高嶺の花には彼氏ができない!?

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絆の花

第55話:嫌な予感

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「よく分からないけど、美月が幸せなら良かったよ」

 蒼大の笑顔を見て、不安と緊張が少しずつ溶けていくのを感じた。

「二人のおかげだよ、」

 二人の存在がなければ、きっと私はここまで頑張れなかっただろう。

 もちろんお兄ちゃんもだけど。

「それにしても、衣装破いたり、舞台台無しにしようとしたり、犯人は文化祭に嫌な思い出でもあるのかな」

 歩乃華の言葉に、私は少し考え込んだ。

 文化祭が嫌なんじゃなくて、

「…私だと思う」

 私は視線を落としながら、心の中の不安を吐き出した。

 自分自身がターゲットにされていると感じるのは、本当に辛いことだった。

「え?」

 歩乃華の驚いた声が響く。

「私に嫌がらせをしたいんだと思う」

 その言葉を口にするのは辛かったが、彼らには本当の気持ちを伝えたかった。

「え、美月に?どうして?」
  
 正直、私にも分からなかった。
 犯人がどうして私を嫌っているのか、知りたくても。

「それは…」

 過去の出来事がフラッシュバックするように頭の中で蘇る。

「前から気になってたんだけど、そう思うってことは、他にも何かされたってことだよね」

 蒼大の問いかけに、私は少しだけ驚いた。
 もう、隠し通せないと思った。

「え、それほんと?」

 歩乃華の驚いた声が響く。

「そんな大したことじゃないんだよ、ただ…演技もまともに出来ないくせに言われただけで」

 私は視線を逸らしながら答えた。

「どうして話してくれなかったの」

 歩乃華が少し怒ったように言う。

 言葉が出ないまま、涙がこぼれそうになるのを必死に堪えた。

「ごめん。怒ってるわけじゃなくて、」

 分かってる。
 心配してくれてるってことはちゃんと分かってる。

 だからこそ、

「心配、かけたくなかったんだ」

 私は小さな声で言った。

 心の中でずっと抱えていた不安を、少しずつ吐き出すように。

「美月…」

 歩乃華の声が優しく響く。
 その声に、私は少しだけ涙がこぼれそうになった。

「美月、犯人は見たの?」

 蒼大の問いかけに、私は首を振った。

 誰かに背後から攻撃されるような感覚が、今でも鮮明に残っている。

「顔は見てない。ただ…」

 言葉が詰まり、胸が痛んだ。

「ただ?」

 蒼大の問いかけに、私は少しだけ躊躇したが、正直に答えることにした。

「犯人が女の子だってことは分かる」

 その言葉を口にするのは辛かったけど、二人には事実を知ってもらおうと思った。

「女子…か、」

 蒼大は何か考え事をしているかのように呟いた。

「…でも、」

 歩乃華は何かを言おうとして飲み込んた。

「でも?」

「いや、何でもない。これ以上ちょっかいかけてこなかったらいいけどね」

 大事になったし、しばらくは…

「文化祭終わったし、これといった行事は残ってないから大丈夫だと思うよ」

 ただ、そうであって欲しかった。
 私の願望だ。



「…球技大会」
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