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第四章 魔物暴走(スタンピード)顛末記
第60話 何処かで『魔王」が倒されたらしい
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いつもの通り日課のシューティング・ビーンズ狩りを終えたあとのこと。
妖精の森に行き泉の水を飲んで一休みしているとアルトがやって来て言ったの。
「マロン、あなた、しばらくは町に帰らず、ここに留まりなさい。
私の『特等席』を貸してあげるから、寝床には困らないと思うわ。」
『特等席』って言うのは、『積載庫』レベル三の、人が入れる部屋の事だよね。
ベッドが付いているとかいう。
「うん? 別にかまわないけど…。
どうかしたの?」
「それがね。
さっき、遊びに来た他の森の妖精が知らせてくれたのだけど…。
どっかの困ったちゃんが、魔王を倒しちゃったらしいの、『ハエの王』を。」
あちゃー、そんなおバカがいたんだ。
おいらが、アルトとそんな会話をしていると、側でスライムを捕っていたタロウが口を挟んで来たよ。
「おお、魔王とか、やっと異世界らしい展開になって来たじゃねえか。
ちくしょう、魔王を倒すのは、異世界から召喚された勇者である俺の仕事じゃなかったのか。」
最近おさまっていたチューニ病の発作が出たようで、また何か訳のわからない事を言っているタロウ。
それ、『自虐ネタ?』ってツッコミ入れても良いかな?
自分を『勇者』だなんて、良く恥ずかしげもなく言えると思うよ。
やっぱりアルトも呆れているようで、露骨に白い目を向けてタロウへ言ったよ。
「タロウ…、あなた、何を言っているの。
ああ、でも、『ハエの王』を倒すなんて、確かに『勇者』と蔑まれるに値する愚かな行いだけどね。」
「何で、魔王を討伐するするのが、愚かなことなんだよ!
魔王って言ったら、人間の敵のラスボスみたいなもんだろう。
『ハエの王』って魔王ベルゼブブだろ、害悪の典型みたいなモンじゃんか。
魔王を討伐できたら、英雄って称えられるんじゃないのかよ!」
アルトの至極もっともな言葉の何処が気に入らないのか、少し憤慨したように反論するタロウ。
その呆れた言葉に、おいら、助言してあげたよ。
「タロウ、それ、本気で言っているんだったら。
世間の笑い者になるくらいじゃ済まないレベルだよ。
本当に頭のおかしい人だと思われて、町の人からも相手にしてもらえなくなっちゃう。」
魔王は、おいら達人間にとってはとても有り難い存在なんだ。
魔王がいるから、魔物の領域に近いこんな辺境でも、比較的安心して暮らせるのだから。
********
「もしかして、タロウの住んでいたニッポンという場所では、これも常識が違うのかしら?
だとしたら、ニッポンって場所はつくづくへんてこな場所なのね。
いいわ、面倒だけど私が説明してあげる。
魔王って言うのは、レベルが上がって知性を持つに至った魔物なの。
生存本能、闘争本能だけで行動する魔物をその力で統率しているのが魔王よ。」
アルトが言うには、生命が持つ初期能力値は種族によって異なるというの。
例えば、人間であれば知力が飛びぬけて高く、魔物であれば『魔王』に匹敵する値らしいの。
アルトいわく、この辺は隠しパラメータ(?)らしくて、普通の人には見えないらしい。
一方で魔物は、知力が無いに等しいくらい低く、もっぱら本能に基づいて行動しているんだって。
そんな、魔物の中にあって、レベルが上がって人間並みの知力を持つに至った個体が『魔王』。
『魔王』と呼ばれる知性をもつ魔物は、無益な殺生、特に他種族との争いが種族の繁栄のためにならないと理解するらしいの。
