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3:大好きなお姉さまに新しい出会いがありました(10)
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開放感あふれるサロンへと彼を案内すると「お茶の用意をしてきますので、お待ちください」と言って、また厨房へと向かった。
さすがにセシリアが行ったり来たりしている様子を見た使用人の一人が「私がお持ちしますよ」と言ってくれたので、セシリアは先にサロンへと戻ることにした。
「お待たせして申し訳ありません。今、お茶の用意ができますので」
真っ白い丸形のテーブル。彼の真向かいに座ってはみたものの、何をしゃべったらいいのかさっぱりとわからない。
「セシリア。おまえ、年はいくつだ?」
「八歳になったばかりです。シオンさまは?」
「十三だ……うん、十年後に結婚しよう。おれはおまえが気に入った」
なぜ急に結婚の話になるのか、セシリアにはさっぱりわからない。
「いやです。セシリアは結婚しません」
「あぁ?」
セシリアの答えが面白くなかったのか、シオンは紫の目でぎろっと睨みつけてきた。
「おまえ。おれがロックウェルの第二王子だと知っていたんだろ? こうやって身分を明かさずにいたのに。おれに気がついたのは、ケアード公爵以外にはおまえだけだ」
「ロックウェルの王族の方は、髪の色が特徴的です。と、お父さまが言ってました」
「なるほどな。さすが外交に長けているケアード公爵の娘だな。やっぱり、おまえ、おれの嫁になれ」
「いやです」
そこへティーワゴンを押しながら使用人がやってきた。真っ白いテーブルクロスの上には銀のティーポットや焼き菓子など丁寧に並べられていった。
「シオンさま。これ、セシリアが作りました。食べてください」
先ほどの結婚話などなかったかのように、セシリアが明るい声をあげる。
セシリアはシオンにも『さとう氷』をすすめ、父親にしたときと同じような説明をした。
「なんだ、これ。かりっとしていて、ふわっとしていて。甘くて美味しい」
シオンも一瞬にして『さとう氷』の虜になったようだ。
「そういえば、なんで公爵は外交大臣を辞めて領地にひきこもったんだ? それに、エレノアは王太子ジェラルドと婚約していたよな?」
セシリアが子どもだから、ずけずけと聞いてくるのだろう。もちろんセシリアは駆け引きなどできずに、馬鹿正直に言葉にする。
「なるほどな。王太子ジェラルドがバカだというのはよくわかった。あと、イライザという女か? まあ、エレノアを捨ててそいつを選んだというのなら、そいつには何か特別な魅力があるのか?」
あやうく「聖女だからです」と言いそうになったセシリアは、その言葉を呑み込んだ。謎の記憶については、決してほかの人には言わないようにと父親からきつく言われているし、まだイライザが聖女だという話も聞こえてこない。
「セシリア~。お腹が空いた~」
そこにモリスがやってきた。
「あれ? お客様?」
「ええと、こちらはロックウェル王国のシング公爵に仕えている従者の方」
シオンが第二王子だというのは秘密なのだ。
「はぁ? バカ王子じゃん」
「げ、賢者のばばぁ。おまえ、アッシュクロフの王都に行くって言っていたよな? なんでここにいるんだ」
「お二人とも、お知り合いですか?」
セシリアはきょとんとして、二人を交互に見やった。
「俺の魔法の師匠だ」
「私のバカ弟子のひとり」
どうやら二人は師弟関係にあったようだ。
「モリスもどうぞ。喉が渇いたでしょう? お菓子もありますよ」
「さっすがセシリア、やさし~」
そう言って、モリスはシオンとセシリアの間に座る。
「セシリア、ばばぁに親切にしてやる必要はない」
「でもモリスは、セシリアの魔法の先生です」
「そうそう、セシリアは私のかわいい生徒。どこかのバカ弟子とは大違い」
「あ。シオンさまは、セシリアの兄弟子になるわけですね?」
ぱっとセシリアの明るい声で、シオンはほんのりと耳の下を赤らめ、ぽりぽりと頬をかく。
「いや、それよりもだ。なんで、ばばぁがここにいるんだよ。王都にいるんじゃなかったのかよ」
シオンとモリスが言い合っている間に、セシリアはお茶を淹れ、モリスの前に置いた。
「いやぁ。セッテに行って新しい弟子を探そうと思ったんだけど。その前に力尽きてね。ここで倒れた」
「そうです。セシリアがモリスを拾って、連れてきました」
「おいおい。拾うって犬猫じゃないんだから」
そんなぼやきがシオンから聞こえた。
「ですが今は、セシリアの魔法の先生です」
「そうそう。ここで新しい弟子が見つかったのよ」
