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4:大好きなお姉さまが狙われているようです(16)
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コンスタッドとシオンが、明日ロックウェル王国に戻るという。だから、今のうちにモリスの作ったわたあめを食べてもらうことにした。
サロンに四人が集まった。モリスはわたあめを作ったら、どこかに消えていった。彼女は、人の多い場所を好まない。
「シング公爵さま、これがやわらかい砂糖です」
セシリアが両手を腰に当て、えっへんと胸を張ってみせる。
「綿みたいだな」
シオンもぽかんと口を開けて、そう呟いた。
「はい。綿みたいだから、わたあめと言います。いいから早く、食べてください。ふわふわしてるから、すぐに溶けちゃうんです」
「どうやって食べるんだ? かぶりつく?」
しかも今日のわたあめは、串に刺してあるから、かぶりつくことも可能。
「串を持って、そのまま食べてもいいですし。食べにくいなら、ちぎって食べてください」
セシリアに促されたコンスタッドとシオンは、ふわふわっとしたわたあめに手を伸ばして、それをちぎった。
彼らがわたあめを食べる様子を、エレノアとセシリアは息を呑んで見守っていた。
興味津々といった様子でゆっくりと口元に運ばれていくわたあめだが、シオンはそれを観察するかのように見回してから、一気にパクッと食べた。
「ん? なんだ、これ。ふわっとして口の中に消えていく」
それはコンスタッドも同じ意見のようだ。わたあめを食べた彼は、目を大きく見開いた。
「シング公爵さま……?」
わたあめを食べた瞬間、コンスタッドはぴくりとも動かない。その姿勢のまま固まっていたのだ。
「あ、あぁ……すまない。あまりにも、衝撃的すぎた……。これは、本当にやわらかい砂糖だな……」
感心するコンスタッドの様子を目にしたエレノアとセシリアは、二人顔を合わせて満足そうに頷き合った。
「これは、誰でも作れるのか?」
シオンが、ちぎっては食べ、ちぎっては食べを繰り返しながら、合間に、そう聞いてきた。
「誰でも作れるんですけど、作るための道具が必要なんです。今は、モリスにぱっとやってもらってますけど……」
セシリアが答えると、シオンは「そうか……」と寂しそうに答える。
「なんだ? シオン。これが気に入ったのか? 見た目よりもお子ちゃまだからな」
「誰が子どもだ。スタンだって、これを気に入ったんじゃないのか? おまえの手と口、べたべただぞ?」
シオンに指摘されたコンスタッドは、慌てて手巾で手と口を拭いた。どうやら、その自覚はあったらしい。
「シオンさま。わたあめが気に入ったんですか?」
セシリアが尋ねると、シオンは少しだけ苦しそうに微笑んだ。
「まぁ、そうだな。これは美味いし、やわらかい。いや、溶けていく。だから、母上にも……って思ったんだ」
シオンの言葉に、コンスタッドもしまった、という表情をする。
「わかりました」
そこでエレノアがパチンと指を鳴らす。
「シオン殿下のためにも、わたあめが作れる魔法具を用意いたしましょう。今日、明日は無理ですけれど、ケアード公爵領の技術を集結させ、誰でも簡単にわたあめを楽しめる魔法具を作ります」
ね? とエレノアはセシリアを見やる。
急に話を振られたセシリアは「はい!」としか答えられなかった。
「シオンさま。お姉さまと一緒に、わたあめの魔法具を作ります。そうしたら、シオンさまもいつでもわたあめが食べられます」
ケアード姉妹から熱い視線を向けられたシオンは、照れ隠しのつもりなのか顔を背けて「ありがとう」と答える。
「あと、シオンさま。お土産も持って帰ってくださいね。黒いお砂糖と『さとう氷』です。硬いお砂糖は、シオンさまが次、こちらに来るまでには作っておきます。また、来ますよね?」
シオンに尋ねたのに、答えたのはコンスタッドだった。
「セシリア嬢、すぐにまた来るよ。ケアード公爵とは、さとうきび事業の件について正式に契約をする必要があるからね。今はまだ、仮契約の段階だから。それに……」
そこでコンスタッドは、エレノアのほうに顔を向けたが、それに気づいたエレノアはわざと反対方向に視線を逸らした。
「次は、もう少しゆっくりさせてもらうよ」
そう言ったコンスタッドは、しつこいくらいにエレノアを視線で追っていた。
そして次の日――。
「ケアード公爵。とても有意義な時間を過ごさせていただきました。何かありましたら、私たちを頼ってください」
コンスタッドが父親と熱く握手を交わすものの、父親は複雑な表情をしていた。
「また、遊びにいらしてください」
エレノアの社交辞令の言葉にすら、コンスタッドは顔をほころばせる。
「シオンさまも、また来てくださいね。それまでに、約束通り、新しいお菓子とお砂糖を考えておきます」
セシリアは胸を張った。
「わかった、わかった。楽しみにしている」
シオンはぽんぽんとセシリアの頭をなでる。
「では、ケアード公爵。十年後にはセシリアをもらうからな」
