!
お構い無しに突っ切るつもりのようだが、そうはさせない。
【アイス・ウォール】
進行方向に氷の壁を作り激突させた。
減速する間も無く、そのままの速度で激突した衝撃波でオレも吹き飛ばされそうになるが堪える。
氷の壁は制御を手放すと、すぐに砕け散り海水と同化していく。
脳があるかは分からないが、今の衝撃で気を失ったらしく、その間に眼と眼の間を一突き。
だが、覚醒を促してしまい、オレを握り潰そうと足が動く。効果はあったようで、全く魔力の通わない足が3本出来ていた。
動きも鈍く、逃げられないと悟ったのか墨で目眩ましをして来た。
だが、動作が分かりやすいため、同時に浮上してかわし、ピラーで撹乱するように動いてもう一突き。そして、剣を横に動かしてから魔法。
【エンチャント・アイス】
タコが急速に凍り付き、そのまま動かなくなる。魔力の流れも止まり、事切れたようだ。
亜空間収納に片付けて狩り完了。残りの処理は帰ってからにしよう。
後ろを振り向くと、遥香も凍った大型魚を片付ける所だった。
「よし。急いで引き上げるぞ。」
「もう良いの?」
「大型サメの群れと戦いたいなら付き合っても良いが?」
「…群れは嫌だなぁ。」
箱とセットでピラーを動かして遥香の元へ行き、箱に座るように促す。
少し、躊躇ってから箱に座り、オレにしがみついた。
昔なら背中に顔を埋めていたのだろうが、今は肩辺りに頭があるな。
「不本意だけど。」
「まあ、そう言うな。良いものを見せてやるから、少し目を閉じろ。」
「うん。」
ゴーグルで抑制している魔眼を閉じる。このゴーグルも改良を加えつつ何年も使っているからか、細かい傷がいくつもあった。レンズだけはいつもキレイにしてあるようだが。
遥香に向けて魔力を流し、視界情報を共有する。
「開いて良いぞ。」
そう言って、ピラーも移動させ始める。
「…綺麗。お父さんはこんな海を見ていたんだ。」
地形はハッキリと分からないが、魔力と生命の輝きでなんとなく見えている。おかげで暗い深海もイルミネーションの中のように感じていた。
「真っ暗だから、オレには星空を泳ぐような感じだよ。」
地形が見えている遥香には、また違う印象に映っているのだろう。
「私には遠い記憶のクリスマスに見えるよ。
街路樹の光、お店の光、雪の光…
うん、こんな感じだった。」
「そうか。」
少し寂しそうに懐かしむような遥香。
「10年って早いけど遠いね。もう、元の世界の事、あんまり覚えていない…」
遥香にとって、人生の半分以上はこちらで過ごしている事になる。
何も出来なかったあの頃と違い、今じゃ一家で一番の何でも屋だ。その器用さが羨ましい。
「戻りたいか?」
「うん。でも、帰りたいから戻りたいんじゃない。ママとパパに見せ付けてやりたい。ヒガン一家の遥香はこんなに凄いんだって。才原遥香のままじゃやれなかった事をやっているんだって。」
そう言って、大きなタメ息を吐く。
「やっぱり、生まれからはなかなか自由になれないんだね。心にずっと残り続けてるから…」
「それはみんなそうだ。バニラも、梓も、柊も同じだよ。」
「…私もお父さんと同じが良かった。
記憶を失くして、この世界に来たかった。」
「それで、白閃法剣になれたか?」
「…無理な気がする。きっと、もっと、ずっとお荷物か、お姉ちゃんの後を追うだけだったと思う。」
再び、大きなタメ息。
「悔しいけど、私の人生の半分は、私の人生の半分のおかげで歩いてこれたって認めるよ。」
「その半分のおかげで、オレも救われたからな。」
「ふふ。そうだったね。
でも、もうそれだけじゃないから。半分は今のための半分。この先は、みんなとの今日までがあるから歩いていける。」
「頭を撫でられない位置なのが残念だ。」
「しょうがない。今日は良いものを見せてくれたから撫でさせて上げましょう。
でも、みんなの所に戻ってからね。」
「じゃあ、安全第一で帰らないとな。」
「依頼は報告して、家に帰るまでが依頼だからね。」
日が沈み、暗闇のみとなった深海。
それでも、オレたちは迷うことなく帰還し、無事に納品も済ませる事が出来た。その際にタコの下処理も済ませたが、職員全員が度肝を抜かしていたな。どうやら、急所がどこか分からず、現れると死に物狂いの戦いになるそうだ。
タコは相場がなく買い取れないそうだが、冷凍状態で半分提供し、今後に役立てて貰うことにする。
その帰り際、誰からも見られていない状況で遥香の頭を撫でると、嫌がる素振りはなく、むしろもっと撫でろと言わんばかりに頭を寄せてきた。
なんとも気難しいお嬢様である。
「ハルカ様、今日はご機嫌ですね。」
宿泊所で珍しく鼻歌混じりで歩く遥香を見掛け、驚いた様子のカトリーナがオレに言う。
「遥香だけの、遥香にしか見れない光景が見れたからだろうな。」
「そうでしたか。今日の依頼は如何でしたか?行政府の方々が大騒ぎでしたが…」
「どこから話すか…」
依頼主にも想定以上の大物の納品の事から始まり、今日一日の事をカトリーナに話すことにした。
頭を撫でてやった時の事は、黙っている事にする。他の人には言うなと厳命されてるからな。
こうして復興支援の依頼は全て終わり、オレたちは残り2日だけ、子供も連れて海淵の園を満喫することにしたのだった。
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