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2:大好きなお姉さまとひきこもります(3)
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すっかりと使用人頭らしくその場を取り仕切るケビンの姿を見て、ケアード公爵は「ダレンにも見せてやりたかった」と少しだけ目を潤ませていた。
ダレンとは執事の名で、まだ使用人たちの次の仕事先の手配をしているため王都に残っている。使用人らの今後はあらかた決まっているのだが、すべてを見届けてから公爵領へと戻る予定なのだ。
それからセシリアは部屋でしばらくくつろいだ後、早めに夕食を済ませた。
その後は、旅の疲れもあってかすぐにベッドに潜り込む。しかし、気がついたときにはだいぶ高いところまで太陽が昇っていた。
「おはようございます、セシリア様」
「おはよう、アニー」
しょぼしょぼとする目をこすりながら、なんとか顔を洗い、着替えて食堂へと向かう。
「おそよう、セシリア。お寝坊さんね」
すっかりと身支度を整え、朝食を終えていたエレノアは、食後の紅茶を飲みながら両親と歓談に耽っていたようだ。
「おはようございます。お父さま、お母さま、お姉さま」
「おはよう。もっとゆっくりしていてもよかったんだよ?」
父親はやわらかな笑みを浮かべ、優しい眼差しを向けてくる。
「早くさとうきびの畑を見たいので、がんばって起きました」
そうは言ってみたものの、完全に寝坊した。両親も姉も朝食をとっくに終えている。
「そうね。さとうきびのことはセシリアが詳しいだろうから。頼りにしているわよ?」
エレノアの笑顔は太陽のように明るい。そんな姉が眩しく、まだ七歳のセシリアは恥ずかしくなってうつむいてしまう。
「昼前までさとうきびを確認して、昼食後は商会長と会う。それでよかったかな?」
誰に尋ねるわけでもなく父親が口にすると、少し離れた場所に立っていたケビンが「はい」と答える。どうやら、今のはケビンに確認したようだ。
「セシリア。時間はまだたっぷりとあるわよ。ゆっくりとご飯を食べなさい」
母親が立ち上がり、父親も席を立った。
そうなると食堂に残されるのはセシリア一人かと思いきや、エレノアは紅茶のおかわりを頼んでいる。
「あなたの朝食が終わるまで、待っているわよ」
そんな姉の優しさに、セシリアの胸はじんわりとあたたかくなった。
真っ白いふかふかのパンに搾りたての牛乳。みずみずしいサラダにとりたての卵で作られたスクランブルエッグ。素材を生かしたシンプルな料理は、濃厚で美味しい。
朝からパンを四つも食べたセシリアに、エレノアは「よく食べるわねぇ」と感心していた。
それから少しだけ休んだ後、ケアード一家はさとうきびが生えている場所へと足を向けた。
今日も朝から真っ青な空が広がっており、太陽はやわらかく輝く。届く日差しも肌を刺すような感じはせず、ぽかぽかとしたあたたかなもの。
「まぁ。セシリアの言ったとおりね」
さとうきびの群生地の手前までやってきたエレノアは、下から上へと視線を走らせて、その大きさに感嘆の声をあげる。
「それよりもここ……」
エレノアが瞬間的に顔を曇らせると、両親も何かに気づいたのだろう。目を見開く。
「風の精霊……?」
エレノアの呟きを拾った母親が、先を奪う。
「風だけではないわね。水の精霊もいるわよ」
そこでセシリアにもピンとくるものがあった。
ケアード公爵領と馬車で二時間の距離にあるフェルトンの街。それしか離れていないというのに、フェルトンの街にはさとうきびがありケアード公爵領にはない。
山を挟んだ二つの場所だが、気候はさほど違いはない。ただ、フェルトンの街のほうがあたたかい感じはする。
もしかしたら沖縄の気候に近いのかもしれない。ケアード公爵領が温帯だとしたらフェルトンの街は亜熱帯。山一つ隔てただけでそれほど気候が変わるのかと疑いたくなるが、風や水の精霊がいるとなれば、自然環境なんてどうとでもなるのだ。つまり東京の隣に沖縄があるような感じであっても、精霊の力でそれは可能となる。
例えそれが作者都合だと言われようが、セシリアにとっては理由などどうでもいい。今、ここにさとうきびが存在していることが重要である。
とにかくフェルトンの街は、精霊と作者都合によって、さとうきびが生息する地域になっているのだ。
だからだろう。誰も見向きもしないさとうきびが、荒れることなく堂々と育っている。
「素晴らしいわ、ここ……」
「そうね、エレノアの言うとおり」
母と姉は、自分たちに仕えている精霊を通して、そこにいる精霊と話をしているのだろう。精霊と繊細な関係を築くのは、その二人は得意である。
