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2:大好きなお姉さまとひきこもります(4)
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「ところでセシリア。この草から、砂糖と呼ばれるものができるのよね?」
エレノアに聞かれ「はい」と元気よく返事をするセシリアだが、さとうきびを知らない者からしてみれば、やはりこれはただの草だ。
「お父さま。このさとうきびを一本、切ることはできますか? この辺から切ったら」
セシリアはしゃがみ込んで、さとうきびの根元を指し示す。
「あとはこのくらいに切ってほしいのです」
今度は腕をびしっと両脇につけ、両手で長さを示す。
「できますか?」
セシリアの言葉に大きくうなずいた父親は、後ろに控えているケビンを見やる。
「奥様、お嬢様。危険ですからお下がりください」
てっきりケビンが鎌を使って刈り取るのかと思ったのだが、父親本人がさとうきびを刈るようだ。
セシリアたちが五メートルほど離れたのを確認したケアード公爵は、パチンと指を鳴らす。するとビュンと激しい風が吹いて、さとうきびを一本だけ刈り取り、もう一度指を鳴らしたところで、セシリアが希望した長さに切断された。
「お父さま、すごいです」
感心したセシリアはパチパチと拍手する。
「もしかして……お父さまがいたら、さとうきびを収穫するのが楽になるのでは?」
「おいおいセシリア。私ももう若くはないんだ。それに今の魔法を、ここにあるさとうきび全部に使おうとしたら……魔力が枯渇して私は倒れてしまうかもしれない……」
よろよろと今にも倒れそうな演技をしたところを、ケビンが公爵の身体を支えた。
「そうなると……やはり、さとうきびを収穫してくれる人が必要ですよね」
「そうね、セシリアの言うとおり。わたくしの風魔法を使っても、一日に数本くらいが限度ね。まだ、鎌で刈り取ったほうが多いと思うわ」
「今も、お父さまが魔法を使わず、最初からケビンが鎌で切ってくれればよかったのでは……?」
セシリアがぼそっと言うと「お父様はあなたたちにかっこいいところを見せたかったのよ」と母親が父親には聞こえぬよう、小さな声で答えた。
「ふぅ……それでこの切ったさとうきびは、どうしたらいいのかな?」
額に光った汗をぬぐった父親は、してやったり顔でセシリアを見つめてくる。先ほどのふらつきはどこにいったのだろうか。
「さとうきびの味見をしてください。だけど、さとうきびは食べ物だけど食べ物ではないので……」
セシリアの小さな手でも掴める長さに切ったさとうきびを一本、手にとった。
「ええと、この皮を剥いて、ここの白いところを噛むと、汁が出てきます。でも食べられませんので、噛んで汁を出すだけです」
すかさずケビンがやってきて「こうですか?」と言いながら、さとうきびの皮を剥いてくれた。すると中から白い繊維の塊が出てくる。
両親もエレノアもケビンも、固唾を飲んでセシリアの様子を見守っていた。
セシリアはそれを口に入れて吸ってみせる。ちゅぅと大きく音を立てて吸ったセシリアは「あま~い」と声をあげた。
「お姉さまも食べてみてください。この汁が砂糖の素になります」
ケビンが外皮を剥いたさとうきびを、ケアード公爵夫妻とエレノアに手渡す。三人とも、セシリアがやったようにさとうきびを口に含んだ。そして遅れてケビンも。
「んっ!」
父親が目を見開いて唸る。
「これは……本当に甘いわね。はちみつや果物の甘さとはまた異なる甘さだわ。これでお菓子を作ったら、どのような味になるのかしら?」
母親は胸を躍らせている。
「なるほどね。この繊維のようなところに甘い汁がたくさん含まれていて、これを絞って砂糖にするってことね」
「そうです、そうです。砂糖にしなくても、そのままジュースにできますし、そのジュースを料理に使って甘い味付けもできます」
「ジュース……液体だと日持ちはしないわね。そのために、粉状にする必要があるのね……」
さすがエレノアである。さとうきびを見たのも初めて、味わったのも初めてだというのに、砂糖にする必要性を理解している。
「はい。それに、とったばかりはこうやって水分がいっぱいあるさとうきびですけど、そのまま置いておくと水けがなくなって色が変わってしまいます。色が変わったさとうきびは食べられません。だから、できるだけとったらすぐに加工したいんです」
「さとうきびをとって、すぐに汁を搾る。それから煮詰めるんだっけ?」
「そうです、そうです。さすがお姉さまです」
エレノアが砂糖の作り方を覚えていたことにセシリアも喜ぶが、両親はなんのことだと首をひねる。
「だが、この味は魅力的だ。これを使えば、料理の幅も広がるだろう。問題は、これをどうやって周知させるかだな……」
父親が腕を組んで、うーん、うーんと唸っているのは、真剣に考えているからだ。
だが彼が言うように、フェルトンの街の人はさとうきびの有益性を知らない。
