高嶺の花には彼氏ができない!?

hayama_25

文字の大きさ
32 / 68
絆の花

第31話:支え合う心

しおりを挟む
 蒼大が私の方に戻ってきた。

 彼の顔にはまだ少し怒りが残っているけど、私を見つめる目は優しかった。

「美月、大丈夫?」

 蒼大の声に、私は少しだけ微笑んで答えた。

「うん、大丈夫。ありがとう、蒼大」

 蒼大の支えがあるからこそ、私は前を向くことができる。

「ごめん」

 蒼大は申し訳なさそうに言った。

「なんで蒼大が謝るの?」 

 私は蒼大の顔を見つめながら、優しく問いかけた。

 謝られることなんて何も、

「こうなるのを事前に防げなかったから」

 蒼大の声には悔しさが滲んでいた。

 彼の目には、自分を責めるような色が浮かんでいた。

「もう。蒼大のせいじゃないよ。誰もこんなことになるなんて思わないもん、」

 まさか、その事で謝られるなんて。

「それはそうなんだけどさ、」

「私のために怒ってくれて嬉しかったよ」

 そう言うと、蒼大は優しく微笑み返し、私の頭を撫でた。

 その手の温かさに、私は心がほっとした。

「それなら良かった」

 蒼大の手が私の髪を優しく撫でるたびに、心の中の不安が少しずつ消えていく。

 彼の手の温もりが、私の心を癒してくれる。

「泣いて、ないね。良かった」

 蒼大が優しく問いかける。

「泣かないよ」

 私は微笑んで答えたが、目には涙が浮かんでいた。

「泣いてもいいけど、泣くなら俺の前で泣いてね。一人で泣いたりしないで」

 蒼大の言葉に、私は胸が熱くなった。

 もう。これでも泣くの我慢してるんだから。

 そんなこと言われたら涙がこぼれそうになる。

「本番までもう少しだけど、頑張らないとね」

 私は自分を奮い立たせるように言った。

 そうだよね。今は泣いてる場合じゃない。

「でも、無理しないでね」

 蒼大の声には、私を気遣う優しさが溢れていた。

「うん、ありがとう」

 その後、私たちは手を繋いで教室に戻った。

 蒼大の手の温もりが、私の心を支えてくれる。

 クラスメートたちは文化祭の準備に取り組んでいた。

 私は自分の席に座り、深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。

「美月ちゃん、大丈夫?」

  明日佳が心配そうに声をかけてくれた。

 私は微笑んで頷いた。

「うん、大丈夫。それより、明日佳こそ大丈夫?」

 文化祭までに衣装を作り直すなんて。

「何とか、ギリギリ間に合いそう」
「そっか」

「今はお互い文化祭のことだけ考えようね」

 きっと、私が犯人のことで頭がいっぱいなことを見破ってるんだと思う。

「そうだね」

 明日佳の優しさに感謝しながら、私は再び練習に集中することにした。

 文化祭まであと少し。

 私は自分の力を信じて、全力で頑張ることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

『働いたら負けだと思ったので、何もしなかったら勝手に勝ちました』

ふわふわ
恋愛
王太子から一方的に婚約を破棄された公爵令嬢、 ファワーリス・シグナス。 理由は単純。 「何もしようとしない女だから」。 ……だが彼女は、反論もしなければ、復讐もしない。 泣き叫ぶことも、見返そうと努力することもなく、 ただ静かに言う。 ――「何をする必要が?」 彼女は何もしない。 問題が起きれば専門家が対処すべきであり、 素人が善意で口出しする方が、かえって傷口を広げると知っているから。 婚約破棄の後、 周囲は勝手に騒ぎ、勝手に動き、勝手に自滅し、 勝手に問題を解決していく。 彼女がしたことは、 ・責任を引き受けない ・期待に応えない ・象徴にならない ・巻き込まれない ――ただそれだけ。 それでも世界は、 彼女を基準にし、 彼女を利用しようとし、 最後には「選ぼう」とする。 だがファワーリスは、 そのすべてを静かに拒み続ける。 働いたら負け。 何もしないのが勝ち。 何も背負わず、何も奪わず、何も失わない。 「何もしない」という選択を貫いた令嬢が手にしたのは、 誰にも邪魔されない、完全な自由だった。 これは、 戦わず、争わず、努力もせず、 それでも最後に“勝ってしまった” 一人の令嬢の、静かなざまぁ物語。

女性が少ない世界でVTuberやります!

dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉ なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。 ※恋愛大賞に参加する人はエントリーしてからまとめて投稿しましょう!文字数カウントはエントリーしてからです! ※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。※1月9日2話投稿したよ!作者ブル

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。

『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』

鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」 幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された 公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。 その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、 彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。 目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。 だが、中身は何ひとつ変わっていない。 にもかかわらず、 かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、 「やり直したい」とすり寄ってくる。 「見かけが変わっても、中身は同じです。 それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」 静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。 やがて彼女に興味を示したのは、 隣国ノルディアの王太子エドワルド。 彼が見ていたのは、美貌ではなく―― 対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。 これは、 外見で価値を決められた令嬢が、 「選ばれる人生」をやめ、 自分の意思で未来を選び直す物語。 静かなざまぁと、 対等な関係から始まる大人の恋。 そして―― 自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。 ---

これって私の断罪じゃなくて公開プロポーズですか!?

桃瀬ももな
恋愛
「カタリーナ・フォン・シュバルツ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」 卒業パーティーの最中、第一王子アルフォンスから非情な宣告を突きつけられた公爵令嬢カタリーナ。 生まれつきの鋭い目つきと、緊張すると顔が強張る不器用さゆえに「悪役令嬢」として孤立していた彼女は、ついに訪れた「お決まりの断罪劇」に絶望……するかと思いきや。 (……あれ? 殿下、いま小さく「よっしゃあ!」ってガッツポーズしませんでした!?)

処理中です...