父親は精霊と一緒に暴れるといった感じだと、いつの日だったか、母親が面白おかしく教えてくれたのを思い出した。
セシリアは精霊とどんな関係が築けるのか。それが今から楽しみでもあり、不安でもあった。
ダレンとは執事の名で、まだ使用人たちの次の仕事先の手配をしているため王都に残っている。使用人らの今後はあらかた決まっているのだが、すべてを見届けてから公爵領へと戻る予定なのだ。
それからセシリアは部屋でしばらくくつろいだ後、早めに夕食を済ませた。
その後は、旅の疲れもあってかすぐにベッドに潜り込む。しかし、気がついたときにはだいぶ高いところまで太陽が昇っていた。
「おはようございます、セシリア様」
「おはよう、アニー」
しょぼしょぼとする目をこすりながら、なんとか顔を洗い、着替えて食堂へと向かう。
「おそよう、セシリア。お寝坊さんね」
すっかりと身支度を整え、朝食を終えていたエレノアは、食後の紅茶を飲みながら両親と歓談に耽っていたようだ。
「おはようございます。お父さま、お母さま、お姉さま」
「おはよう。もっとゆっくりしていてもよかったんだよ?」
父親はやわらかな笑みを浮かべ、優しい眼差しを向けてくる。
「早くさとうきびの畑を見たいので、がんばって起きました」
そうは言ってみたものの、完全に寝坊した。両親も姉も朝食をとっくに終えている。
「そうね。さとうきびのことはセシリアが詳しいだろうから。頼りにしているわよ?」
エレノアの笑顔は太陽のように明るい。そんな姉が眩しく、まだ七歳のセシリアは恥ずかしくなってうつむいてしまう。
「昼前までさとうきびを確認して、昼食後は商会長と会う。それでよかったかな?」
誰に尋ねるわけでもなく父親が口にすると、少し離れた場所に立っていたケビンが「はい」と答える。どうやら、今のはケビンに確認したようだ。
「セシリア。時間はまだたっぷりとあるわよ。ゆっくりとご飯を食べなさい」
母親が立ち上がり、父親も席を立った。
そうなると食堂に残されるのはセシリア一人かと思いきや、エレノアは紅茶のおかわりを頼んでいる。
「あなたの朝食が終わるまで、待っているわよ」
そんな姉の優しさに、セシリアの胸はじんわりとあたたかくなった。
真っ白いふかふかのパンに搾りたての牛乳。みずみずしいサラダにとりたての卵で作られたスクランブルエッグ。素材を生かしたシンプルな料理は、濃厚で美味しい。
朝からパンを四つも食べたセシリアに、エレノアは「よく食べるわねぇ」と感心していた。
それから少しだけ休んだ後、ケアード一家はさとうきびが生えている場所へと足を向けた。
今日も朝から真っ青な空が広がっており、太陽はやわらかく輝く。届く日差しも肌を刺すような感じはせず、ぽかぽかとしたあたたかなもの。
「まぁ。セシリアの言ったとおりね」
さとうきびの群生地の手前までやってきたエレノアは、下から上へと視線を走らせて、その大きさに感嘆の声をあげる。
「それよりもここ……」
エレノアが瞬間的に顔を曇らせると、両親も何かに気づいたのだろう。目を見開く。
「風の精霊……?」
エレノアの呟きを拾った母親が、先を奪う。
「風だけではないわね。水の精霊もいるわよ」
そこでセシリアにもピンとくるものがあった。
ケアード公爵領と馬車で二時間の距離にあるフェルトンの街。それしか離れていないというのに、フェルトンの街にはさとうきびがありケアード公爵領にはない。
山を挟んだ二つの場所だが、気候はさほど違いはない。ただ、フェルトンの街のほうがあたたかい感じはする。
もしかしたら沖縄の気候に近いのかもしれない。ケアード公爵領が温帯だとしたらフェルトンの街は亜熱帯。山一つ隔てただけでそれほど気候が変わるのかと疑いたくなるが、風や水の精霊がいるとなれば、自然環境なんてどうとでもなるのだ。つまり東京の隣に沖縄があるような感じであっても、精霊の力でそれは可能となる。
例えそれが作者都合だと言われようが、セシリアにとっては理由などどうでもいい。今、ここにさとうきびが存在していることが重要である。
とにかくフェルトンの街は、精霊と作者都合によって、さとうきびが生息する地域になっているのだ。
だからだろう。誰も見向きもしないさとうきびが、荒れることなく堂々と育っている。
「素晴らしいわ、ここ……」
「そうね、エレノアの言うとおり」
母と姉は、自分たちに仕えている精霊を通して、そこにいる精霊と話をしているのだろう。精霊と繊細な関係を築くのは、その二人は得意である。
父親は精霊と一緒に暴れるといった感じだと、いつの日だったか、母親が面白おかしく教えてくれたのを思い出した。
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