要は、血みどろの殺し合いになったら、お互い損耗するだけだと理解できるようになるみたい。
もちろん、知力が無いに等しい他の魔物はそんなの理解できないけど、そこはそれ。
知性を持つまでレベルが上がった『魔王』は戦闘能力も高い訳で、力でもって他の魔物を従えているらしい。
サル山のサルがボスザルに絶対服従なのと同じように、配下の魔物は『魔王』に服従しているみたい。
「『魔王』が生まれた種族の魔物は、他の種族の魔物と争わなくなるのよ。
当然、人間を襲うことも無くなるわ。
『魔王』がいると言うことは、それだけ魔物の脅威が減るの。
だから、『魔王』を倒すというのは生活の安寧を脅かす行為なの。
愚かさで言ったら、本当に『勇者』と蔑まれるのに値する愚行よ。」
それでも、稀に『魔王』が倒されることがあるんだよね。
『魔王』って、最低でもレベル五十以上だから、他の魔物が手を出すことは滅多にないみたい。
生存本能が強い魔物は、本能的に手を出したらヤバい相手が分かるようだから。
じゃあ、『魔王』に手を出す愚か者は誰かと言うと…。
それは、『人間』。
王侯貴族や高レベルの冒険者が、『生命の欠片』目当てに『魔王』の討伐をする事があるんだって。
なにその身勝手な行動、『魔王』がいなくなったら、枷を外された魔物が人を襲い始めるのに。
「なるほど、『魔王』なんて言うから、魔物の軍団を率いて人間を攻撃して来るのかと思ったぜ。
逆なのか、『魔王』が魔物を統率してくれるから、魔物が大人しくしてるんだ。
それなら納得だぜ、『魔王』を倒しちまったら、配下の魔物がまた本能で突っ走るようになるのか。
それで、一番最初のマロンにしばらくここで泊って行けってのはどう繋がるんだ?」
アルトの説明にやっと納得したタロウは、そう尋ねたんだ。
うん、それはおいらも思っていたんだ、この近辺に『ハエの王』がいるとは聞いてなかった。
アルト自身も、他の森の妖精から貰った情報だと言ってたものね。
『ハエの王』の統率下にあった魔物が暴れ出してもあまり関係ないと思うけど。
「スタンピードが起こるわよ。マロンの住む町も壊滅するかも知れない。」
アルトはそんなシャレにならない事を言ったんだ。
妖精の森に行き泉の水を飲んで一休みしているとアルトがやって来て言ったの。
「マロン、あなた、しばらくは町に帰らず、ここに留まりなさい。
私の『特等席』を貸してあげるから、寝床には困らないと思うわ。」
『特等席』って言うのは、『積載庫』レベル三の、人が入れる部屋の事だよね。
ベッドが付いているとかいう。
「うん? 別にかまわないけど…。
どうかしたの?」
「それがね。
さっき、遊びに来た他の森の妖精が知らせてくれたのだけど…。
どっかの困ったちゃんが、魔王を倒しちゃったらしいの、『ハエの王』を。」
あちゃー、そんなおバカがいたんだ。
おいらが、アルトとそんな会話をしていると、側でスライムを捕っていたタロウが口を挟んで来たよ。
「おお、魔王とか、やっと異世界らしい展開になって来たじゃねえか。
ちくしょう、魔王を倒すのは、異世界から召喚された勇者である俺の仕事じゃなかったのか。」
最近おさまっていたチューニ病の発作が出たようで、また何か訳のわからない事を言っているタロウ。
それ、『自虐ネタ?』ってツッコミ入れても良いかな?
自分を『勇者』だなんて、良く恥ずかしげもなく言えると思うよ。
やっぱりアルトも呆れているようで、露骨に白い目を向けてタロウへ言ったよ。
「タロウ…、あなた、何を言っているの。
ああ、でも、『ハエの王』を倒すなんて、確かに『勇者』と蔑まれるに値する愚かな行いだけどね。」
「何で、魔王を討伐するするのが、愚かなことなんだよ!
