運命の糸の先に

hayama_25

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第13話

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 隣同士だから鉢合わせする事もあった。

「梨華、」

 瑞稀の声に振り返ると、彼が立っていた。

 私は心の中でため息をつきながら、冷たく答えた。

「...今急いでるから」
「いつなら空いてんの」

 瑞稀の問いに、私は少し苛立ちながら答えた。

「いつも空いてない」

 なんて言って避けた。

 瑞稀の顔を見るたびに、あの時のことを思い出して、胸が痛むから。

 それでも、心配してなかった訳じゃない。瑞稀にとってはただの23年間だったのかもしれないけど、私は違うから。

 佳代と何があるのか、何をされたのか、少しでも力になれることがあるなら助けてあげたかった。

 だけど、瑞稀の心配をしてる場合じゃなかった。

 最近つけられてるような気がして、おかしいと思ってたんだよね、

「り、梨華さん...」

 ある日の仕事帰り、マンションの前で待ち伏せされていた。

「田中さん?どうしてここに、」

 田中さんの姿を見て、私は驚きと共に不安を感じた。

 多分、今までも彼につけられていたのだろう。

「こ、この前のお礼に....」

 そう言って果物が沢山入ったかごを渡された。

「お礼…?」

 私、こんなもの貰うぐらいなにかしたっけ。

「上司から俺を庇ってくれたから、」

「えっ。それだけで、こんなのもらえません」

 大したことしてないのに。気にしすぎ、

「お礼だよ、」

 田中さんの真剣な表情に、私はさらに困惑した。

「でも、」

 さすがにこんな高価なもの貰えるわけない。

「梨華さんは...俺が好きだからあの時庇ってくれたんだよね、あれから俺も好きになっちゃったみたいなんだ、」

 彼の言葉に、私は一瞬固まった。

 えーっと、どういう解釈をしたらそういう考えに至るんですか?

「そんなつもりじゃなかったんですけど、勘違いさせてしまったなら謝ります。ごめんなさい。謝ることしかできません」

 本当は謝る理由なんてないけど、こういう人を怒らせたらめんどくさい事になる。

「なんで、僕を弄んでたんだね....」

 いや、なんでそうなるのよ。

「違います、理不尽なこと言われてたから助けようと思って、ただそれだけです」

 なんて言っても聞く耳を持たず、彼の表情がどんどん険しくなっていくのを見て、鳥肌が立った。

「僕と付き合わなかったら後悔するのは梨華ちゃんだよ!?」

 うるさいよ、急に叫ばないでよ。

 今ので耳がキーンってなったんだけど、とんだ勘違いやろうだ…

 あ、思い出した。

 数週間前、会社の先輩から教えられたことが頭をよぎった。

 こいつ… 


 元カノの家待ち伏せ男だった。
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