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第49話
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「瑞稀、待ってってば」
声が思わず強くなる。
瑞稀の背中が遠ざかっていくのが、どうしても耐えられなかった。
言葉だけじゃ足りない気がして、足を速めて追いかける。
心臓が早鐘のように鳴っている。
もしこのまま行かれてしまったら、もう二度と戻れない気がして、怖かった。
手首を掴む。
指先が彼の肌に触れた瞬間、胸の奥がじんと熱くなる。
その感触は、確かに“今ここにいる”という証だった。
でも、彼の腕は動かない。
振り払われることもなく、握り返されることもなく。
その無反応が、逆に痛かった。
「あいつとお茶するんじゃなかったのかよ」
言葉が低く落ちる。
怒っている。
でも、怒鳴るでもなく、ただ静かに突きつけてくるその言い方が、胸に刺さる。
責められて当然だと思った。
自分が選んだ言葉や態度が、瑞稀を傷つけたことは分かってる。
「いいの。佳代のことは、もういいの」
言葉にしてみると、思った以上に軽く聞こえてしまって、焦る。
“もういい”なんて、簡単に言えることじゃない。
でも、今はそれしか言えなかった。
佳代のことを気にしていたのは事実。
でもそれ以上に、瑞稀の方が大事だから。
「…あっそ」
短く返されたその言葉に、胸がひどく痛む。
彼の声には、冷たさよりも、諦めが滲んでいた。
怒ってくれるなら、まだ救いがある。
でも、諦められるのは、もう終わりだと言われているようで、足元がぐらつく。
「ごめん、」
声が震える。
謝ることで、何かが戻るわけじゃない。
でも、言わずにはいられなかった。
自分の中に溜まっていた後悔が、言葉になって溢れ出す。
「何が」
瑞稀の表情は見えない。
ただ、少しでも届いてほしくて、言葉を重ねる。
「私、瑞稀のことちゃんと信じてなかった。一番大事な人の声は聞かずに、勝手にそうだって決めつけた」
言葉にした瞬間、胸がきゅっと締めつけられる。
瑞稀の言葉を聞かずに、佳代の態度だけで判断していた。
それが、どれだけ彼を傷つけたか、今になってようやく分かった。
自分の過ちを認めるのは、こんなにも苦しい。
彼の目が、静かにこちらを見ている。
何も言わないその沈黙が、重くのしかかる。
きっとまだ怒ってる。
でも、怒ってくれているうちは、まだ向き合える。
「瑞稀が、怒るのも分かる。正直、よく分からないけど、瑞稀が佳代と付き合ってないって言うなら…それが正解だから」
言葉が少しずつ崩れていく。
信じたい。
けど、信じるには、まだ怖さが残っている。
それでも、瑞稀の言葉を信じると決めた。
それが、今の自分にできる唯一の誠意だった。
「へー」
その返事が、ひどく遠く感じる。
皮肉なのか、ただの反応なのか、分からない。
でも、何かを遮るようなその言い方に、胸がざらりと波打つ。
それでも、言わなきゃいけない。
最後まで、ちゃんと伝えなきゃ。
「それなのに、疑って、傷つけてごめん」
謝罪のつもりだった。
でも、言い終えたあとに残ったのは、言葉にしたことで余計に空っぽになったような感覚だった。
伝わるのか分からない。
本当に届いているのか、瑞稀の表情からは何も読み取れない。
言葉は、いつも足りない。
どれも正しくて、どれも足りない。
何も言わないその沈黙が、重くのしかかる。
でも、逃げたくない。
この沈黙の中に、彼の答えがある気がして、視線をそらさずにいた。
声が思わず強くなる。
瑞稀の背中が遠ざかっていくのが、どうしても耐えられなかった。
言葉だけじゃ足りない気がして、足を速めて追いかける。
心臓が早鐘のように鳴っている。
もしこのまま行かれてしまったら、もう二度と戻れない気がして、怖かった。
手首を掴む。
指先が彼の肌に触れた瞬間、胸の奥がじんと熱くなる。
その感触は、確かに“今ここにいる”という証だった。
でも、彼の腕は動かない。
振り払われることもなく、握り返されることもなく。
その無反応が、逆に痛かった。
「あいつとお茶するんじゃなかったのかよ」
言葉が低く落ちる。
怒っている。
でも、怒鳴るでもなく、ただ静かに突きつけてくるその言い方が、胸に刺さる。
責められて当然だと思った。
自分が選んだ言葉や態度が、瑞稀を傷つけたことは分かってる。
「いいの。佳代のことは、もういいの」
言葉にしてみると、思った以上に軽く聞こえてしまって、焦る。
“もういい”なんて、簡単に言えることじゃない。
でも、今はそれしか言えなかった。
佳代のことを気にしていたのは事実。
でもそれ以上に、瑞稀の方が大事だから。
「…あっそ」
短く返されたその言葉に、胸がひどく痛む。
彼の声には、冷たさよりも、諦めが滲んでいた。
怒ってくれるなら、まだ救いがある。
でも、諦められるのは、もう終わりだと言われているようで、足元がぐらつく。
「ごめん、」
声が震える。
謝ることで、何かが戻るわけじゃない。
でも、言わずにはいられなかった。
自分の中に溜まっていた後悔が、言葉になって溢れ出す。
「何が」
瑞稀の表情は見えない。
ただ、少しでも届いてほしくて、言葉を重ねる。
「私、瑞稀のことちゃんと信じてなかった。一番大事な人の声は聞かずに、勝手にそうだって決めつけた」
言葉にした瞬間、胸がきゅっと締めつけられる。
瑞稀の言葉を聞かずに、佳代の態度だけで判断していた。
それが、どれだけ彼を傷つけたか、今になってようやく分かった。
自分の過ちを認めるのは、こんなにも苦しい。
彼の目が、静かにこちらを見ている。
何も言わないその沈黙が、重くのしかかる。
きっとまだ怒ってる。
でも、怒ってくれているうちは、まだ向き合える。
「瑞稀が、怒るのも分かる。正直、よく分からないけど、瑞稀が佳代と付き合ってないって言うなら…それが正解だから」
言葉が少しずつ崩れていく。
信じたい。
けど、信じるには、まだ怖さが残っている。
それでも、瑞稀の言葉を信じると決めた。
それが、今の自分にできる唯一の誠意だった。
「へー」
その返事が、ひどく遠く感じる。
皮肉なのか、ただの反応なのか、分からない。
でも、何かを遮るようなその言い方に、胸がざらりと波打つ。
それでも、言わなきゃいけない。
最後まで、ちゃんと伝えなきゃ。
「それなのに、疑って、傷つけてごめん」
謝罪のつもりだった。
でも、言い終えたあとに残ったのは、言葉にしたことで余計に空っぽになったような感覚だった。
伝わるのか分からない。
本当に届いているのか、瑞稀の表情からは何も読み取れない。
言葉は、いつも足りない。
どれも正しくて、どれも足りない。
何も言わないその沈黙が、重くのしかかる。
でも、逃げたくない。
この沈黙の中に、彼の答えがある気がして、視線をそらさずにいた。
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