お茶をずびずび飲みながら、モリスが答えた。
「モリスにはここでさとうきび畑の管理をしてもらってます。魔法でぱぱっと風を起こしたり、水をやったりしてもらってます。モリスはすごいんですよ」
モリスを褒めようとすると、シオンは嫌そうな顔をした。
さすがにセシリアが行ったり来たりしている様子を見た使用人の一人が「私がお持ちしますよ」と言ってくれたので、セシリアは先にサロンへと戻ることにした。
「お待たせして申し訳ありません。今、お茶の用意ができますので」
真っ白い丸形のテーブル。彼の真向かいに座ってはみたものの、何をしゃべったらいいのかさっぱりとわからない。
「セシリア。おまえ、年はいくつだ?」
「八歳になったばかりです。シオンさまは?」
「十三だ……うん、十年後に結婚しよう。おれはおまえが気に入った」
なぜ急に結婚の話になるのか、セシリアにはさっぱりわからない。
「いやです。セシリアは結婚しません」
「あぁ?」
セシリアの答えが面白くなかったのか、シオンは紫の目でぎろっと睨みつけてきた。
「おまえ。おれがロックウェルの第二王子だと知っていたんだろ? こうやって身分を明かさずにいたのに。おれに気がついたのは、ケアード公爵以外にはおまえだけだ」
「ロックウェルの王族の方は、髪の色が特徴的です。と、お父さまが言ってました」
「なるほどな。さすが外交に長けているケアード公爵の娘だな。やっぱり、おまえ、おれの嫁になれ」
「いやです」
そこへティーワゴンを押しながら使用人がやってきた。真っ白いテーブルクロスの上には銀のティーポットや焼き菓子など丁寧に並べられていった。
「シオンさま。これ、セシリアが作りました。食べてください」
先ほどの結婚話などなかったかのように、セシリアが明るい声をあげる。
セシリアはシオンにも『さとう氷』をすすめ、父親にしたときと同じような説明をした。
「なんだ、これ。かりっとしていて、ふわっとしていて。甘くて美味しい」
シオンも一瞬にして『さとう氷』の虜になったようだ。
「そういえば、なんで公爵は外交大臣を辞めて領地にひきこもったんだ? それに、エレノアは王太子ジェラルドと婚約していたよな?」
セシリアが子どもだから、ずけずけと聞いてくるのだろう。もちろんセシリアは駆け引きなどできずに、馬鹿正直に言葉にする。
「なるほどな。王太子ジェラルドがバカだというのはよくわかった。あと、イライザという女か? まあ、エレノアを捨ててそいつを選んだというのなら、そいつには何か特別な魅力があるのか?」
あやうく「聖女だからです」と言いそうになったセシリアは、その言葉を呑み込んだ。謎の記憶については、決してほかの人には言わないようにと父親からきつく言われているし、まだイライザが聖女だという話も聞こえてこない。
「セシリア~。お腹が空いた~」
そこにモリスがやってきた。
「あれ? お客様?」
「ええと、こちらはロックウェル王国のシング公爵に仕えている従者の方」
シオンが第二王子だというのは秘密なのだ。
「はぁ? バカ王子じゃん」
「げ、賢者のばばぁ。おまえ、アッシュクロフの王都に行くって言っていたよな? なんでここにいるんだ」
「お二人とも、お知り合いですか?」
セシリアはきょとんとして、二人を交互に見やった。
「俺の魔法の師匠だ」
「私のバカ弟子のひとり」
どうやら二人は師弟関係にあったようだ。
「モリスもどうぞ。喉が渇いたでしょう? お菓子もありますよ」
「さっすがセシリア、やさし~」
そう言って、モリスはシオンとセシリアの間に座る。
「セシリア、ばばぁに親切にしてやる必要はない」
「でもモリスは、セシリアの魔法の先生です」
「そうそう、セシリアは私のかわいい生徒。どこかのバカ弟子とは大違い」
「あ。シオンさまは、セシリアの兄弟子になるわけですね?」
ぱっとセシリアの明るい声で、シオンはほんのりと耳の下を赤らめ、ぽりぽりと頬をかく。
「いや、それよりもだ。なんで、ばばぁがここにいるんだよ。王都にいるんじゃなかったのかよ」
シオンとモリスが言い合っている間に、セシリアはお茶を淹れ、モリスの前に置いた。
「いやぁ。セッテに行って新しい弟子を探そうと思ったんだけど。その前に力尽きてね。ここで倒れた」
「そうです。セシリアがモリスを拾って、連れてきました」
「おいおい。拾うって犬猫じゃないんだから」
そんなぼやきがシオンから聞こえた。
「ですが今は、セシリアの魔法の先生です」
「そうそう。ここで新しい弟子が見つかったのよ」
お茶をずびずび飲みながら、モリスが答えた。
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