魔王って言ったら、人間の敵のラスボスみたいなもんだろう。
『ハエの王』って魔王ベルゼブブだろ、害悪の典型みたいなモンじゃんか。
魔王を討伐できたら、英雄って称えられるんじゃないのかよ!」
アルトの至極もっともな言葉の何処が気に入らないのか、少し憤慨したように反論するタロウ。
その呆れた言葉に、おいら、助言してあげたよ。
「タロウ、それ、本気で言っているんだったら。
世間の笑い者になるくらいじゃ済まないレベルだよ。
本当に頭のおかしい人だと思われて、町の人からも相手にしてもらえなくなっちゃう。」
魔王は、おいら達人間にとってはとても有り難い存在なんだ。
魔王がいるから、魔物の領域に近いこんな辺境でも、比較的安心して暮らせるのだから。
********
「もしかして、タロウの住んでいたニッポンという場所では、これも常識が違うのかしら?
だとしたら、ニッポンって場所はつくづくへんてこな場所なのね。
いいわ、面倒だけど私が説明してあげる。
魔王って言うのは、レベルが上がって知性を持つに至った魔物なの。
生存本能、闘争本能だけで行動する魔物をその力で統率しているのが魔王よ。」
アルトが言うには、生命が持つ初期能力値は種族によって異なるというの。
例えば、人間であれば知力が飛びぬけて高く、魔物であれば『魔王』に匹敵する値らしいの。
アルトいわく、この辺は隠しパラメータ(?)らしくて、普通の人には見えないらしい。
一方で魔物は、知力が無いに等しいくらい低く、もっぱら本能に基づいて行動しているんだって。
そんな、魔物の中にあって、レベルが上がって人間並みの知力を持つに至った個体が『魔王』。
『魔王』と呼ばれる知性をもつ魔物は、無益な殺生、特に他種族との争いが種族の繁栄のためにならないと理解するらしいの。
要は、血みどろの殺し合いになったら、お互い損耗するだけだと理解できるようになるみたい。
もちろん、知力が無いに等しい他の魔物はそんなの理解できないけど、そこはそれ。
知性を持つまでレベルが上がった『魔王』は戦闘能力も高い訳で、力でもって他の魔物を従えているらしい。
サル山のサルがボスザルに絶対服従なのと同じように、配下の魔物は『魔王』に服従しているみたい。
「『魔王』が生まれた種族の魔物は、他の種族の魔物と争わなくなるのよ。
当然、人間を襲うことも無くなるわ。
『魔王』がいると言うことは、それだけ魔物の脅威が減るの。
だから、『魔王』を倒すというのは生活の安寧を脅かす行為なの。
愚かさで言ったら、本当に『勇者』と蔑まれるのに値する愚行よ。」
それでも、稀に『魔王』が倒されることがあるんだよね。
『魔王』って、最低でもレベル五十以上だから、他の魔物が手を出すことは滅多にないみたい。
生存本能が強い魔物は、本能的に手を出したらヤバい相手が分かるようだから。
じゃあ、『魔王』に手を出す愚か者は誰かと言うと…。
それは、『人間』。
王侯貴族や高レベルの冒険者が、『生命の欠片』目当てに『魔王』の討伐をする事があるんだって。
なにその身勝手な行動、『魔王』がいなくなったら、枷を外された魔物が人を襲い始めるのに。
「なるほど、『魔王』なんて言うから、魔物の軍団を率いて人間を攻撃して来るのかと思ったぜ。
逆なのか、『魔王』が魔物を統率してくれるから、魔物が大人しくしてるんだ。
それなら納得だぜ、『魔王』を倒しちまったら、配下の魔物がまた本能で突っ走るようになるのか。
それで、一番最初のマロンにしばらくここで泊って行けってのはどう繋がるんだ?」
アルトの説明にやっと納得したタロウは、そう尋ねたんだ。
うん、それはおいらも思っていたんだ、この近辺に『ハエの王』がいるとは聞いてなかった。
アルト自身も、他の森の妖精から貰った情報だと言ってたものね。
『ハエの王』の統率下にあった魔物が暴れ出してもあまり関係ないと思うけど。
「スタンピードが起こるわよ。マロンの住む町も壊滅するかも知れない。」
アルトはそんなシャレにならない事を言ったんだ。
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