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本編
どんどんと罠が深まる(6)
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カリッドはとうとう両手でその顔を覆ってしまった。
「あの、リディ」
モニカは彼の顔を見ようとして、その手首を掴む。と、逆に掴み返されてしまう。
「モ、モニカ。そ、そのような恰好をされたら、俺は、もう、その。いろいろと、我慢することができない」
耳の後ろまで赤く染め上げたカリッドが、真面目な嘘偽り一つ無いような視線で見つめてきた。
「が、我慢? 何を我慢なさっていたのですか?」
「それを聞くのか? 俺は、君と、その、一つになりたいと思っている、のだが……」
その言葉の意味をモニカは考える。男女が一つになる行為。ぶわっとモニカの身体の中を走っている血液が沸騰したような感覚に襲われた。
「え、と。リディは、その相手が私でもよろしいんですか?」
「むしろ、君でなければ俺は勃たない」
またカリッドから衝撃的な告白をされてしまった。
「今まで、こんな風に思えるような女性に出会ったことはない。むしろ、君が初めてだ」
「え? てことは、その、リディは今まで、他の女性とそういったことは?」
「無い」
じっと、カリッドがモニカを見つめる。モニカもじっと、カリッドを見つめる。
「だ、だが。その、そういった教育は受けている。だ、だから。そ、その。痛くはしない……」
また、モニカの体中の血液が沸騰したような感覚に襲われた。ぶわっと、背筋に何かが通り抜けるような。
「え、え? あ、そうなんですか?」
モニカはどう答えたらいいかがわからなかった。彼のような女性受けが良さそうな見目整っている男性が、まだ女性経験が無いというその事実に、驚きを隠せない。休みのたびに、女性を抱いていそうなイメージだったのに。
「どうした? モニカ」
「いえ、その。正直な気持ちを申し上げますと。その、遊んでるんだろうな、と思ってました」
「なっ……。違う、断じて違う。俺は、遊びで女性は抱けない。むしろ、ずっと女性は抱けないと思っていた」
「え? もしかして、違う方のご趣味が?」
「違う。それも違う。その、ま、うー。そうだな。君に誤解を与えるようなこともしたくない」
ということで、渋々とカリッドは二十年近く前の黒歴史を暴露した。モニカに引かれるかと思ったそのことだが、彼女は真剣に話を聞いて「大変でしたね」と優しく頭を撫でてくれた。それは子供の頭を撫でる母親のように。
「だけど、俺があの第四騎士団に配属され、君を初めて見た時、こう、心の中が疼いた。それがなんでそうなったのか、ということを理解するのに半年もかかった。女性に対して、そのような気持ちを抱くことは無いと、そう、思っていたからだ」
「てことは、やはり違う方のご趣味が?」
「それも断じて違う。俺のは、ただの女性不信だ。だから、見合いをしたくない理由の一つにそれもあった」
モニカは笑いたくなるのを堪えていた。もう、カリッドが可愛すぎて仕方ない。
「その。リディさえよければ、抱いてください」
とモニカから言われてしまったら、カリッド自身もどう答えたらいいかがわからない。これはもう先っちょどころの話ではないぞ、ということだけは理解できた。
「もしかして、はしたないと思われましたか?」
違う、という意味を込めてカリッドはぶんぶんと首を横に振る。
「俺で、本当にいいのか?」
「は、はい。リディがいいです。実はその、私も……」
と、男性不信に陥った過去を、モニカがぽつりぽつりと話し始めた。「女じゃねー」とか「かわいくねー」とか。挙句、ちょっとした縁があって、婚約をどうかと勧められた少年と出会ったときも「無理だ」と精神的に拒否されてしまった話とか。それで深く傷ついたモニカに無理に結婚を勧めるようなことをしない両親の話とか。
「そうか。でも俺にとっては、モニカだけだ。そうやって結婚したいと思ったのも、抱きたいと思ったのも。そう思えた女性は君が初めてだ」