「景観のために刈るとか、そういった回りくどいことはやめましょう」
そう言ったエレノアに視線が集まる。
「これを食べてもらえばいいのよ。この味は人を虜にするわよ」
セシリアの言葉に呼応するかのように、ざわわと風が吹いて、さとうきびを揺らした。
エレノアに聞かれ「はい」と元気よく返事をするセシリアだが、さとうきびを知らない者からしてみれば、やはりこれはただの草だ。
「お父さま。このさとうきびを一本、切ることはできますか? この辺から切ったら」
セシリアはしゃがみ込んで、さとうきびの根元を指し示す。
「あとはこのくらいに切ってほしいのです」
今度は腕をびしっと両脇につけ、両手で長さを示す。
「できますか?」
セシリアの言葉に大きくうなずいた父親は、後ろに控えているケビンを見やる。
「奥様、お嬢様。危険ですからお下がりください」
てっきりケビンが鎌を使って刈り取るのかと思ったのだが、父親本人がさとうきびを刈るようだ。
セシリアたちが五メートルほど離れたのを確認したケアード公爵は、パチンと指を鳴らす。するとビュンと激しい風が吹いて、さとうきびを一本だけ刈り取り、もう一度指を鳴らしたところで、セシリアが希望した長さに切断された。
「お父さま、すごいです」
感心したセシリアはパチパチと拍手する。
「もしかして……お父さまがいたら、さとうきびを収穫するのが楽になるのでは?」
「おいおいセシリア。私ももう若くはないんだ。それに今の魔法を、ここにあるさとうきび全部に使おうとしたら……魔力が枯渇して私は倒れてしまうかもしれない……」
よろよろと今にも倒れそうな演技をしたところを、ケビンが公爵の身体を支えた。
「そうなると……やはり、さとうきびを収穫してくれる人が必要ですよね」
「そうね、セシリアの言うとおり。わたくしの風魔法を使っても、一日に数本くらいが限度ね。まだ、鎌で刈り取ったほうが多いと思うわ」
「今も、お父さまが魔法を使わず、最初からケビンが鎌で切ってくれればよかったのでは……?」
セシリアがぼそっと言うと「お父様はあなたたちにかっこいいところを見せたかったのよ」と母親が父親には聞こえぬよう、小さな声で答えた。
「ふぅ……それでこの切ったさとうきびは、どうしたらいいのかな?」
額に光った汗をぬぐった父親は、してやったり顔でセシリアを見つめてくる。先ほどのふらつきはどこにいったのだろうか。
「さとうきびの味見をしてください。だけど、さとうきびは食べ物だけど食べ物ではないので……」
セシリアの小さな手でも掴める長さに切ったさとうきびを一本、手にとった。
「ええと、この皮を剥いて、ここの白いところを噛むと、汁が出てきます。でも食べられませんので、噛んで汁を出すだけです」
すかさずケビンがやってきて「こうですか?」と言いながら、さとうきびの皮を剥いてくれた。すると中から白い繊維の塊が出てくる。
両親もエレノアもケビンも、固唾を飲んでセシリアの様子を見守っていた。
セシリアはそれを口に入れて吸ってみせる。ちゅぅと大きく音を立てて吸ったセシリアは「あま~い」と声をあげた。
「お姉さまも食べてみてください。この汁が砂糖の素になります」
ケビンが外皮を剥いたさとうきびを、ケアード公爵夫妻とエレノアに手渡す。三人とも、セシリアがやったようにさとうきびを口に含んだ。そして遅れてケビンも。
「んっ!」
父親が目を見開いて唸る。
「これは……本当に甘いわね。はちみつや果物の甘さとはまた異なる甘さだわ。これでお菓子を作ったら、どのような味になるのかしら?」
母親は胸を躍らせている。
「なるほどね。この繊維のようなところに甘い汁がたくさん含まれていて、これを絞って砂糖にするってことね」
「そうです、そうです。砂糖にしなくても、そのままジュースにできますし、そのジュースを料理に使って甘い味付けもできます」
「ジュース……液体だと日持ちはしないわね。そのために、粉状にする必要があるのね……」
さすがエレノアである。さとうきびを見たのも初めて、味わったのも初めてだというのに、砂糖にする必要性を理解している。
「はい。それに、とったばかりはこうやって水分がいっぱいあるさとうきびですけど、そのまま置いておくと水けがなくなって色が変わってしまいます。色が変わったさとうきびは食べられません。だから、できるだけとったらすぐに加工したいんです」
「さとうきびをとって、すぐに汁を搾る。それから煮詰めるんだっけ?」
「そうです、そうです。さすがお姉さまです」
エレノアが砂糖の作り方を覚えていたことにセシリアも喜ぶが、両親はなんのことだと首をひねる。
「だが、この味は魅力的だ。これを使えば、料理の幅も広がるだろう。問題は、これをどうやって周知させるかだな……」
父親が腕を組んで、うーん、うーんと唸っているのは、真剣に考えているからだ。
だが彼が言うように、フェルトンの街の人はさとうきびの有益性を知らない。
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