そう言ってシオンは、コンスタッドと一緒に馬車へと乗り込んだ。
父親は驚き、ぽかんと口を開けたままだったが、セシリアにはその言葉の意味がさっぱりとわからなかった。
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ここで1部終了です。
2部開始まで、少々お待ちください。
サロンに四人が集まった。モリスはわたあめを作ったら、どこかに消えていった。彼女は、人の多い場所を好まない。
「シング公爵さま、これがやわらかい砂糖です」
セシリアが両手を腰に当て、えっへんと胸を張ってみせる。
「綿みたいだな」
シオンもぽかんと口を開けて、そう呟いた。
「はい。綿みたいだから、わたあめと言います。いいから早く、食べてください。ふわふわしてるから、すぐに溶けちゃうんです」
「どうやって食べるんだ? かぶりつく?」
しかも今日のわたあめは、串に刺してあるから、かぶりつくことも可能。
「串を持って、そのまま食べてもいいですし。食べにくいなら、ちぎって食べてください」
セシリアに促されたコンスタッドとシオンは、ふわふわっとしたわたあめに手を伸ばして、それをちぎった。
彼らがわたあめを食べる様子を、エレノアとセシリアは息を呑んで見守っていた。
興味津々といった様子でゆっくりと口元に運ばれていくわたあめだが、シオンはそれを観察するかのように見回してから、一気にパクッと食べた。
「ん? なんだ、これ。ふわっとして口の中に消えていく」
それはコンスタッドも同じ意見のようだ。わたあめを食べた彼は、目を大きく見開いた。
「シング公爵さま……?」
わたあめを食べた瞬間、コンスタッドはぴくりとも動かない。その姿勢のまま固まっていたのだ。
「あ、あぁ……すまない。あまりにも、衝撃的すぎた……。これは、本当にやわらかい砂糖だな……」
感心するコンスタッドの様子を目にしたエレノアとセシリアは、二人顔を合わせて満足そうに頷き合った。
「これは、誰でも作れるのか?」
シオンが、ちぎっては食べ、ちぎっては食べを繰り返しながら、合間に、そう聞いてきた。
「誰でも作れるんですけど、作るための道具が必要なんです。今は、モリスにぱっとやってもらってますけど……」
セシリアが答えると、シオンは「そうか……」と寂しそうに答える。
「なんだ? シオン。これが気に入ったのか? 見た目よりもお子ちゃまだからな」
「誰が子どもだ。スタンだって、これを気に入ったんじゃないのか? おまえの手と口、べたべただぞ?」
シオンに指摘されたコンスタッドは、慌てて手巾で手と口を拭いた。どうやら、その自覚はあったらしい。
「シオンさま。わたあめが気に入ったんですか?」
セシリアが尋ねると、シオンは少しだけ苦しそうに微笑んだ。
「まぁ、そうだな。これは美味いし、やわらかい。いや、溶けていく。だから、母上にも……って思ったんだ」
シオンの言葉に、コンスタッドもしまった、という表情をする。
「わかりました」
そこでエレノアがパチンと指を鳴らす。
「シオン殿下のためにも、わたあめが作れる魔法具を用意いたしましょう。今日、明日は無理ですけれど、ケアード公爵領の技術を集結させ、誰でも簡単にわたあめを楽しめる魔法具を作ります」
ね? とエレノアはセシリアを見やる。
急に話を振られたセシリアは「はい!」としか答えられなかった。
「シオンさま。お姉さまと一緒に、わたあめの魔法具を作ります。そうしたら、シオンさまもいつでもわたあめが食べられます」
ケアード姉妹から熱い視線を向けられたシオンは、照れ隠しのつもりなのか顔を背けて「ありがとう」と答える。
「あと、シオンさま。お土産も持って帰ってくださいね。黒いお砂糖と『さとう氷』です。硬いお砂糖は、シオンさまが次、こちらに来るまでには作っておきます。また、来ますよね?」
シオンに尋ねたのに、答えたのはコンスタッドだった。
「セシリア嬢、すぐにまた来るよ。ケアード公爵とは、さとうきび事業の件について正式に契約をする必要があるからね。今はまだ、仮契約の段階だから。それに……」
そこでコンスタッドは、エレノアのほうに顔を向けたが、それに気づいたエレノアはわざと反対方向に視線を逸らした。
「次は、もう少しゆっくりさせてもらうよ」
そう言ったコンスタッドは、しつこいくらいにエレノアを視線で追っていた。
そして次の日――。
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「シオンさまも、また来てくださいね。それまでに、約束通り、新しいお菓子とお砂糖を考えておきます」
セシリアは胸を張った。
「わかった、わかった。楽しみにしている」
シオンはぽんぽんとセシリアの頭をなでる。
「では、ケアード公爵。十年後にはセシリアをもらうからな」
そう言ってシオンは、コンスタッドと一緒に馬車へと乗り込んだ。
父親は驚き、ぽかんと口を開けたままだったが、セシリアにはその言葉の意味がさっぱりとわからなかった。
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