「あの、リディ」
モニカは彼の顔を見ようとして、その手首を掴む。と、逆に掴み返されてしまう。
「モ、モニカ。そ、そのような恰好をされたら、俺は、もう、その。いろいろと、我慢することができない」
耳の後ろまで赤く染め上げたカリッドが、真面目な嘘偽り一つ無いような視線で見つめてきた。
「が、我慢? 何を我慢なさっていたのですか?」
「それを聞くのか? 俺は、君と、その、一つになりたいと思っている、のだが……」
その言葉の意味をモニカは考える。男女が一つになる行為。ぶわっとモニカの身体の中を走っている血液が沸騰したような感覚に襲われた。
「え、と。リディは、その相手が私でもよろしいんですか?」
「むしろ、君でなければ俺は勃たない」
またカリッドから衝撃的な告白をされてしまった。
「今まで、こんな風に思えるような女性に出会ったことはない。むしろ、君が初めてだ」
「え? てことは、その、リディは今まで、他の女性とそういったことは?」
「無い」
じっと、カリッドがモニカを見つめる。モニカもじっと、カリッドを見つめる。
「だ、だが。その、そういった教育は受けている。だ、だから。そ、その。痛くはしない……」
また、モニカの体中の血液が沸騰したような感覚に襲われた。ぶわっと、背筋に何かが通り抜けるような。
「え、え? あ、そうなんですか?」
モニカはどう答えたらいいかがわからなかった。彼のような女性受けが良さそうな見目整っている男性が、まだ女性経験が無いというその事実に、驚きを隠せない。休みのたびに、女性を抱いていそうなイメージだったのに。
「どうした? モニカ」
「いえ、その。正直な気持ちを申し上げますと。その、遊んでるんだろうな、と思ってました」
「なっ……。違う、断じて違う。俺は、遊びで女性は抱けない。むしろ、ずっと女性は抱けないと思っていた」
「え? もしかして、違う方のご趣味が?」
「違う。それも違う。その、ま、うー。そうだな。君に誤解を与えるようなこともしたくない」
ということで、渋々とカリッドは二十年近く前の黒歴史を暴露した。モニカに引かれるかと思ったそのことだが、彼女は真剣に話を聞いて「大変でしたね」と優しく頭を撫でてくれた。それは子供の頭を撫でる母親のように。
「だけど、俺があの第四騎士団に配属され、君を初めて見た時、こう、心の中が疼いた。それがなんでそうなったのか、ということを理解するのに半年もかかった。女性に対して、そのような気持ちを抱くことは無いと、そう、思っていたからだ」
「てことは、やはり違う方のご趣味が?」
「それも断じて違う。俺のは、ただの女性不信だ。だから、見合いをしたくない理由の一つにそれもあった」
モニカは笑いたくなるのを堪えていた。もう、カリッドが可愛すぎて仕方ない。
「その。リディさえよければ、抱いてください」
とモニカから言われてしまったら、カリッド自身もどう答えたらいいかがわからない。これはもう先っちょどころの話ではないぞ、ということだけは理解できた。
「もしかして、はしたないと思われましたか?」
違う、という意味を込めてカリッドはぶんぶんと首を横に振る。
「俺で、本当にいいのか?」
「は、はい。リディがいいです。実はその、私も……」
と、男性不信に陥った過去を、モニカがぽつりぽつりと話し始めた。「女じゃねー」とか「かわいくねー」とか。挙句、ちょっとした縁があって、婚約をどうかと勧められた少年と出会ったときも「無理だ」と精神的に拒否されてしまった話とか。それで深く傷ついたモニカに無理に結婚を勧めるようなことをしない両親の話とか。
「そうか。でも俺にとっては、モニカだけだ。そうやって結婚したいと思ったのも、抱きたいと思ったのも。そう思えた女性は君が初めてだ」
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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