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4:大好きなお姉さまが狙われているようです(10)
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「遅かれ早かれ、粗悪品、模倣品は出回るものだと思っています」
エレノアの言葉に、セシリアも同意見だった。
砂糖によってもたらされる利益を知った者はそれ真似をし始める。
「だが、砂糖の原料はさとうきびだろう? あの植物が生えている場所を、私は他に知らない」
「はい。ですが、さとうきび以外のものからでも砂糖を作ることは可能です。他の人がそれに気づいて砂糖を作ることを、わたくしたちは止めるつもりもありませんし……」
「君は、それでいいのか?」
「はい。わたくしたちは砂糖を独占したいわけではありませんから。安くて美味しいものが出回るのであれば、それは消費者にとって、喜ばしいことではありませんか?」
エレノアの言葉にコンスタッドは唸りながら考え込んでいる。
「それでも、偽物や粗悪品というものは許せませんね。わたくしが心配しているのはそれだけです」
エレノアの砂糖に対する熱い思いが伝わってきた。そして民を思う心も。
そうやって街を行く人々に視線を向けながら、教会のほうを目指す。
工場をコンスタッドたちに案内する前に、商会館へと顔を出した。ここで商会長のボリスを紹介し、今後は砂糖事業の拡大のためにコンスタッドに協力を求めることも考えていることを伝える。
ボリスは特に驚くこともせず、ただ砂糖を求めてフェルトンの街を訪れる者も多く、需要と供給のバランスが崩れつつあることを懸念として口にした。砂糖を今までよりも多く作るために工場を大きくしたとしても、今度は働き手の問題が出てくる。フェルトンの街に住む人たちだけでは足りないのだ。
商会館でボリスと話を終えた後は、教会も案内する。教会にいる子どもたちは、砂糖工場の手伝いをしながら勉強もしている。子どもたちに勉強を教えるのは、もちろんドイル夫妻だ。この時間は勉強の時間であった。
「子どもたちはどのような作業をしているのだろうか?」
コンスタッドは教会から工場へ向かう途中、そう尋ねてきた。その質問が興味本位からなのか、事業として役立てようと考えているのかはわからない。
「簡単な作業です。畑で収穫したさとうきびは、荷車に載せられてすぐにここまで運ばれます。荷車から工場まで運ぶ。それだって立派な仕事です。体力のある子は、さとうきびの汁を絞る作業もしています。工場ができる前は教会ですべての作業を行っていたのですが、工場ができてからは子どもたちにしてもらう作業は、できるだけ危険の伴わないものにしております。こちらが工場になります」
工場の入り口で真っ白なエプロンを身につけた四人は、もう一つの扉を開けて奥へと進む。広い空間に、砂糖を作るための道具や魔法具が工程順に並んでいる。
それをエレノアが一つ一つ説明していく。エレノアの姿を見た作業者たちは、ぺこぺこと頭を下げていた。
「エレノア嬢、この黒いものも砂糖なのか?」
コンスタッドが黒糖の存在に気づいた。黒糖は砂糖事業を始めたときから作っているものだ。さとうきびの汁を煮詰めて固めたもの。
ただし、これはあまり外には出回っていない。グラニュー糖を作り始めてからというもの、そちらの需要が高まったためだ。
それでも黒糖は独特の甘味とコクがあり、フェルトンの砂糖を最初から知っている人たちの間では人気があるし、グラニュー糖と比較して製造において手間がかからない。
「食べてみますか?」
まだ固まりきっていない、粘液状の黒糖を少しだけすくった。
「ん? この砂糖はそれほど甘くないが、白い砂糖よりもまろやかでコクがあるような気がする」
シオンもおずおずと食べてみた。彼も何か言いたげだったが、今のシオンはコンスタッドの従者であり、勝手な発言は許されない。
それからケアード公爵領の技術者の自信作、魔法具の遠心分離機も見てもらう。
コンスタッドもシオンも、感心したように頷き、気づきがあればすぐにエレノアに説明を求める。
そうして工場見学は一通り終わった。
工場内にある休憩室で、フェルトンの特産品でもあるコーヒーを飲みながら一息つく。
「エレノア嬢。今日は、素晴らしいものを見せてもらったよ」
コンスタッドはご満悦の様子。
「昨日、父も言っておりましたが、ロックウェルでは後工程、つまり原料糖から砂糖を作る工程をお願いしたいのです。さとうきびは収穫してすぐに加工しなければ、糖度も下がってしまいますから。原料糖の状態でここからロックウェルに運びます」
「なるほど。それは問題ない。ただ、指導者は? 利益は見込めるし、魅力的な事業だからすぐにでも契約したいところだ。しかし、不安があるとすれば、こちらは砂糖に関してはド素人だからね。砂糖の原料だけ渡されて、はいどうぞ、作ってくださいと言われても、できるわけがない。契約の条件は指導者をロックウェルに派遣してくれることだな」
「はい」
エレノアが力強く頷く。
「ロックウェルでの砂糖製造が軌道にのるまでは、わたくしが指導者として滞在いたします」
「えぇ?!」
エレノアの言葉に驚きの声をあげたのはセシリアだった。
エレノアの言葉に、セシリアも同意見だった。
砂糖によってもたらされる利益を知った者はそれ真似をし始める。
「だが、砂糖の原料はさとうきびだろう? あの植物が生えている場所を、私は他に知らない」
「はい。ですが、さとうきび以外のものからでも砂糖を作ることは可能です。他の人がそれに気づいて砂糖を作ることを、わたくしたちは止めるつもりもありませんし……」
「君は、それでいいのか?」
「はい。わたくしたちは砂糖を独占したいわけではありませんから。安くて美味しいものが出回るのであれば、それは消費者にとって、喜ばしいことではありませんか?」
エレノアの言葉にコンスタッドは唸りながら考え込んでいる。
「それでも、偽物や粗悪品というものは許せませんね。わたくしが心配しているのはそれだけです」
エレノアの砂糖に対する熱い思いが伝わってきた。そして民を思う心も。
そうやって街を行く人々に視線を向けながら、教会のほうを目指す。
工場をコンスタッドたちに案内する前に、商会館へと顔を出した。ここで商会長のボリスを紹介し、今後は砂糖事業の拡大のためにコンスタッドに協力を求めることも考えていることを伝える。
ボリスは特に驚くこともせず、ただ砂糖を求めてフェルトンの街を訪れる者も多く、需要と供給のバランスが崩れつつあることを懸念として口にした。砂糖を今までよりも多く作るために工場を大きくしたとしても、今度は働き手の問題が出てくる。フェルトンの街に住む人たちだけでは足りないのだ。
商会館でボリスと話を終えた後は、教会も案内する。教会にいる子どもたちは、砂糖工場の手伝いをしながら勉強もしている。子どもたちに勉強を教えるのは、もちろんドイル夫妻だ。この時間は勉強の時間であった。
「子どもたちはどのような作業をしているのだろうか?」
コンスタッドは教会から工場へ向かう途中、そう尋ねてきた。その質問が興味本位からなのか、事業として役立てようと考えているのかはわからない。
「簡単な作業です。畑で収穫したさとうきびは、荷車に載せられてすぐにここまで運ばれます。荷車から工場まで運ぶ。それだって立派な仕事です。体力のある子は、さとうきびの汁を絞る作業もしています。工場ができる前は教会ですべての作業を行っていたのですが、工場ができてからは子どもたちにしてもらう作業は、できるだけ危険の伴わないものにしております。こちらが工場になります」
工場の入り口で真っ白なエプロンを身につけた四人は、もう一つの扉を開けて奥へと進む。広い空間に、砂糖を作るための道具や魔法具が工程順に並んでいる。
それをエレノアが一つ一つ説明していく。エレノアの姿を見た作業者たちは、ぺこぺこと頭を下げていた。
「エレノア嬢、この黒いものも砂糖なのか?」
コンスタッドが黒糖の存在に気づいた。黒糖は砂糖事業を始めたときから作っているものだ。さとうきびの汁を煮詰めて固めたもの。
ただし、これはあまり外には出回っていない。グラニュー糖を作り始めてからというもの、そちらの需要が高まったためだ。
それでも黒糖は独特の甘味とコクがあり、フェルトンの砂糖を最初から知っている人たちの間では人気があるし、グラニュー糖と比較して製造において手間がかからない。
「食べてみますか?」
まだ固まりきっていない、粘液状の黒糖を少しだけすくった。
「ん? この砂糖はそれほど甘くないが、白い砂糖よりもまろやかでコクがあるような気がする」
シオンもおずおずと食べてみた。彼も何か言いたげだったが、今のシオンはコンスタッドの従者であり、勝手な発言は許されない。
それからケアード公爵領の技術者の自信作、魔法具の遠心分離機も見てもらう。
コンスタッドもシオンも、感心したように頷き、気づきがあればすぐにエレノアに説明を求める。
そうして工場見学は一通り終わった。
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